駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

私の「スミカ」

2012年01月05日 | 大空日記
 新年あけましておめでとうございます。

 本日、宝塚歌劇団宙組娘役トップスター・野々すみ花の卒業が発表されました。
 『華やかなりし日々/クライマックス』の東宝千秋楽付け。つまり相手役・大空祐飛との同時退団です。
 年末最後の更新はユウヒについて語らせていただきましたので、新年最初の更新はスミカへの想いを書かせていただきたく思います。
 あくまで私個人の考え、想いです。


 実は昨日は一日けっこう動揺していました。
 たとえるなら、『誰鐘』東宝千秋楽から『ヴァレンチノ』集合日までの数日間、『美しきルナ』で卒業するなら発表はこのタイミングだけどやめてよしてまだまだ観たいの、と全然覚悟ができていなかったときの動揺に似ていました。
 でも、逆の形で。
 つまり私はスミカはユウヒと同時退団するものだとばかり思っていて、そして発表は年末年始を挟むからまあ通常のパターンより遅れるだろうし、とのんびりかまえていたのですが、昨日の時点で発表がないということは残留なのでは、というつぶやきがツイッターでけっこうあって、「えっ、一緒にやめてくれないの? そんな…(ToT)」という動揺でした。
 すみません。

 イヤ私スミカをホント好きなんですよ。
 本当にいい娘役さんだと思う。
 でも、私がわりと宝塚歌劇から離れ気味だったときに入団した年代の生徒さんだったため、私にとってはまずなんといっても「大空さんの相手役さん」という部分が大きかったのですね。
 しかも、事実はどうであれ、私から見たら、宙組トップ就任時に大空さんが一緒に花組から連れてきた相手役、でした。
 つまり宙組の次代の娘役の中から相手役を選ぶのではなく、大空さんがスミカを相手役に選んだのだろう、と私は思っている、ということです。繰り返しますが事実は知りません。単なる劇団からの要請だったのかもしれない。
 当時スミカは花組で新公ヒロインもバウヒロインも務めていて、立派に二番手娘役と言っていいポジションにいたと思います。しかしそもそも当時のトップ娘役も学年としてはまだ若かった(と私は思う)し、まだまだ下級生で、トップ云々というには気持ち早かったかなー、という印象が私にはありました。私はそもそもトップ娘役のあまりの低学年化には反対なのです。
 でもユウヒはスミカを選んだ。落下傘で組替えするのに相棒が欲しかったんだと思う。
 落下傘の悪印象を解消するために相手役は宙組から選ぶ、という選択もありえたと思うのだけれど、それより知っている相手と組みたかったんだろうし、それだけ組替えには不安で、そしてそれだけスミカのことを相手役として信頼していたのだと思うのです。
 大空さんは『銀ちゃんの恋』の倉丘銀四郎役が大のお気に入りで、ことあるごとに話に上げますが、役が好きということももちろんあるけれど、作品が好きで相手役が好きだった、のではないかと個人的には思っています。この作品はふたりが初めて主演コンビを組んだ作品でもあるのでした。初めて組んで、そしてなんとなく同じ空気みたいなものを感じた、とふたりはよく言っています。
 その直感に頼ったのだと思う。そうして生まれた五代目宙組トップコンビだったのではないでしょうか。

 で、当初から、大空さんの任期は短いのではないかと言われていた。
 長いファンからしたらトップになれただけで嬉しいので、任期の長短なんで贅沢は言ってられないわけですが、スミカは難しい選択を迫られることになるし、それは申し訳ないなと心苦しく思っていました。
 近い例で、ミズがトナミの次にミナコを相手役に迎えたときに、これまた新公ヒロインもバウヒロインもやっていたけれどやはりまだまだ下級生でしたが、ミズは「自分の相手役にならなければタカラジェンヌとしての時間は結果的にはもっと長くなるかもしれないけれど」それでも組むことを選んだ、みたいなことを語っていました。
 トップ娘役の人事はどうしてもトップ男役に左右されます、就任するときも退団するときも。ことに下級生の娘役が学年差のある相手役と組んだとき、相手が退団するとき本人はまだまだ若くて、退団するには早すぎる、もったいなさすぎる…という事態はままあります。
 大空さんが本公演二作とか三作とかで卒業するとしたら、同時退団はスミカには早すぎてかわいそうだよな、でも残りたくても残れない場合もありえるだろうし、思いどおりにできなくてつらいよな…とか、ずっとずっと心配して、すまなく思っていました。自分がどうこうできることではまったくないわけですが、それでも。

 で、任期が思いのほか?順調に?伸びて、大空さんの卒業発表については私は本当に心安らかに迎えることができました。時が満ちたと思えた。
 そして、ほぼ丸三年、本公演六作やるのだから、特にトップ娘役の任期としては順当なくらいで、これくらいやれればスミカも満足して一緒に卒業してくれるだろう、と、ホント勝手な言い草ですが、私はあっさりそう考えたのでした。
 同時就任同時退団が一番美しい、なんて考えはまったくなくて、本当にそれぞれの考え方や生き方やバランスやタイミングありきの問題でケースバイケースだと思うのですが、このコンビに関しては私はそれが理想的だな、と思ったのです。

