東京宝塚劇場、2009年11月10日ソワレ、11月18日マチネ。
1763年、フランス・プロバンス地方。両親を亡くしたアンドレ(真飛聖、子役は大河凛)は、祖母マロングラッセの仕えるジャルジェ将軍家で暮らすため、ベルサイユへ向かうことになり、幼なじみのマリーズ(桜乃彩音、子役は天咲千華)に見送られる。再会を約束して…それから20数年後、ブルボン王朝にも翳りが見えていた…原作・外伝原案/池田理代子、脚本・演出/植田紳爾。ジェローデル編、アラン編、ベルナール編と展開した外伝三部作に続き、今年2月に中日劇場で宙組で上演した外伝アンドレ編のブラッシュアップ再演版。
中日劇場版を観ていないのでなんとも言えませんが、はたしてどこがブラッシュアップされていたのでしょうか…
ジェローデル、アラン、ベルナールという、原作でも明らかに脇役で、だけど魅力あるキャラクターに焦点を当てた新ストーリーを展開する外伝三部作、という企画はよかったと思うのです。一本も観ていないけど。
でも、アンドレというのは立派な主要キャラクターです。
もちろん原作はオスカルとアントワネットとフェルゼンの三角関係、という要素が一番大きいかもしれないけれど、オスカルに常に寄り添っているアンドレはその三人に次ぐ大きなキャラクターであり、主役格です。彼を主役に据えた時点で、それは外伝ではない。
なのに、アンドレの幼なじみという原作にないキャラクターを無理に作ったって、そら無理があるに決まっています。アンドレはオスカルにその運命を結び付けられてしまっているキャラクターなんですから。
仮にもトップ娘役が演じるヒロインが、かくも無惨に失恋する宝塚歌劇なんて、はっきり言って意味ないと思うんですけれど…
序盤は、それでも、フォローはしているな、と思ったのです。マリーズ自身も、あれは幼いころの小さなはかない口約束にすぎなくて、いまは心が離れてしまっているかもしれないし、ふたりが進む道がすでにちがっていたとしても仕方がない、でもただもう一度だけ会いたいだけ…と言っています。マリーズと再会したアンドレの言葉や態度にも一定の誠意は感じられる。
けれどそのあと、マリーズに意地悪女を演じさせるのは本当に納得がいきません。「あなたが憎い」なんて言わせないでよー。オスカルとアンドレを死に追いやるような真似を、ヒロインにさせないでよー。そこだけは明らかに脚本家のミスだと思うし、糾弾したいです。
あとは…たとえばブイエ将軍家の縁戚に、マリーズに惚れる若者でも作っておいて、四、五番手あたりに演じさせて、アンドレ亡きあとマリーズは彼と幸せになるのかもしれない…とか思わせてくれる展開があったらベストだったかもしれませんが、でももうそれって『ベルばら』じゃないよね…という痛恨の問題点が…
ううーむ、やはりこの企画はずばり間違っていたのだと思う。宝塚の『ベルばら』に関しては再三言っていますが、オスカルがフィーチャーされすぎる嫌いがあると私は思っていて、原作の主役であるアントワネットをもっときちんと扱うべきだと思うんですよねー。アントワネットが出ていない『ベルばら』ってなんなのよ。アヤネはアントワネットを演じるになんの問題もないトップ娘役だし、というか必ずいつかはやるべきな(しかしそれは宝塚歌劇の終わりを意味するものなのかもしれない)娘役によるオスカル、というのもやってのけられる人材だというのに…
『愛のかたち』も『愛の記憶』もいい曲だと思うけれど、なじみの『ベルばら』名曲群がまったく登場しなかったのも残念でした。
…あとは、まあ…ユリカーテンでぶつ切りにされるストーリーにいちいち文句を言っていても仕方がないし、二度目はあきらめて生徒のたっぷりした芝居を楽しんでしまったので、いいんですけれどね…
しかし「この脚本家、バカちゃうか」と思うのは、「星が綺麗だ」「結婚しようなどと思ってはいない」「知らないではなかった」というこれまた有名なセリフを、何故か二度ずつ言わせることですよ。しかも「結婚~」というアンドレのセリフ意外は、ちがうキャラにちがうシチュエーションで言わせているんですよ。もしかしてわざとで粋なつもりなの? ひとつの芝居でそのシーン、そのキャラの口からだけ出る言葉だからこそ重みがあるんでしょ?
あと、未遂に終わったからいいとはいえ、いわゆる「今宵一夜」を外にした理由はなんなの!? 結果的にアンドレとオスカル(愛音羽麗)のキスも省かれているわけですが…確かにそのままそこで始められるよりはいいんですけれど!!!
というわけで三番手のみわっちがオスカルに回って当然の儲け役かつどう見てもヒロイン(ただし一番の見せ場である革命シーンはなんとアンドレに譲っている…)。本人は『太王四神記』に続く女性役で思うところはあったでしょうが、中世的でフェアリーアイドルタイプだから、まあニンです。それでも初見はまとぶんの押し出しのいいアンドレに比べて凛々しさが足りなく見えて、アンドレより格下のオスカルなんてイヤ…と思ってしまったものでした。
二番手の壮一帆はアラン役になったので、開演して40分くらいたたないと出てきません。
これまたファンにはつらいでしょう。
しかもアンドレとのシーンばかりでオスカルとのシーンはない、これも苦しい。でもアランや衛兵隊たちは元気で暑苦しくてとてもよかったですけれどね。「おまえ、若いな」とアランを笑うアンドレもとても素敵でした。
ちなみにアンドレが霞む目を押してでも隊と一緒に出撃したがったのはもちろんオスカルのそばにいるためなのですが、そのセリフがなかったため、アンドレが土下座してまで何をアランたちに頼んでいたのか観客にはわかりづらかったのではないかとヒヤヒヤしました。
未涼亜希のベルナール、衛兵隊のアルマン華形ひかる、シャロン朝夏まなと、フェルゼンの真野すがたはすべて役不足。
逆に専科が大活躍で、マロングラッセ(邦なつき)のセリフが全編通して一番多かったのではなかろうか…星原美沙緒のブイエ将軍が出色で、箙かおるのジャルジェ将軍はややアットホームタイプな作りでした。
その他上級生が酒場の女主人や伯爵夫人たちに扮するので、下級生の娘役はほとんど出番なし。大変かわいそうでした。
一転して、スパークリング・ショーの作・演出は藤井大介。こちらは何度でも見たい!赤と黒と金と白の弾ける濃くて艶やかで華やかで熱いショーでした。
トップトリオのバックに若手男役四人口、というのはよくある構成ですが、私は今回この中ではまっつのダンスに釘付けでした。カウントのとり方が好み! 上手い!!
『太王四神記』ではヒョンゴだったので、どちらかといえば歌手かと思っていたのですが、実はダンサーだったのですね。ごめん、青龍のダンスとか、ユウヒしか観てなかったからさー。
そしてホゲママだった花野じゅりあちゃんの意地悪そうな顔に惚れた。華耀きらりちゃんがすごく楽しそうに嬉しそうにくねくね踊るのにも惚れた。
もちろんアヤネの本来の魅力全開エキサイトトールSやセクシードールSも絶品、まとぶんはMr.YUの歌がとてもキュートでした。チェリーを落とすところまでやるのかなーと思ったけれど…
マチネのときは最前列どセンターの招待席でミッチーご観劇。『相棒』楽しみです!
1763年、フランス・プロバンス地方。両親を亡くしたアンドレ(真飛聖、子役は大河凛)は、祖母マロングラッセの仕えるジャルジェ将軍家で暮らすため、ベルサイユへ向かうことになり、幼なじみのマリーズ(桜乃彩音、子役は天咲千華)に見送られる。再会を約束して…それから20数年後、ブルボン王朝にも翳りが見えていた…原作・外伝原案/池田理代子、脚本・演出/植田紳爾。ジェローデル編、アラン編、ベルナール編と展開した外伝三部作に続き、今年2月に中日劇場で宙組で上演した外伝アンドレ編のブラッシュアップ再演版。
中日劇場版を観ていないのでなんとも言えませんが、はたしてどこがブラッシュアップされていたのでしょうか…
ジェローデル、アラン、ベルナールという、原作でも明らかに脇役で、だけど魅力あるキャラクターに焦点を当てた新ストーリーを展開する外伝三部作、という企画はよかったと思うのです。一本も観ていないけど。
でも、アンドレというのは立派な主要キャラクターです。
もちろん原作はオスカルとアントワネットとフェルゼンの三角関係、という要素が一番大きいかもしれないけれど、オスカルに常に寄り添っているアンドレはその三人に次ぐ大きなキャラクターであり、主役格です。彼を主役に据えた時点で、それは外伝ではない。
なのに、アンドレの幼なじみという原作にないキャラクターを無理に作ったって、そら無理があるに決まっています。アンドレはオスカルにその運命を結び付けられてしまっているキャラクターなんですから。
仮にもトップ娘役が演じるヒロインが、かくも無惨に失恋する宝塚歌劇なんて、はっきり言って意味ないと思うんですけれど…
序盤は、それでも、フォローはしているな、と思ったのです。マリーズ自身も、あれは幼いころの小さなはかない口約束にすぎなくて、いまは心が離れてしまっているかもしれないし、ふたりが進む道がすでにちがっていたとしても仕方がない、でもただもう一度だけ会いたいだけ…と言っています。マリーズと再会したアンドレの言葉や態度にも一定の誠意は感じられる。
けれどそのあと、マリーズに意地悪女を演じさせるのは本当に納得がいきません。「あなたが憎い」なんて言わせないでよー。オスカルとアンドレを死に追いやるような真似を、ヒロインにさせないでよー。そこだけは明らかに脚本家のミスだと思うし、糾弾したいです。
あとは…たとえばブイエ将軍家の縁戚に、マリーズに惚れる若者でも作っておいて、四、五番手あたりに演じさせて、アンドレ亡きあとマリーズは彼と幸せになるのかもしれない…とか思わせてくれる展開があったらベストだったかもしれませんが、でももうそれって『ベルばら』じゃないよね…という痛恨の問題点が…
ううーむ、やはりこの企画はずばり間違っていたのだと思う。宝塚の『ベルばら』に関しては再三言っていますが、オスカルがフィーチャーされすぎる嫌いがあると私は思っていて、原作の主役であるアントワネットをもっときちんと扱うべきだと思うんですよねー。アントワネットが出ていない『ベルばら』ってなんなのよ。アヤネはアントワネットを演じるになんの問題もないトップ娘役だし、というか必ずいつかはやるべきな(しかしそれは宝塚歌劇の終わりを意味するものなのかもしれない)娘役によるオスカル、というのもやってのけられる人材だというのに…
『愛のかたち』も『愛の記憶』もいい曲だと思うけれど、なじみの『ベルばら』名曲群がまったく登場しなかったのも残念でした。
…あとは、まあ…ユリカーテンでぶつ切りにされるストーリーにいちいち文句を言っていても仕方がないし、二度目はあきらめて生徒のたっぷりした芝居を楽しんでしまったので、いいんですけれどね…
しかし「この脚本家、バカちゃうか」と思うのは、「星が綺麗だ」「結婚しようなどと思ってはいない」「知らないではなかった」というこれまた有名なセリフを、何故か二度ずつ言わせることですよ。しかも「結婚~」というアンドレのセリフ意外は、ちがうキャラにちがうシチュエーションで言わせているんですよ。もしかしてわざとで粋なつもりなの? ひとつの芝居でそのシーン、そのキャラの口からだけ出る言葉だからこそ重みがあるんでしょ?
あと、未遂に終わったからいいとはいえ、いわゆる「今宵一夜」を外にした理由はなんなの!? 結果的にアンドレとオスカル(愛音羽麗)のキスも省かれているわけですが…確かにそのままそこで始められるよりはいいんですけれど!!!
というわけで三番手のみわっちがオスカルに回って当然の儲け役かつどう見てもヒロイン(ただし一番の見せ場である革命シーンはなんとアンドレに譲っている…)。本人は『太王四神記』に続く女性役で思うところはあったでしょうが、中世的でフェアリーアイドルタイプだから、まあニンです。それでも初見はまとぶんの押し出しのいいアンドレに比べて凛々しさが足りなく見えて、アンドレより格下のオスカルなんてイヤ…と思ってしまったものでした。
二番手の壮一帆はアラン役になったので、開演して40分くらいたたないと出てきません。
これまたファンにはつらいでしょう。
しかもアンドレとのシーンばかりでオスカルとのシーンはない、これも苦しい。でもアランや衛兵隊たちは元気で暑苦しくてとてもよかったですけれどね。「おまえ、若いな」とアランを笑うアンドレもとても素敵でした。
ちなみにアンドレが霞む目を押してでも隊と一緒に出撃したがったのはもちろんオスカルのそばにいるためなのですが、そのセリフがなかったため、アンドレが土下座してまで何をアランたちに頼んでいたのか観客にはわかりづらかったのではないかとヒヤヒヤしました。
未涼亜希のベルナール、衛兵隊のアルマン華形ひかる、シャロン朝夏まなと、フェルゼンの真野すがたはすべて役不足。
逆に専科が大活躍で、マロングラッセ(邦なつき)のセリフが全編通して一番多かったのではなかろうか…星原美沙緒のブイエ将軍が出色で、箙かおるのジャルジェ将軍はややアットホームタイプな作りでした。
その他上級生が酒場の女主人や伯爵夫人たちに扮するので、下級生の娘役はほとんど出番なし。大変かわいそうでした。
一転して、スパークリング・ショーの作・演出は藤井大介。こちらは何度でも見たい!赤と黒と金と白の弾ける濃くて艶やかで華やかで熱いショーでした。
トップトリオのバックに若手男役四人口、というのはよくある構成ですが、私は今回この中ではまっつのダンスに釘付けでした。カウントのとり方が好み! 上手い!!
『太王四神記』ではヒョンゴだったので、どちらかといえば歌手かと思っていたのですが、実はダンサーだったのですね。ごめん、青龍のダンスとか、ユウヒしか観てなかったからさー。
そしてホゲママだった花野じゅりあちゃんの意地悪そうな顔に惚れた。華耀きらりちゃんがすごく楽しそうに嬉しそうにくねくね踊るのにも惚れた。
もちろんアヤネの本来の魅力全開エキサイトトールSやセクシードールSも絶品、まとぶんはMr.YUの歌がとてもキュートでした。チェリーを落とすところまでやるのかなーと思ったけれど…
マチネのときは最前列どセンターの招待席でミッチーご観劇。『相棒』楽しみです!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます