駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

『アイ・ガット・マーマン』

2012年01月19日 | 観劇記/タイトルあ行
 シアタークリエ、2012年1月18日マチネ。

 ミュージカルの女王エセル・マーマンの一生を描く、クラブ・スタイルのミュージカル・ショー。
 作・演出・振付/宮本亜門、訳詞・歌唱指導/大場公之、音楽監督・編曲/深沢桂子。1987年に初演された宮本亜門のデビュー作。10年ぶりの再演。

 オリジナルキャスト(諏訪マリー、田中利花、中島啓江)、ファビュラスキャスト(浦嶋りんこ、シルビア・グラブ、エリアンナ)、ニューキャスト(樹里咲穂、西国原礼子、Miz)とありましたが、樹里ぴょん目当てでニューキャスト版を観ました。
 タイトルくらいしか知らなくて、「マーマン」なんて英単語知らないなあとか思っていたのですが、エセル・マーマンのことで、「I GOT RHYTHM」の歌詞「I got my man」をモジってあるのですね。
 私はエセル・マーマンも『ガール・クレイジー』や『エニシング・ゴーズ』のオリジナル主演女優である、ということの知識くらいしかなくて、歌も聴いたことがないという不勉強さでしたが、でも楽しかったです。
 キャスト3人、ピアニストふたり(ファビュラス、ニュー版では中條純子、大隅一菜)だけで、でもとってもお洒落な舞台で鮮やかなことこの上ない!
 25年前に日本でこんなお洒落でインパクトのあるオリジナル・ミュージカルができていたんですねえ。まあ楽曲はアリモノかもしれないけれど、編曲のワザはすごいものです。

 3人がエセルの生涯を歌い踊るというので、若いころ・バリバリのころ・晩年、とかに別れて演じ分けるのかと思っていたのですが、そうではなくて3人一緒に出てくるんですね。そしてほぼ出ずっぱり。正味90分の舞台ですが、こりゃ大変だ。でもとてもおもしろい趣向でした。
 3人はエセルになるのを争ったり、3人一緒にエセルになったり、誰かがライバルになったり夫になったり親になったりする。そして、プログラムに役者の生身が出てしまう作品、とあってなんのことかいなと思っていたのですが、3人はエセルを演じつつもエセルの生涯を解説する女優、でもあり、その部分ではしょっちゅう「樹里ぴょん」とか「レイチェル」とか呼び合っていて、素のキャラクターも生かして舞台が進行するんですね。それもおもしろい。
 10年ぶりの再演ということで歌詞が現代的に変更されている部分もあるようですし、他の版はまたそれぞれキャストに合わせた細かい改変がされているのではないかなあ。そういうところも楽しかったです。
 とりあえず樹里ちゃんは宝塚歌劇出身、元男役であること、関西人であることが活用されていました(^^)。「ショーほど素敵な商売はない」では背負い羽とシャンシャンまで出てきましたからねー!

 そして…いかに樹里ちゃんしか見ていなかったかというと、途中まで西国原さんとMizさんを混同していました私…というか間違えていました。
 樹里ちゃんの基本立ち位置は下手。一番背が高くて、スリットががっと入ってはいますがすとんとしたラインのピンクのワンピース(大きなお団子ヘアがチャーミングでした!)。
 基本的にセンターなのが、ちょうと背の高さが真ん中で、顔が濃くてちょっとむっちり目の人、スカートがふわりと広がった赤いドレス。
 上手に立つのが、一番背が低くてやたらと「マジ」とか言うヤンキーキャラ、スモーキーな黄色というかオリーブ色みたいなホルターネックのドレス。
 なので私はこの小さい人が西国原さんかと思っていたのですよ…SDN48だもんね、この中では若いんだよね、そしてアイドルってたいてい小さいよね…みたいな。
 ところがすみませんこれがMizさんでした。パンチあるシンガーなのですね。
 となるとセンターが西国原さん…失礼ながら濃すぎる…! 春にはSDN48も卒業だそうですが、そうだよ舞台女優さんになった方がいいよ、そらSDNもライブ主体だろうけどとにかくテレビアイドルには向かないよ…と思ってしまいましたすみません。でもこれが初舞台! 素晴らしい。
 オーディションをちゃんと通っただけあって、本当に3人とも達者でまったく危なげがなく、歌もダンスも客席いじりも鮮やかで素晴らしかったです。

 いろいろくるくるしながら3人で舞台は進みますが、終盤に大曲をひとりずつ歌うのもよかった。ここから衣装チェンジ(重ね着しただけだけど)あり。

 でも3人で歌うときもさすがとても良くて、ハモりも美しいんだけど、ハミングでコーラスをつけるのがゾクゾクするくらい素敵でした。

 楽しくて手拍子が打ちたくなるのですが、スローダウンしたりテンポチェンジしたときが気恥ずかしくて、あまりしませんでしたすみません…
 でも拍手は惜しみなくしてきたよ!
 宮本さんはプログラムで「今の時代には合わないのではないか」と語っていますが、格別ハードなテーマやメッセージがある作品ではないと私は思いましたし、エセルの一生はある意味で普通というか、普遍的なのではないかなーと思いました。楽曲が古くなっていることもないし(編曲や訳詞が上手いのかもしれませんが)、いいキャストを得て再演を繰り返していってもいいのにな、と思いました。
 ちなみに劇団四季のミュージカルでは、もちろん観ていないものもいくつかありますが、私は『クレイジー・フォーユー』が一番好き。なので縁がありますね。
 そして『アニーよ銃をとれ』は未見なのでした。観てみたい。そして『エニシング・ゴーズ』が久々にまた観たいなあ…
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宝塚歌劇雪組『Samourai』