 なのに、昨日の時点で…
 トップ男役が卒業を発表した場合、同時退団ならトップ娘役の発表はきっちり一週間後になることが多いそうです。
 それが年末年始を挟んだとはいえ昨日、4日でした。
 お稽古は3日から始まっていて、世間的には4日が仕事始め。発表があってもいいはずで、ないということは残留なのだろうか…というツイートが私のタイムラインにはいくつかあったのです。
 で、私は本当に同時退団を疑っていなかったので動揺したわけですね。なんか我ながら恥ずかしいくらいに。

 『クラナイ』で本当によかったから、宙組の次期トップ男役は順当にテルで問題ないと私は考えていて、記事にも書きましたが相手役はどうするんだろうねえ、れーれなのかゆーりちゃんなのか組替えがあるのか…みたいなことをのんきに考えていました。
 残留ならテルとスミカで新コンビか、でもなんか似合わないのでは、というツイートに対しては、なんか無性にイヤそんなこともないだろう、と反発したのですが、でもじゃあホントに誰かと新しくコンビを組んでいるスミカを想像すると、なんかホントに悲しくなってしまって…
 可愛かった嫁が誰かに取られちゃうなんて…みたいな。二夫にまみえるあの娘を見るなんて…みたいな。彼女はあの人だけのものでいてもらいたかったのに…みたいな。いつの時代の婆さんなんだ私は!
 フェミニストのはしくれとしてトップコンビを夫婦にたとえることには語弊があると考えていますし、トップ娘役はトップ男役に添い遂げるべきだとも思っていないし、相手役を替えてまた違う輝きを放つ娘役さんたちもたくさん観てきたはずなんだけれど…
 でも…ああなんなの、それはアタマで考えていたことで、実際にウチの子がやるとなると違うのよ、みたいなこのダブルスタンダードのダメさ加減は!と自分でホントにびっくりなのですが。
 ホント、『美しきルナ』では大空さんやめないでヤダヤダとバタバタ騒いでいたときのように、ヤダヤダ一緒にやめてあげて大空さんが寂しいじゃない、みたいな駄々っ子になってしまったんですよ…

 まだまだ発表が出ない月組次期トップについても懸案があって。
 現時点で最右翼はえりたんだと私は思っていますが、では相手役をどうするか。
 またまた縁もゆかりもない落下傘人事なわけで、せめて相手役は月組から出すのか、だとしたらみくちゃん? ゆめちゃん? ちゃぴ?
 でもりっちーがやめちゃうってことはなんかあるのかな、と考えると…相手役も花組から連れてきてみりおん、とか…
 せめて縁を作るなら蘭ちゃんを里帰りさせてまゆたんはみりおんと組ませるというランボーな手もありえなくもないけれど…
 それかれーれを組替えさせて、宙はテルゆーり、とか…
 そこにスミカが残るとなると、そしてテルとスミカでは合わないというなら、たとえばスミカが月に組替えしてえりたんと組むってこともあるわけ?とか…『オグリ』で組んでるし支えてあげられるもんね、でも…
 でも。
 心が狭いと言われようとなんだろうと、「ヤダな…」としか思えなかったのです。ホントごめんスミカ、ホントなんなんだ自分。

 結局は今日、スミカの卒業の発表があって、なんかホッとしちゃってそれこそなんかじんわり泣けちゃったりしたんですけれど…
 ごめんスミカ。でもありがとう、嬉しい。私に礼を言われる筋合いのことではないだろうけれど。悩んで悩んで考えて考えて、つらい中で下した選択だろうし、その理由は私なんかが考えるような次元のこととは全然違うだろうけれど。
 明日の記者会見をネットで見て、週末のCSニュースで見て、また考えることがあるかもしれません。

 というワケで、自分の思いがけない姑根性みたいなものに愕然とした昨日今日でした。
 ホントなんなんだ私…器が小さいよ、心が狭いよ…

 逆にまりもには残ってもらいたかったし、それこそ5年くらいいてもらいたかったけれどなー。
 それでいうとねねちゃんもチエちゃんより先にやめるのではといつもいつも噂されていますが、全然ずっといてもらいたいけれどなー。
 そもそも私はコンビ好きだし娘役好きで、男役を好きなあまりその相手役に嫉妬して悪く言うタイプのファンでは全然ないので、一般的な感覚とはまた違うのかもしれませんが。
 でもまりもが「霧矢さんと一緒に卒業したいと思った」というのもすごく「らしい」と思った。逆にスミカは本当に女優魂があるタイプなので、あれだけ大空さんを好きそうで、大空さんの相手役を務めることを常に謙虚すぎるくらいに感謝していて、それでも、「でも私はまだやりたい」と言って残ることはありえるな、と私には思えただけに、ヒヤリとしたんですよね…
 そのとき、その選択を手放しで認めて喜んであげられなかったと思う。そんな自分が恥ずかしい。でも事実こんなに動揺した自分がいたのです…

 私は娘役に、トップコンビに何を求めているのか。
 なんかいろいろ考える契機になったな、とか思ったり、しました。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする