駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

OSK日本歌劇団『ADDIO/Dance of JOY』

2012年02月26日 | 観劇記/タイトルあ行
 三越劇場、2012年2月26日マチネ(千秋楽)。

 二度目のOSK観劇で、今回はお芝居が観られるというので楽しみにしていたのですが、なんとプログラムが前日に完売! NO予備知識での観劇となってしまいました。
 というワケで感想もいつもよりアレなところもあるかもしれませんが、忘れないためにも書いておきたいと思います。

 原作はヴェルディのオペラ『レニャーノの戦い』。北イタリアが神聖ローマ帝国と国境を争っていたころの物語。
 三越劇場はレトロで壁なんかも素敵なのですが、それがそのまま装置のようで効果的でした。
 ただ、こちらが予備知識がないだけに、演出で手助けしてもらいたいと思った点がちらほらと…
 まず、しつこいですが劇場がレトロなので仕方ないのかもしれませんが、照明がもう一段階明るいだけで人物が見分けやすいのになーと思いました。こちらが不慣れだし二階席だったので遠目になるので。
 特にもっと明るいピンスポットがあればよかった。そして主役が登場したときにはきちんとライトを当てて、できれば音楽も止めて、周りの人物に名前を呼びかけさせれるとかしてアピールするとよかったと思います。拍手も入れられるし。宝塚歌劇ではむしろ古臭い演出法ですが、こういう様式美は意外と大事だと思いました。
 というのは、冒頭、パーティーらしき場面から始まるのですが、舞台中央で娘役さんたちが踊っているのを眺めている間に、上手からトップスターと二番手スターが登場したらしく、パラパラと拍手が上がったのでやっと気づいてそちらを見たのですが、特にライトが誰かを浮かび上がらせているわけでもないので、一応あの人が主人公でその隣の人が親友役だろう、と推測はできたものの(主人公が親友の妻を好きになる話、だとは事前に聞いていたので)、しばらく自信が持てなかったからです。
 こういうところは、観客にもっと親切にしていいと思います。
 それから、台詞にキャラクターの名前をもっと入れて、呼び合わせてほしい。主人公のロランドよりアリーゴ役の方が先に名前が出たような気がしましたし、アリーゴの名は出るのにロランドの名はなかなか出なかった気がしました。名前がわからないとキャラクター(登場人物)が識別できないものです。
 さらにそれから、アリーゴは「野暮天」とか評されるのでそれでキャラクターが(この場合は性格の特徴、という意味)つかめますが(そういう芝居もするし)、肝心の主役のロランドのキャラクターを立てるエピソードが全然ないのが気になりました。喧嘩っ早いミケーレ(だったかな?)の決闘騒ぎを仲裁するのはロランドにやらせてもいいんじゃないの?という気がしました。

 アリーゴが戦場で行方不明になるのにも、たとえばロランドをかばって、とか、ロランドと相談して担当地区を二分して、たまたまアリーゴの方が激戦区となったのをロランドは見守るしかなく…とか、とにかくせっかく主人公なんだからもっと活躍させてあげないと…と思いました。
 なんか戦争に行かずひとり安穏と街で待っていた人みたいな見えちゃうので…いや文官だったとか政治家だったとかなのかもしれませんが。

 アリーゴが戦地から帰らないので、悲嘆にくれる新妻リーダの面倒を見るために、ロランドはリーダを妻に迎えます。
 ここも本当はもっと丁寧に見せてほしかったけれどなー。でも十分類推できる筋書きだし、脳内補完はできるので、逆にリーダが監察官みたいなキャラクター(ついに名前が出なかった気がします…「裏切り者の子」呼ばわりされていた人物のことです)と会話するくだりに回想シーンを入れたのはうるさかったかも。なんか今さらそこを見せられても…という気がしました。だったら時系列順に見たかった。
 しかしリーダの歌はよかったなー。全体に歌がみんな上手かったけれど、この役者さんのプリマっぷりは際立っていたと思いました。

 ニコラも役としてはとてもツボでしたが、こういうスタンスの人ならロランドに帰還兵がいるらしいことをわざわざ報告しないよね。ネグろうとするところをロランドが聞き出す、とかしないとさあ。いったいにロランドは脚本に芝居をさせてもらえてないので、なんかただ流されるかつっ立ってるかする優男に見えちゃってもったいなかったです。もっと素敵な主人公にしてあげられたよ彼は~!

 アルダもなかなかいい役でしたが、エマ(エバ?)役の方も素敵で、全体に娘役さんがバンとしていていいなーと思いました。でもこの役も名前がなかなか呼ばれなかった…
 ところでアバンとラストの修道院か何かですが、私はリーダもアリーゴも死んでロランドが入っていて、客に訪ねられたのもロランドなのかと思っていたのですが、台詞からするとリーダのことなの? でもリーダはロランドの腕の中で死んだんじゃないの??
 あれれれれ…
 ともあれとても素敵なメロドラマで、さすがヴェルディ、キムシン宝塚でやんない?と思ってしまいました(^^;)。

 レビューは楽しかったです! 人数が少ないのによくがんばっていたなあ。
 黒いスリットワンピの娘役さんだけの場面がよかったです。短いけれど娘役さん同士で組んで絡む振りもあったし。
 ロケットも衣装がかわいいし時間たっぷりだし振りは激しいしで感激しました。
 そして腕まくり黒燕尾! ぎゃー、やっぱカッコいいいよねー!!
 あ、『カノン』で今歌われている「アルディラ」がここでも歌われていました。

 千秋楽で会場は満席、卒業する方もひとりいて、カーテンコールがとてもあたたかでした。
 個人的には宝塚歌劇とのすみわけというか、OSKなりのオリジナリティってなんだろう、とまだつかみきれていないところなのですが…やはり一度は本場で観てみたいかなあ、と思いました。

コメント (2)
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