2012年01月19日 | 観劇記/タイトルさ行
 日本青年館、2012年1月17日マチネ。

 武士の世が終焉を迎えようとしていた頃、薩摩藩出身の武士・前田正名(音月桂)は討幕運動に奔走する坂本龍馬(緒月遠麻)と親交を深めていた。龍馬は近年著しく発展を遂げているフランスへの洋行の夢を正名に語り、愛刀を預ける。やがて非業の死を遂げた龍馬の遺志を受け継ぐべく、正名はフランスに留学するが…
 原作/月島総記、脚本・演出/谷正純、作曲・編曲/吉崎憲治。

 手堅い、過不足なくできていた舞台だったのではないでしょうか。
 ラブがもう少し欲しかったけれどねー。でもマリー(舞羽美海)とは結局は結ばれなかったんだろうから(原作を未読なのですが、彼女は架空のキャラクターなのかな? なんにせよ正名は帰国して日本人と結婚したんですよね…?)、あまりやりすぎると薮蛇感があるのかな。
 あとは、どうしてもストーリーありきの物語になってしまっていて、キャラクター造形がわりに単純に見えたのが残念だったかもしれません。そのあたりも、ファンならリピートして補完してしまうのでしょうから、十分なのかもしれませんが。
 でももうちょっと、お坊ちゃん育ちでまっすぐなことしか知らなかった正名を、酸いも甘いも噛み分けた豪放磊落な晴玄(早霧せいな)が変えていく感じとか、日本人を蔑視していてかたくなだったお嬢さまのマリーが変化していく感じとかを、具体的なエピソードを立ててもっと描きこめると良かったかな、とは思います。

 でも役者はすべてハマっていて、キャラクターのイメージを十分に体現してくれていたと思います。
 キムの安定感は本当にハンパない。きりやんほど歌・ダンス・演技の三拍子揃ったスター、みたいには言われない気がしますが、なんでもできる人ですよねホント。
 明るくさわやかな若武者っぷりがぴったりでした。
 ミミちゃんはさらに歌がしっかりしてきた感じで好感が持てました。レモンイエローのドレス、可愛かったなあ。
 だからこそもうちょっと出番を、ラブストーリー場面を作ってあげてほしかったけれどなあ。
 チギも生き生きと楽しそうにやっているのがなんとも言えずイイですね。ニジンスキーもバドもこれもアリなのは頼もしいことです。
 そして龍馬とオーギュスト・フルーランス隊長の二役のキタさん、これまた素晴らしい。どちらもしっかり務めていました。

 マリーの家の執事ノエル(奏乃はると)のニワニワがまたよかった。亀山社中での武士役からしてキラキラしていて目を引きましたが、ノエルになってからはぐっとシブく、しかしまた終盤が泣かせる泣かせる。芝居巧者だなあ。
 敵役のレオン・ガスタルディ少佐(大湖せしる)もよかったわー。久々に「売国奴」という言葉が正しく当てはまるキャラクターで、憎々しい役回りをあの白皙の美貌でやられたんじゃたまりませんよ観客は!
 オーギュストとレオンの確執ってなんかもっといろいろイロイロあったんじゃないですかねと妄想してしまうのは邪推ですかそうですか。ともあれ、なのでレオンはオーギュストに殺させてあげたかったかなーという気もしなくもなかったです。でもまあ、悪を成敗するのは主人公の役回りか。
 市民兵チプリアニ(香綾しずる)がまた泣かせました。ホントほとんど卑怯。
 アバンの新聞記者とガスパール(彩風咲奈。これも新聞記者かな? そして涼花リサ演じるブランシェの弟だからガスパールなのか…?)も、説明台詞をきちんとこなしていてよかったです。

 雪組が誇るお姉さま陣は、まず前田光子訳の麻樹ゆめみ。正名の息子に嫁いだ人でタカラジェンヌ、今回の演技指導に入っている立ともみの母・須磨磯子さんと同期生、とは奇縁ですよねえ。
 それはともかく、アバンで物語に観客を誘う力が素晴らしい。そして後半、パリ市民として出てきてからは、何をしているというわけでもないんだけれど、凛々しい気迫が漂ってきて、こうして戦ったパリジェンヌも多くいたのだろう、と思わせてくれました。
 「酒場の女将」なんて書かれ方が残念なブランシェは涼花リサ。今回開眼させられるくらい良かった! 杏奈さまとセットで使われることが多い人で今回もそうでしたが、全然色が違っていて…台詞はすごく少ないんだけれど、みんなと同じように銃を手に踊るだけでも、いつも眉間に皺が寄っていて、ああこの人は単純に高揚したりする人じゃないんだ、戦闘の苦しさ厳しさを知っていて、それでも参加することを選択した人なんだ…なんてことを思わせてくれました。
 対するモリエール座の女優レティシア役の花帆杏奈は男に貢いじゃうような女として描かれているようですが、その嫋々とした雰囲気がよく出ていて、これまたせつなくて魅せました。
 最初はマリーのお嬢さま仲間でちょっと軽薄で、のちに戦闘に参加してからは弱音吐かずに戦っていそうだったジャクリーヌ役の早花まこもよかったです。

