日本青年館、2012年2月16日マチネ。
1933年、ベルリン。写真通信社「デ・フォト」の新米カメラマン、アンドレ・フリードマン(凰稀かなめ)はある日、質屋の主人と殴り合いになる騒ぎを起こす。生活のために質入れしたカメラ、ライカが売られてしまったのだ。やがて彼は親友のチーキ・ヴェイス(春風弥里)とともにフォト・ジャーナリストとしての成功を夢見てパリへ向かうが…
作・演出/原田諒、作曲・編曲/太田健。全2幕。
軽快なミュージカルとして、とても良くできていると思いました。
流れるように歌とダンスが入り、物語が展開していくさまはとても美しい。
ただ全体としては、伝記ものなので仕方がないのかもしれませんが、「こういうことがありました」という事実の羅列になっているように私には見えてしまい、ドラマとしてのおもしろさは感じられなかったかな。
たとえばヒロインのゲルダ・タロー(伶美うらら)とはビジネス・パートナーでもあり恋人同士だったようですが、才能あるライターで、政治や世情に対する見識もあって、アンドレに「ロバート・キャパ」という名を与えるというか架空の存在を作り出す才覚もある知的な女性です。
そんな彼女とこんな(いやあの他意はありません)アンドレとの恋はどこからどう始まったのかとか、私としてはそちらの方が見たかったですけれどね。
スペインでの別れのシーンがよかっただけに、そしてその後の永遠の別れが史実とはいえ本当にせつなくドラマチックだっただけに、残念でした。
あとはみんなが言っていることですが、二番手格のみーちゃんの扱いが酷すぎる。チーキの活躍が史実としてこの程度なら、脚色や創作を加えてでも、それこそ捏造してでも出番を増やすか、別の役に当てるべきです。それは宝塚歌劇の座付き役者として当然の仕事です。しかも組替えを控えた、この組で最後の公演に花を持たせすぎるということはない! フェデリコ(鳳樹いち)との二役をやらせたってよかったくらいのはずです。
『Je Chate』も『ニジンスキー』も私はまあまあ楽しく観ましたが、次はトップスターの退団公演ですからね、頼むよ!!!
それでいうと専科さんの扱いもちょっと不満で、ユウちゃんさんなんか『クライタ』の足元にも及ばないし、母親役の光あけみの場面も私は唐突に感じました…
ハンガリーに生まれ育ったユダヤ人として、ベルリンからパリへ出ていった者としてのドラマがもっと見えればよかったのかもしれませんが…私にはあまり意味のある場面に見えなかったんだなあ。
うまくつなげれば、キャパという名前を作ったこと、その名で活躍したこと、それが自分であることを明かすことのドラマが盛り上がったろうとは思うのですが…ううーむ。
背景の空や照明が美しかったことは特筆したいです。
アバンとしてインドシナで地雷で落命したことを暗示する場面があり、二幕ラストも似た構図で終わるのですが、こちらは未来に向かってしっかり歩いていくすがすがしい後ろ姿になっていて、感動的だし美しかったです。
こういう構成も鮮やかだったと思いました。
テルは超絶スタイルで人間味あふれる主人公を好演、眼福。でももっとでれでれした甘アマ芝居と役も観てみたいですけれどね(^^;)。
すがるように言う「もう俺を愛していないのか」が絶品でした。そういうキャラクターだってことですよ、それを生かさない手はないよ!
