青山円形劇場、2012年8月7日ソワレ。
銀行の支店長まで務め上げ、今は静かな引退生活を送る独身男ヘンリーは、ある日、86歳で他界した母親の葬式で、叔母オーガスタと50数年ぶりの再会を果たす。すでに70代後半だという叔母だったが、その生き方は自由奔放で、誘われるままに共に旅に出たヘンリーは波乱と冒険の真っ只中へ…
原作/グレアム・グリーン、劇化/ジャイルズ・ハヴァガル、翻訳/小田島恒志、演出/松村武。全2幕。
小さなリーフレットを劇場でいただいただけなのでわからないのですが(プログラムは売っていなかった)、確か去年初演されたものの再演。
役者は段田安則、浅野和之、高橋克実、鈴木浩介の四人だけ。
ひとりで何役もやるし、主人公ヘンリー役は四人が交互に演じたりして、魔法を見ているような、演劇の醍醐味の権化みたいな舞台でした。
この劇場独特の白いサーカスリングのような何もない舞台が、世界のどこにでも変化するおもしろさと言ったらたまりません。
浅野和之の女役はいじらしくて可愛いよなあ。
そして、改めて西欧文学とは詩と切っても切れないのだな、ことに戯曲はとても詩と近いところにあるのだろうな、と思わせられました。和歌を手放して長い我々日本人の庶民にはなかなかわかりづらい感覚でもある…でもその豊かさ、まさしく詩情は十分感じられました。
オチというか、叔母の正体については確かに途中で類推がつきますし、そのとおりに展開してもだからそれで感動するということではないのですが、でもヘンリーが世界をほとんど半周してたどりついた場所、そこで得たものの素晴らしさにはやはり強く胸打たれました。
そしてそれを一言でまとめてみせるのが、かの有名な詩のワンフレーズなのでした。その深さ、ハマり具合…泣けました、ボロ泣きしました…!
そして私がそれに泣けたのは、私がその詩を知っていたからであり、そしてなぜ知っていたかといえばその詩が入った詩集を読んだことがあるわけではなくて、その詩が出てくる漫画を読んだことがあったからです。
私のすべての感性や教養はこれまで読んできた漫画に立脚していると言ってもほとんど過言ではないのでした。そして私はそれを自慢に思います。そんな自分も、自分にそういうものを与えてくれてきた日本の漫画というものについても。
ちなみに今回のことで言えば、その詩を私が読んだのは萩尾望都『ポーの一族』の『小鳥の巣』でした。名作だよね!
まあそういうことを別にしても、とてもよくできた、楽しい、おもしろい舞台でした。
おっさん四人(失礼!)が生み出すロマンあふれる絶妙な舞台、堪能しました!
銀行の支店長まで務め上げ、今は静かな引退生活を送る独身男ヘンリーは、ある日、86歳で他界した母親の葬式で、叔母オーガスタと50数年ぶりの再会を果たす。すでに70代後半だという叔母だったが、その生き方は自由奔放で、誘われるままに共に旅に出たヘンリーは波乱と冒険の真っ只中へ…
原作/グレアム・グリーン、劇化/ジャイルズ・ハヴァガル、翻訳/小田島恒志、演出/松村武。全2幕。
小さなリーフレットを劇場でいただいただけなのでわからないのですが(プログラムは売っていなかった)、確か去年初演されたものの再演。
役者は段田安則、浅野和之、高橋克実、鈴木浩介の四人だけ。
ひとりで何役もやるし、主人公ヘンリー役は四人が交互に演じたりして、魔法を見ているような、演劇の醍醐味の権化みたいな舞台でした。
この劇場独特の白いサーカスリングのような何もない舞台が、世界のどこにでも変化するおもしろさと言ったらたまりません。
浅野和之の女役はいじらしくて可愛いよなあ。
そして、改めて西欧文学とは詩と切っても切れないのだな、ことに戯曲はとても詩と近いところにあるのだろうな、と思わせられました。和歌を手放して長い我々日本人の庶民にはなかなかわかりづらい感覚でもある…でもその豊かさ、まさしく詩情は十分感じられました。
オチというか、叔母の正体については確かに途中で類推がつきますし、そのとおりに展開してもだからそれで感動するということではないのですが、でもヘンリーが世界をほとんど半周してたどりついた場所、そこで得たものの素晴らしさにはやはり強く胸打たれました。
そしてそれを一言でまとめてみせるのが、かの有名な詩のワンフレーズなのでした。その深さ、ハマり具合…泣けました、ボロ泣きしました…!
そして私がそれに泣けたのは、私がその詩を知っていたからであり、そしてなぜ知っていたかといえばその詩が入った詩集を読んだことがあるわけではなくて、その詩が出てくる漫画を読んだことがあったからです。
私のすべての感性や教養はこれまで読んできた漫画に立脚していると言ってもほとんど過言ではないのでした。そして私はそれを自慢に思います。そんな自分も、自分にそういうものを与えてくれてきた日本の漫画というものについても。
ちなみに今回のことで言えば、その詩を私が読んだのは萩尾望都『ポーの一族』の『小鳥の巣』でした。名作だよね!
まあそういうことを別にしても、とてもよくできた、楽しい、おもしろい舞台でした。
おっさん四人(失礼!)が生み出すロマンあふれる絶妙な舞台、堪能しました!