 私は様式美好きなので、たとえばアバンのあと、本筋の幕開きにまず正名が上手で歌ったのに呼応するように、パリに移った場面でまず紳士役のサッキーナが上手で歌う、みたいな作りが美しいと思いました。
 プロローグの祝獅子とフィナーレの黒燕尾もスター配置が揃っているようでしたし。
 そういえば、歌手をひとりに一本被りにせず、いろいろな生徒を歌わせているのもよかったです。
 アバンのアシリレラ(花瑛ちほ)やモン・パリ場面でのパリジャンたち、第2幕プロローグのパリジェンヌたちなどなど。歌える人が多いのはいいことです。

 『ダンクレ2』のお稽古が休みなのか、コムちゃんが観に来ていました。
 カーテンコールでキムが紹介し、「ポッとしちゃいました」と言っていたのが可愛かったです(^^)。

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宝塚歌劇雪組『インフィニティ』

2012年01月14日 | 観劇記/タイトルあ行
 宝塚バウホール、2012年1月10日ソワレ。

 「声」やそのハーモニーをテーマにしたショー・エンターテイメント。作・演出/稲葉太地。

 宇宙にインフィニティS(未涼亜希)がひとり佇み、歌い出す。重なり合う声たち。やがて彼らが乗ったインフィニティ号は地球へ、そして世界各国を巡るグレートジャーニーへ…
 私は雪組さんが一番疎くて、主演まっつの他にはコマときんぐとナギショー、がんばればあすくんとレオくんくらい、娘役はヒメにあゆっちにあゆみちゃんくらい(あとあみちゃんか)しかわからないかも…でした。
 チケットが自分では全然どうにもならなかったのですが、いろいろあって知人から2列目どセンターを譲っていただくことになり、近すぎて肉眼でもまっつの右頬にできたニキビがばっちり見えました(^^;)。その分全体は見づらく、また基本的に見上げ気味なので首が痛くなりましたが、楽しかったです。
 しかしよく見えるのと顔の見分けがつくのとはまた別問題なので、プログラムをもう少し丁寧に作っていただくか、役名に細かくS、A、Bを振ってもらい、各場面のメインというかセンターは誰だったのかとか誰と誰が組んでいたのかとかがあとからでもわかる作りにしてくれると助かったんだけどなー…という感じです。みんな青年とかガールとかレディとかの役名で一絡げで、学年順にただ名前が並べられているだけじゃわかんないよー!

 さて、場面の最初はアメリカ。セーラーたちがブロードウェイの名曲を楽しく歌い継ぐと、夜のマンハッタンに移ってムーディーに。ここでメインだったひーこちゃんのレディ・マンハッタン(笙乃茅桜)のダンスがすばらしかった! タコ足のオレンジのドレスも素敵でした。

 続いてイギリス、きんぐが王(蓮城まこと)を演じるという洒落だけでなく、ストーリーというか設定があって意外によかった。王は戴冠しようとしていますが、それは海に散った仲間の兵士たちの犠牲があったからこそ、戦勝で得た空しく悲しい王冠だ…みたいな場面でした。『TRAFALGAR』で個人的になじみ深い「威風堂々」も印象的。
 きんぐは上手いのか下手なのか私にはよくわからないのですが(^^;)、長身でスタイルがよくて笑顔がとにかくいいというか、なんかすごくいいタイミングですごくいい笑い方をするので、何度もハートをキュンキュンさせられました!(^^)

 フランスに移ると、双子なのかな?ヒメとあゆっちがボーイハントの歌を歌い、だけど現れたあゆみちゃんに目当ての男性を奪われちゃって…みたいな感じ。
 あゆみちゃんは男顔の娘役さんだなー程度にしか知らなかったのですが、こうして見ると顔が小さくてダンスがシャープで素敵でした。ここのグリーンのお衣装もよかった。

 イタリアではゴンドリエーレの歌合戦。なのでナギショーもっとがんばろうね! せめてマイクで音量上げるとかできないのかなあ、声量出すための腹筋とかをもっと鍛えないと、これからバンバン役が付くと思うんで大変だよ!
 あみちゃんの歌はさすがの安定感でした。

 一幕ラストはドイツ。ヘル・ベルリンはポスターと同じフューシャピンクのベロアのジャケット。ポスターと同じお衣装が劇中にちゃんと出てくるのって意外にないので、私は嬉しかったです。

 二幕はキューバから。赤と金のラテンが似合うわアモール・パシオン! 「キサス・キサス・キサス」のセクシーさがよかったです。
 ハイチでは紅蓮の炎(沙月愛奈)がひたすらよかった! 黒蓮の炎(煌羽レオ)も素敵でしたが。
 そしてヤンさん振り付けのスペイン、マタドールひとりで保たせる場面もすばらしかった…

 続いてインド、MATZ MAHARAJA 2012!!
 退屈したマハラジャが踊り出し、侍従も侍女も大騒ぎ! 楽しかったー!! でもあんな腰つきのエロいマハラジャの憂鬱はダンスくらいでは解消されないと思うよ、早く嫁をもらってあげてー!とショーもないことを考えてしまうくらいでした…

 そしてフィリピン。熱帯の歌手(沙央くらま)コマがタガログ語で歌い、パピヨン(彩凪翔)ナギショーとフラワー(煌羽レオ)レオくんが踊りますが…なんかまだ色気が足りなかったかな…

 韓国ではK-POP。私はまったくくわしくないのですがどうやら2PMの曲。初めてあすくんのいいと言われる歌声を聞いた気がします。顔は本当にえりぃに似ている…!

