万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

証券化はBIS規制の抜け道

2008年10月03日 20時11分43秒 | 国際経済
納税者と政治家には見えない金融危機の本当の深刻度(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 1988年7月、BIS(国際決済銀行)は、バーゼル合意を行い、金融機関に対して自己資本比率規則に関する国際基準を設定しました。いわゆるBIS規制と呼ばれるもので(最低8%)、銀行の過剰貸し出しによる金融危機の発生を防止することがその主たる目的でした。

 このBIS規制、もとより欧州で発生した金融危機を契機に導入されたのですが、我が国でも、1993年3月に以降、BIS規制の順守が義務付けられ、邦銀の経営に多大な影響を与えたことはよく知られています。さしもの邦銀の勢いも陰りを見せ、バブル崩壊とともに、深刻な金融危機に見舞われることになったのです。BIS規制によって、金融システムの健全性は確保されるはずであったのですが、現在の金融危機を見てみますと、BIS規制にも抜け道があったように思われます。それは、サブプライムローンに代表される貸付やCDSのような貸付保証の証券化です。一端、貸付が行われた後にそれが証券化され、投機的な値上がりが生じますと、もはやBIS規制では対処できないのです。

 一たびバブルが発生させてしまいますと、それが崩壊する時に、必ずシステミックな危機が生じるものです。今後は、バブル発生のメカニズムを解明した上で、新たな金融商品の開発に際しては、バブルや連鎖リスクの発生要因を含むものであるか、十分な検討を加える必要があると思うのです。

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コメント (14)
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