ゆーりちゃんはまだまだこれから。『記者と皇帝』で抜擢されたときは「こんな綺麗な子がいたんだ」という程度ですみましたが、ヒロインとなるといっぱいいっぱい感が出すぎちゃってます。
ゲルダだからクールで知的でお堅いのか、単に役者が大根で固くて無表情でギクシャクしているのかわかんないんだもん。
もちろん場数が人を成長させるので、がんばってほしいです。というワケで宙組トップは月組ほどモメないと信じたいですが、トップ娘役はとりあえず(とりあえず言うな)れーれでどうだろう…いやれみちゃんが来てくださってもいいのですが。
ちや姉、あおいちゃん、ちーちゃんにいちくん、もんち、りくとみな手堅い。
あ、タラちゃん可愛かったなー。スペインの場面やフィナーレできりっと踊っているのも素敵でした。
『ゲルニカ』の模写を中学のとき美術の授業でやらされたことを思い出しましたよ…モデルとして不自然なポーズを取らされている場面は笑うところですが、のちのスペインの戦争場面で蹂躙される兵士や民間人たちが虐げられてしんどいポーズを取るときに重なって、泣きそうでした。
トークショーがつく回でしたが、司会のあおいちゃんを助けて話を回すちーちゃんがさすがでした。惚れるわ。
1933年、ベルリン。写真通信社「デ・フォト」の新米カメラマン、アンドレ・フリードマン(凰稀かなめ)はある日、質屋の主人と殴り合いになる騒ぎを起こす。生活のために質入れしたカメラ、ライカが売られてしまったのだ。やがて彼は親友のチーキ・ヴェイス(春風弥里)とともにフォト・ジャーナリストとしての成功を夢見てパリへ向かうが…
作・演出/原田諒、作曲・編曲/太田健。全2幕。
軽快なミュージカルとして、とても良くできていると思いました。
流れるように歌とダンスが入り、物語が展開していくさまはとても美しい。
ただ全体としては、伝記ものなので仕方がないのかもしれませんが、「こういうことがありました」という事実の羅列になっているように私には見えてしまい、ドラマとしてのおもしろさは感じられなかったかな。
たとえばヒロインのゲルダ・タロー(伶美うらら)とはビジネス・パートナーでもあり恋人同士だったようですが、才能あるライターで、政治や世情に対する見識もあって、アンドレに「ロバート・キャパ」という名を与えるというか架空の存在を作り出す才覚もある知的な女性です。
そんな彼女とこんな(いやあの他意はありません)アンドレとの恋はどこからどう始まったのかとか、私としてはそちらの方が見たかったですけれどね。
スペインでの別れのシーンがよかっただけに、そしてその後の永遠の別れが史実とはいえ本当にせつなくドラマチックだっただけに、残念でした。
あとはみんなが言っていることですが、二番手格のみーちゃんの扱いが酷すぎる。チーキの活躍が史実としてこの程度なら、脚色や創作を加えてでも、それこそ捏造してでも出番を増やすか、別の役に当てるべきです。それは宝塚歌劇の座付き役者として当然の仕事です。しかも組替えを控えた、この組で最後の公演に花を持たせすぎるということはない! フェデリコ(鳳樹いち)との二役をやらせたってよかったくらいのはずです。
『Je Chate』も『ニジンスキー』も私はまあまあ楽しく観ましたが、次はトップスターの退団公演ですからね、頼むよ!!!
それでいうと専科さんの扱いもちょっと不満で、ユウちゃんさんなんか『クライタ』の足元にも及ばないし、母親役の光あけみの場面も私は唐突に感じました…
ハンガリーに生まれ育ったユダヤ人として、ベルリンからパリへ出ていった者としてのドラマがもっと見えればよかったのかもしれませんが…私にはあまり意味のある場面に見えなかったんだなあ。
うまくつなげれば、キャパという名前を作ったこと、その名で活躍したこと、それが自分であることを明かすことのドラマが盛り上がったろうとは思うのですが…ううーむ。
背景の空や照明が美しかったことは特筆したいです。
アバンとしてインドシナで地雷で落命したことを暗示する場面があり、二幕ラストも似た構図で終わるのですが、こちらは未来に向かってしっかり歩いていくすがすがしい後ろ姿になっていて、感動的だし美しかったです。
こういう構成も鮮やかだったと思いました。
テルは超絶スタイルで人間味あふれる主人公を好演、眼福。でももっとでれでれした甘アマ芝居と役も観てみたいですけれどね(^^;)。
すがるように言う「もう俺を愛していないのか」が絶品でした。そういうキャラクターだってことですよ、それを生かさない手はないよ!
ゆーりちゃんはまだまだこれから。『記者と皇帝』で抜擢されたときは「こんな綺麗な子がいたんだ」という程度ですみましたが、ヒロインとなるといっぱいいっぱい感が出すぎちゃってます。
ゲルダだからクールで知的でお堅いのか、単に役者が大根で固くて無表情でギクシャクしているのかわかんないんだもん。
もちろん場数が人を成長させるので、がんばってほしいです。というワケで宙組トップは月組ほどモメないと信じたいですが、トップ娘役はとりあえず(とりあえず言うな)れーれでどうだろう…いやれみちゃんが来てくださってもいいのですが。
ちや姉、あおいちゃん、ちーちゃんにいちくん、もんち、りくとみな手堅い。
あ、タラちゃん可愛かったなー。スペインの場面やフィナーレできりっと踊っているのも素敵でした。
『ゲルニカ』の模写を中学のとき美術の授業でやらされたことを思い出しましたよ…モデルとして不自然なポーズを取らされている場面は笑うところですが、のちのスペインの戦争場面で蹂躙される兵士や民間人たちが虐げられてしんどいポーズを取るときに重なって、泣きそうでした。
トークショーがつく回でしたが、司会のあおいちゃんを助けて話を回すちーちゃんがさすがでした。惚れるわ。