 そして日本。黒燕尾で「荒城の月」。夢幻の淑女たちは桜色のドレスで、髪飾りがどれもみんな美しい。
 最終章はみんなテラ。「青い星の上で」名曲だなあ!
 アンコールのアカペラもすばらしかった。最後は下級生順にワンポーズずつのご挨拶。侍従でちょっとおっと思った天月翼くん、顔が好みというか、ちょっとアサコに似て見える…?

 まっつの歌は本当に耳福で歌詞がきちんと聞き取れて意味がちゃんと伝わって、すばらしい。ダンスもいちいち気障でセクシーででも端正で品があってよかったです。みんなちゃんと学んでね盗んでね!
 私はそのかバウは生では観ていないけれど、そのときもさかんにサヨナラ臭がすると言われていましたが、私はそんな感じは受けなかったけれどなあ…希望的観測にすぎますか?
 でもお茶会でも「歌劇」の座談会でも、準備ができていたので話が来たときも飛び上がって喜ぶでもなく困って固まるでもなく、「はい、依頼をお引き受けいたします」みたいな感じだったと語っていたのが、ホントにそんな感じだったんだろうなと思えたし、主演できたからもういいやって満足して卒業する、というのとはちょっと違うかなと思ったんだけれどなあ…?
 イヤ何がどうなるかわからないですけれどね…

 今年の初遠征、久々の新幹線は楽しかったし定宿・宝塚ワシントンホテルの大浴場にもつかってきたし初めてフルールのたこ焼きも食べたし(大きかったけどなんということはなかった気が…)、ツイッターのフォロワーさんとの新年会もできて、楽しかったです。
 お稽古入り待ちができなかったのが残念でしたが…宙組中日組はお稽古が休みで同じ時間の花組大劇場をご観劇だった模様です。

 そうそう、まっつの挨拶は噛みカミで可愛かったですよ。明日がやっと休演日という中日、お疲れなんですよね(^^;)。「ご観劇」が「ごはん…」になっていました(^^;)。

 仕事のミーティングもちょっとあって、いろいろ勉強になったこともあったのでした…

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宝塚歌劇100年に向けて~今回の組替えに関する個人的見解など

2012年01月09日 | 日記
 週明けにも月・宙組の次期トップコンビについて発表があるかもしれないので、イヤあるいはまだまだ引っ張るのかもしれませんが、とにかくその前に書いておきたかったので一言。
 あくまで個人的に思うことです。当該生徒さんのファンには異論・反論もあると思いますし、ファンでなくとも違う考え方をする方もいらっしゃるでしょうし、傷つく方もいらっしゃるかもしれません。
 すみません。あらかじめお断りして謝っておきます。


 組替えとは別の話ですが、大空さんが卒業発表をしたときに、
「こういう遅咲きの例もあるんだから、みんな焦りすぎないで、もっとのんびりがんばるといいよ」
 みたいな意見をブログやツイッターでよく見たのですが…
 私は、そうかな?とちょっと思いました。
 私は大空さんのファンだから、大空さんを特別視したいというバイアスはあるかもしれません。しかしそれを差っぴいても、大空さんはかなり特殊な例で、みんながみんな簡単に目指したり目標にしたり心の支えにしたりしていいケースではないのではないかしらん、と私は思っているのです。
 人それぞれいろいろなペースがあるから、焦りすぎないで、ゆっくりでもいいから努力し続けるといい。
 それは確かに正論だけれど、でも努力したからって必ず結果が出るとは限らない。
 大空さんだって、今となっては、トップにもなれたししかも超短期とかで終わらなかったからこうして話せているけれど、どう転ぶかなんて全然わからなかったわけだし、本人の努力とかそういうこととはまったく別次元の、タイミングや何かもっと違う力が働いてしまっていることは、ちょっとファンならみんな知っているわけじゃないですか。
 だからこれは空前絶後のとても特殊な例で、それをお手本にみんながんばるといいよ、なんて私は全然言えないと思ったんですね。

 というか、そもそも私は、タカラジェンヌは、というかトップスターはもう少し若返った方がいいとずっと思っていたのです。
 歌劇団としてももうずっと以前からそう画策しているように見えた。でもなかなか成功していないように見える。でもその方針は私には正しいと思えた、だからじれったいし心配なのです。
 企業はことに現在どこも経営的に厳しいわけで、けれど事業に対する適正人数というものがあるから、頭数はそう簡単には減らせない。私も生徒の総数は現在のものがいいと思っています。
 ただ、人数は同じでも若くした方が、給料が減らせて企業としては嬉しいわけですよね。普通は社員は年齢が上がれば給料が上がっていくものですから。
 そういう辛気臭い金勘定の問題もあるけれど、それとは別にスターの輝きとか新鮮さの問題として、私は新公卒業後からトップになるまでが長すぎて中だるみして見える時期があるのが問題だと思っているのです。

