万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国は独り勝ちできるのか?

2008年10月27日 16時16分22秒 | 国際経済
中国経済は健全だが金融危機による課題に備える必要=人民銀行総裁(トムソンロイター) - goo ニュース
 金融危機に苦しむアメリカの衰退が論じられる一方で、さほどのマイナス影響を受けていない中国については、”独り勝ち”を予測する発言も聞かれます。しかしながら、本当に、中国は、一人勝ちできるのでしょうか。

 アメリカでのバブル発生から崩壊までの過程を見てみますと、世界の資金がアメリカ一国へ集中したという現象がありました。その原因としては、日米の金利差などに加えて、中国や中東諸国のドル・ペッグ政策、いわゆるブレトンウッズ2体制が指摘されています。つまり、中国の元安政策は、自国の輸出を促進するとともに、巨大な貿易黒字を計上し、それが、再びドル投資となってアメリカに還元されるという流れができていたのです。現在では、中国は政府系ファンドを設立し、投資の分散化を図っていますが、中国政府による輸出促進型の為替政策が、バブルの一要因となったことは、否めないのです。

 それでは、アメリカ政府が、金融危機からの脱却を目指して双子の赤字、少なくとも貿易赤字の解消に取り組むとしますと(金融救済策の財源の他に、新ニューディール政策も噂されており、財政赤字は拡大が予測・・・)、どのようなことが起こるのでしょうか。もしかしますと、国内産業に配慮し、中国の不当な元安政策に見直しを求めてくるかもしれませんし、保護主義に走るかもしれません。アメリカの景気減退で、中国の雇用の減少も伝えられていますが、長期的に見ますと、中国は、”独り勝ち”できないのではないか、と思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 経済ブログへ
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする