ラルヴィク警察の警部ヴィリアム・ヴィスティングが失踪したカタリーナ・ハウゲンの行方を追い始めて、24年がたっていた。事件が起きた10月10日、今年もヴィスティングはカタリーナの夫マッティン・ハウゲンを訪ねたが、彼は留守だった。異例のことだった。翌日、国歌犯罪捜査局のアドリアン・スティレルが来訪する。スティレルはカタリーナ事件の2年前に起きたナディア・クローグ誘拐事件を殺人事件と見なして再捜査を始め、その被疑者としてマッティンの名を挙げたのだ…英訳された北欧ミステリに与えられる最高賞「ペトローナ賞」2019年受賞作。
500ページ近くある文庫で、流行りの北欧ミステリで、楽しくねちねち読んだのですが、近年まれに見る「えっ、これだけ!?」というオチに悪い意味で驚倒したので、書き付けておきます。
普通、もっとあるじゃないですか、ドラマが。別に「どんでん返しのケレンに頼らな」くても、小説なんだから、なんかもっとあってよくない? これだけネタ揃えていて?
たとえば、このお膳立てなら普通、ヴィスティングと娘リーネやその兄との確執とか、何か家族のドラマを読者は期待しませんかね? 何もないのに主人公が定年間際で娘がシングルマザーで記者の仕事に復帰しかけたところで…とかの設定、要ります?
スティレルにも、別に実は彼が真犯人だった!みたいなことまでは望まないけれど、もっとなんかワケありな感じでずっと描かれてきたじゃないですか。辣腕エリートなのは虚像で、陰に不眠症のストレスとか、もっと言えば病的なものがあるのに、何もつっこまれず解消もされないままに、終わり?
ヴィスティングとマッティンの友情だって、なんかもっとあるはずでは? 刑事と容疑者という立場で出会ったけれど、アリバイが判明して容疑が晴れたあとは、友達づきあいめいたことをずっとしてきて、でも怪しいような、でも信じたいような…って葛藤のドラマが、匂わせただけで結局何も描かれない。というかあっさりマッティンの死で終わる。
タイトルのコードも、暗号などではなくマイナーな番号だと判明して、終わり。殺人ではなく事故だったという真相がわかって事件が終わるにしても、もうひとつ殺人はあったわけだし、でもそこで彼らがどんな夫婦だったのかとか彼女が家族とどんな問題を抱えていたのかとかは見えてこない、描かれない。え、じゃ何が書きたくて書いたのこの小説? ホント謎なんですけど…
真相が解明されておしまい、じゃただのパズルです。それは小説ではない、人間ドラマではない。筆致もいいのに、ずっと何かありそうに書かれているのに、最後は何もない。もっと社会派というか人生の、人間の物語に、いかにもなりそうでまったくならない、驚きの一冊でした。もしかしたらシリーズ化されて少しずつ何かが進み解き明かされていくのかもしれませんが…ううーむむむ。
500ページ近くある文庫で、流行りの北欧ミステリで、楽しくねちねち読んだのですが、近年まれに見る「えっ、これだけ!?」というオチに悪い意味で驚倒したので、書き付けておきます。
普通、もっとあるじゃないですか、ドラマが。別に「どんでん返しのケレンに頼らな」くても、小説なんだから、なんかもっとあってよくない? これだけネタ揃えていて?
たとえば、このお膳立てなら普通、ヴィスティングと娘リーネやその兄との確執とか、何か家族のドラマを読者は期待しませんかね? 何もないのに主人公が定年間際で娘がシングルマザーで記者の仕事に復帰しかけたところで…とかの設定、要ります?
スティレルにも、別に実は彼が真犯人だった!みたいなことまでは望まないけれど、もっとなんかワケありな感じでずっと描かれてきたじゃないですか。辣腕エリートなのは虚像で、陰に不眠症のストレスとか、もっと言えば病的なものがあるのに、何もつっこまれず解消もされないままに、終わり?
ヴィスティングとマッティンの友情だって、なんかもっとあるはずでは? 刑事と容疑者という立場で出会ったけれど、アリバイが判明して容疑が晴れたあとは、友達づきあいめいたことをずっとしてきて、でも怪しいような、でも信じたいような…って葛藤のドラマが、匂わせただけで結局何も描かれない。というかあっさりマッティンの死で終わる。
タイトルのコードも、暗号などではなくマイナーな番号だと判明して、終わり。殺人ではなく事故だったという真相がわかって事件が終わるにしても、もうひとつ殺人はあったわけだし、でもそこで彼らがどんな夫婦だったのかとか彼女が家族とどんな問題を抱えていたのかとかは見えてこない、描かれない。え、じゃ何が書きたくて書いたのこの小説? ホント謎なんですけど…
真相が解明されておしまい、じゃただのパズルです。それは小説ではない、人間ドラマではない。筆致もいいのに、ずっと何かありそうに書かれているのに、最後は何もない。もっと社会派というか人生の、人間の物語に、いかにもなりそうでまったくならない、驚きの一冊でした。もしかしたらシリーズ化されて少しずつ何かが進み解き明かされていくのかもしれませんが…ううーむむむ。