 少子化のせいなのかはたまた別の原因があるのか、音楽学校も受験者数が減っていて、受験科目を減らしたり、受験時点でのテクニックをあまり問わず、広く人材を求めることにしているそうですが、いったいにやはり最近の若い子の方が器用で、早くから出来上がっている子が多いのではないかと思います。
 そうでないにしても、とにかく先生方はもっと普段のお稽古場や劇団レッスンに顔を出すべきだと思います。普段から見ていれば、どんなに若くてまだまだ未知数の子とはいえ、個性や性向が見えてくるものです。
 男役に関しては、路線だなと思える子に関しては研3か4で新公の主演を一度経験させて、その後もきちんと二番手や三番手の役をやらせて、バウ公演でも三番手くらいやバウWSの主役を踏ませて、新公卒業時にもう一度主演をさせたら、もう本公演の三番手か四番手にきちんとして、研10でトップにして2,3年で卒業させる、くらいが理想ではないでしょうか。
 娘役はその2,3年早巻きくらいかな。逆に今のトップ娘役は若すぎます。このトップ娘役の極端な低学年化には、アタマの悪いおっさんたちの「女は若い方がいい」という実にくだらない思想に基づく陰謀を感じます。

 これは、トップは、の話。
 お芝居は若い役者だけでは成立しないし、脇が上手い生徒、歌手やダンサーとして秀でている生徒、というのはまた違った育て方があると思います。
 その延長に組長人事もある。組長が専科に移るのは自分ひとりの役者稼業に専念できるという点では栄転だと思うのです。だからいい。
 逆に新たに組長、副組長に就く生徒は、上級生として組子全体の面倒を見る修行のタイミングが回ってきたということですね。
 そしてこういう役回りが務まる生徒は、もう立派に歌劇団の社員であり、卒業して転職したり第二の人生を考えようというよりは、定年まで勤め上げる覚悟をどこかでしてもらうよう教育するべきなのではないでしょうか。

 とにかくトップは、それくらいで進めば、卒業時に32,3歳とかくらいですよね?
 成人年齢を20歳から18歳に引き下げようかと議論される一方で、現代の若者の成熟は遅れていて、25歳でも30歳でもお尻に卵の殻を付けているような人間が増えている世の中ではありますが、しかし役者とは意外にも体力勝負の稼業だという点においてはアスリートに近いとも言える存在です。
 アスリートが競技で一番活躍できる年代、と同じようなものが役者にもある。そしてアスリートが競技を引退して第二の人生に転向していく必要があるように、タカラジェンヌもいつかは退団して第二の人生を歩み出さなければならないのです。
 そのひとつが結婚です。タカラジェンヌは独身女性に限る、と規定されています。結婚しようと思ったら退団するしかない。まあ結婚はいくつでもできるんだけれど、出産するとなると確実なタイムリミットがあるわけで、子供を持ちたいと思ったら退団しなくてはならない。
 あるいは何かの勉強をしなおす、芸能界に進む、何かまったく別の職業に就く、そういう今まではと違った生き方をリスタートするためにも、もちろん本当はいくつになっても遅すぎるということはないのですがしかし、やはり若い方がやりやすい部分は確実にある。
 今の、卒業したらアラフォー、という状態は、たとえば世のアラフォー女性が転職にする苦労以上のものを彼女たちに背負わせることになっているのではないでしょうか。
 若いうちにスターとして活躍し、若いうちに卒業させてあげたい。それはさっきの「女は若い方がいい」という考え方とはまったく違うものだと思うのです。

 あとは、単純に、新公卒業をしたあとは本公演では数えれば七番手とか八番手とかなのかもしれないけれど、いつもヤングスターの扱いで一絡げに三人口とかばかりやらされて、役らしい役がつかなくて、トップになるなんていつのことやら…みたいな時期が現状では長すぎると思う。
 その間に新鮮さがなんとなく薄れて、個性とか持ち味とかがなんだかよくわからなくなっていっちゃうスターたちを何人見送ってきたことか。
 そういう事態を作らないためにも、もう少し早巻きの流れを作った方がいいのではないかと私は思っていたのですよ。

 で、今回の組替えです。
 20年近く宝塚歌劇を観てきて、理不尽で意味不明に思える人事や組替えもたくさん見てきましたが、今回の組替えも、そういう戦略がうかがい知れるなら、どんなに大規模でも、また泣く生徒や泣くファンがいても、仕方ないかな、必要悪と思えるかな、と思っていたのですが…
 またまた単にナゾが多いものにしかなっていないようで、そういう意味で私は不満です…

 組のバランスを見た上で、というのが一番だとしても、生徒にとっては原則として組替えは栄転であるべきだと思うのですが、今回そうはっきり言える例がはたしてあるでしょうか? それがまずイヤ。
 しいて言えばみーちゃんくらい?
 みーちゃんは、宙組でみーちー大というセットとして使われていて、でもプログラムの扱いなどから見る組の番手としては三番手のみっちゃんの次はカチャ、という感じになってきていたので、路線から微妙に外されつつある、というところでしたよね?
 それがまぁくんと入れ替えということなら、これまた花組での今後のみつるの扱いが微妙なんだけれど、三番手のみわっちの下、四番手ないし五番手に叙されるということなのかな?
 だとしたらよかったね、なのですが、単にダンス要員として使われて、スターとしてはだいもんやあきらやまよちゃんを使っていく、ということもありえますよね(そして私の若返り策からしたらそれくらいやるべきなんですが)。
 だとしたらそれは栄転とは言えない。ポジションは変わらなくても環境が変わって、また違った輝きを見せられる、ということはあるかもしれないけれど、組替えってそれだけのためだけにするものなの?と疑問を感じてしまう…

 ナゾの同期揃えもよくわからない。
 近年まれに見る成功した組替え例としてまっつの花組から雪組への異動があると私は思っていて、確かにまっつとキムは同期なんですが、でもキムのトップ就任の脇を固めるという役目があって、そのタイミングで呼ばれたわけじゃないですか。
 でも今、まさこがチエちゃんの隣に行く必要があるとは思えない。キタロウは、組替え発表のあとに大空さんの卒業発表があったから、宙組の次期トップがこのまま順当にテルになるなら、それを支えるために異動する形になったけれど、それははたしてどこまで事前に考えられたプランだったのでしょうか?
 月組ではみりおが今は三番手というかダブル二番手の下席というポジションにいますが、きりやんが卒業することは発表済みだったわけで、こちらも順当に上がるなら次は正二番手になるというところへ、同期のみやるりを持ってくる、というのも、何がしたいの?という感じ。
 コマがいるのにチギを持ってきたのに、そしてチギを二番手にしたというのに、そこにともみんをもっていく。ともみんが星で微妙な立場だったのは解消できるのかもしれないけれど、組替えってそのためだけにするものか? あくまで行った先でどうするか何をさせるかが問題なんでしょう?
 番手以前の下級生ならいいというものでもない。そもそも同期はどこの組にも最初からいるし、自然発生的に仲良しコンビが出来るからファンがつくのであって、後付けで同期コンビを作ってもあまり意味はないと思うのですよね。もしそういう狙いでやっているならね。

 さらによくわからないのは娘役でただひとりあったカガリリちゃんの異動。
 娘役なんてトップ娘役以外はポジションがないも同然なんだから(トップ娘役が低学年化しすぎているからこういう事態になるのです。以前はちゃんとトップ娘役より下級生の二番手娘役というものが立つ余地がありました。今そんなことやってたらまだダンゴの研1から選ぶハメになります)、栄転としての組替えが行われるならそれは次期トップ娘役ということであるはずです。
 けれどカガリリちゃんにそんな未来が約束されているとはとても思えない。すぐ下にみりおんがいるからです。
 なんなのこれは? しずくやあまちゃきの組替えもナゾだったけれど、一応そのあと新公ヒロインや二番手娘役らしきことをさせましたよね。でもそれだけで結局トップにせずにやめさせたわけですが。そんな組替えに意味ってあるんでしょうか?
 かつてジュンやグンちゃんやユリちゃんがした組替えはそういうものではなかったよ? 次にトップにするために異動させたんだよ?
 そういう未来がここにあるの?

 生徒それぞれの未来像もよくわからなければ、各組の未来像もよくわかりません。
 まあこれはもしかしたら月組次期トップコンビ発表に合わせてまた少し異動があるのかもしれませんが。
 たとえは星組。
 チエちゃんは来年春までトップでいることがわかっている。台湾公演での主演が発表されたからです。
 その次はユリカにするつもりでいかないとダメなんじゃないの?
 チエちゃんはユリちゃん以来久々に現れた若いトップで、私は当時とてもいいことだと思いました。
 トウコからチエちゃんにバトンを渡させるために、カヨコをやめさせしぃちゃんをやめさせまとぶんを異動させて道を作ったでしょう。それを今からやらないと。
 ともみんは動かした。要するにベニーをどうするのかってことですよ。正二番手として扱うの? トヨコに別格二番手としてお茶を濁してもらっている間に何かがなんとなくなんとかなるとか思ってるの?
 二番手、三番手にまで遇したのならきちんとその後トップにさせてあげなくちゃいけません。そこまでしておいてあとから梯子を外すようなことはしてはいけない。私はルコさんを知っているので(生で観劇し出す前の話ですが)ユミコのことは個人的にはそれほどショックではなかったけれど、それでも今後二度と絶対にしてほしくないことのひとつです。
 逆にトップにしないんだったら、今くらいから路線から外してあげないといけません。それて進み方を考えさせてあげないと。
 最初の話に戻りますが、あまりに無駄に長く生徒を縛り付ける権利は歌劇団にはないはずなのです。彼女たちの全人生を背負ってあげられるわけではないのですから。

 歌劇団がどんなに周到に路線を敷いたって、そのとおりにことが進むとは限りません。多くの人間がかかわることですし、ちょっとのタイミングの違いで生まれる「たられば」は限りなくあるでしょう。
 でも少なくとももう少しビジョンは見えないとさ。ファンは不安になりますよ。
 なんでもかんでも言わなくてもいいけど、でももう少し説明してもいいと思います。組替えの意図を。今はこうだけどこうなってほしいと思ったからこうしたんだ、というのを。それで、そういう評価なのか、とわかったり安心したり、思い込みが正される部分もあるのですから。
 せめて生徒本人にはしてあげてほしいと思うけれど…きっとしていないんだろうなあ。
 でも人事が下手な会社というのはダメだよ…

 100周年を迎えるときのトップスターの顔ぶれを、劇団はどう考えているのでしょうか?
 それはそんなに未来のことではないですよ。今から戦略的に仕込んでいかないと、生徒にもファンにも心の準備の期間を与えてくれないと、確実に失敗しますよ?
 スターとファンを大事にしないから、客席稼働率が下がっていくんですよ? ゆっくり絶望していってるんですよ? 歯止めをかけなきゃいけません。その戦略を、ビジョンを見せてほしい。
 公演の演目ももちろん大切です。しかし宝塚歌劇は演目を観るよりスターを見る部分が大きいかもしれないという、非常に稀有なスタイルの劇団なのです。
 本当にきちんと考えてもらいたい。そして大事にしてあげてほしい。
 みんながみんな幸せになれるなんて思っていません。でも無駄に泣かせる必要はないでしょう。流す涙を減らす努力はしましょうよ。その上でタイミングとかはそれこそ偶然で神の采配です。人事を尽くしていれば天命も待てます。ただのなりゆき任せやノープランには耐えられません。
 個人的に、好きな人だけ応援していられる安心な時期が過ぎ去ろうとしている今、考えないではいられません。



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私の「スミカ」

2012年01月05日 | 大空日記
 新年あけましておめでとうございます。

 本日、宝塚歌劇団宙組娘役トップスター・野々すみ花の卒業が発表されました。
 『華やかなりし日々/クライマックス』の東宝千秋楽付け。つまり相手役・大空祐飛との同時退団です。
 年末最後の更新はユウヒについて語らせていただきましたので、新年最初の更新はスミカへの想いを書かせていただきたく思います。
 あくまで私個人の考え、想いです。


 実は昨日は一日けっこう動揺していました。
 たとえるなら、『誰鐘』東宝千秋楽から『ヴァレンチノ』集合日までの数日間、『美しきルナ』で卒業するなら発表はこのタイミングだけどやめてよしてまだまだ観たいの、と全然覚悟ができていなかったときの動揺に似ていました。
 でも、逆の形で。
 つまり私はスミカはユウヒと同時退団するものだとばかり思っていて、そして発表は年末年始を挟むからまあ通常のパターンより遅れるだろうし、とのんびりかまえていたのですが、昨日の時点で発表がないということは残留なのでは、というつぶやきがツイッターでけっこうあって、「えっ、一緒にやめてくれないの? そんな…(ToT)」という動揺でした。
 すみません。

 イヤ私スミカをホント好きなんですよ。
 本当にいい娘役さんだと思う。
 でも、私がわりと宝塚歌劇から離れ気味だったときに入団した年代の生徒さんだったため、私にとってはまずなんといっても「大空さんの相手役さん」という部分が大きかったのですね。
 しかも、事実はどうであれ、私から見たら、宙組トップ就任時に大空さんが一緒に花組から連れてきた相手役、でした。
 つまり宙組の次代の娘役の中から相手役を選ぶのではなく、大空さんがスミカを相手役に選んだのだろう、と私は思っている、ということです。繰り返しますが事実は知りません。単なる劇団からの要請だったのかもしれない。
 当時スミカは花組で新公ヒロインもバウヒロインも務めていて、立派に二番手娘役と言っていいポジションにいたと思います。しかしそもそも当時のトップ娘役も学年としてはまだ若かった(と私は思う)し、まだまだ下級生で、トップ云々というには気持ち早かったかなー、という印象が私にはありました。私はそもそもトップ娘役のあまりの低学年化には反対なのです。
 でもユウヒはスミカを選んだ。落下傘で組替えするのに相棒が欲しかったんだと思う。
 落下傘の悪印象を解消するために相手役は宙組から選ぶ、という選択もありえたと思うのだけれど、それより知っている相手と組みたかったんだろうし、それだけ組替えには不安で、そしてそれだけスミカのことを相手役として信頼していたのだと思うのです。
 大空さんは『銀ちゃんの恋』の倉丘銀四郎役が大のお気に入りで、ことあるごとに話に上げますが、役が好きということももちろんあるけれど、作品が好きで相手役が好きだった、のではないかと個人的には思っています。この作品はふたりが初めて主演コンビを組んだ作品でもあるのでした。初めて組んで、そしてなんとなく同じ空気みたいなものを感じた、とふたりはよく言っています。
 その直感に頼ったのだと思う。そうして生まれた五代目宙組トップコンビだったのではないでしょうか。

 で、当初から、大空さんの任期は短いのではないかと言われていた。
 長いファンからしたらトップになれただけで嬉しいので、任期の長短なんで贅沢は言ってられないわけですが、スミカは難しい選択を迫られることになるし、それは申し訳ないなと心苦しく思っていました。
 近い例で、ミズがトナミの次にミナコを相手役に迎えたときに、これまた新公ヒロインもバウヒロインもやっていたけれどやはりまだまだ下級生でしたが、ミズは「自分の相手役にならなければタカラジェンヌとしての時間は結果的にはもっと長くなるかもしれないけれど」それでも組むことを選んだ、みたいなことを語っていました。
 トップ娘役の人事はどうしてもトップ男役に左右されます、就任するときも退団するときも。ことに下級生の娘役が学年差のある相手役と組んだとき、相手が退団するとき本人はまだまだ若くて、退団するには早すぎる、もったいなさすぎる…という事態はままあります。
 大空さんが本公演二作とか三作とかで卒業するとしたら、同時退団はスミカには早すぎてかわいそうだよな、でも残りたくても残れない場合もありえるだろうし、思いどおりにできなくてつらいよな…とか、ずっとずっと心配して、すまなく思っていました。自分がどうこうできることではまったくないわけですが、それでも。

 で、任期が思いのほか?順調に?伸びて、大空さんの卒業発表については私は本当に心安らかに迎えることができました。時が満ちたと思えた。
 そして、ほぼ丸三年、本公演六作やるのだから、特にトップ娘役の任期としては順当なくらいで、これくらいやれればスミカも満足して一緒に卒業してくれるだろう、と、ホント勝手な言い草ですが、私はあっさりそう考えたのでした。
 同時就任同時退団が一番美しい、なんて考えはまったくなくて、本当にそれぞれの考え方や生き方やバランスやタイミングありきの問題でケースバイケースだと思うのですが、このコンビに関しては私はそれが理想的だな、と思ったのです。

 なのに、昨日の時点で…
 トップ男役が卒業を発表した場合、同時退団ならトップ娘役の発表はきっちり一週間後になることが多いそうです。
 それが年末年始を挟んだとはいえ昨日、4日でした。
 お稽古は3日から始まっていて、世間的には4日が仕事始め。発表があってもいいはずで、ないということは残留なのだろうか…というツイートが私のタイムラインにはいくつかあったのです。
 で、私は本当に同時退団を疑っていなかったので動揺したわけですね。なんか我ながら恥ずかしいくらいに。

 『クラナイ』で本当によかったから、宙組の次期トップ男役は順当にテルで問題ないと私は考えていて、記事にも書きましたが相手役はどうするんだろうねえ、れーれなのかゆーりちゃんなのか組替えがあるのか…みたいなことをのんきに考えていました。
 残留ならテルとスミカで新コンビか、でもなんか似合わないのでは、というツイートに対しては、なんか無性にイヤそんなこともないだろう、と反発したのですが、でもじゃあホントに誰かと新しくコンビを組んでいるスミカを想像すると、なんかホントに悲しくなってしまって…
 可愛かった嫁が誰かに取られちゃうなんて…みたいな。二夫にまみえるあの娘を見るなんて…みたいな。彼女はあの人だけのものでいてもらいたかったのに…みたいな。いつの時代の婆さんなんだ私は!
 フェミニストのはしくれとしてトップコンビを夫婦にたとえることには語弊があると考えていますし、トップ娘役はトップ男役に添い遂げるべきだとも思っていないし、相手役を替えてまた違う輝きを放つ娘役さんたちもたくさん観てきたはずなんだけれど…
 でも…ああなんなの、それはアタマで考えていたことで、実際にウチの子がやるとなると違うのよ、みたいなこのダブルスタンダードのダメさ加減は!と自分でホントにびっくりなのですが。
 ホント、『美しきルナ』では大空さんやめないでヤダヤダとバタバタ騒いでいたときのように、ヤダヤダ一緒にやめてあげて大空さんが寂しいじゃない、みたいな駄々っ子になってしまったんですよ…

 まだまだ発表が出ない月組次期トップについても懸案があって。
 現時点で最右翼はえりたんだと私は思っていますが、では相手役をどうするか。
 またまた縁もゆかりもない落下傘人事なわけで、せめて相手役は月組から出すのか、だとしたらみくちゃん? ゆめちゃん? ちゃぴ?
 でもりっちーがやめちゃうってことはなんかあるのかな、と考えると…相手役も花組から連れてきてみりおん、とか…
 せめて縁を作るなら蘭ちゃんを里帰りさせてまゆたんはみりおんと組ませるというランボーな手もありえなくもないけれど…
 それかれーれを組替えさせて、宙はテルゆーり、とか…
 そこにスミカが残るとなると、そしてテルとスミカでは合わないというなら、たとえばスミカが月に組替えしてえりたんと組むってこともあるわけ?とか…『オグリ』で組んでるし支えてあげられるもんね、でも…
 でも。
 心が狭いと言われようとなんだろうと、「ヤダな…」としか思えなかったのです。ホントごめんスミカ、ホントなんなんだ自分。

 結局は今日、スミカの卒業の発表があって、なんかホッとしちゃってそれこそなんかじんわり泣けちゃったりしたんですけれど…
 ごめんスミカ。でもありがとう、嬉しい。私に礼を言われる筋合いのことではないだろうけれど。悩んで悩んで考えて考えて、つらい中で下した選択だろうし、その理由は私なんかが考えるような次元のこととは全然違うだろうけれど。
 明日の記者会見をネットで見て、週末のCSニュースで見て、また考えることがあるかもしれません。

 というワケで、自分の思いがけない姑根性みたいなものに愕然とした昨日今日でした。
 ホントなんなんだ私…器が小さいよ、心が狭いよ…

 逆にまりもには残ってもらいたかったし、それこそ5年くらいいてもらいたかったけれどなー。
 それでいうとねねちゃんもチエちゃんより先にやめるのではといつもいつも噂されていますが、全然ずっといてもらいたいけれどなー。
 そもそも私はコンビ好きだし娘役好きで、男役を好きなあまりその相手役に嫉妬して悪く言うタイプのファンでは全然ないので、一般的な感覚とはまた違うのかもしれませんが。
 でもまりもが「霧矢さんと一緒に卒業したいと思った」というのもすごく「らしい」と思った。逆にスミカは本当に女優魂があるタイプなので、あれだけ大空さんを好きそうで、大空さんの相手役を務めることを常に謙虚すぎるくらいに感謝していて、それでも、「でも私はまだやりたい」と言って残ることはありえるな、と私には思えただけに、ヒヤリとしたんですよね…
 そのとき、その選択を手放しで認めて喜んであげられなかったと思う。そんな自分が恥ずかしい。でも事実こんなに動揺した自分がいたのです…

 私は娘役に、トップコンビに何を求めているのか。
 なんかいろいろ考える契機になったな、とか思ったり、しました。



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