映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ある男(2022年)

2023-05-27 | 【あ】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv74754/


以下、上記リンクよりあらすじのコピペです(青字は筆者加筆)。

=====ここから。
 
 弁護士の城戸(妻夫木聡)は、ある女性から亡くなった夫、大祐(窪田正孝)の身辺調査を依頼される。

 依頼者である里枝(安藤サクラ)は、離婚を機に子どもと故郷へ戻った際に大祐と出会い、再婚して幸せに暮らしていたが、不慮の事故で彼を亡くしてしまう。悲しみに暮れるなか、法要に訪れた大祐の兄、恭一(眞島秀和)が遺影に写る男を見て、「これは弟ではない」と告げたことで、夫がまったくの別人であったことが判明。

 依頼を受けて亡くなった男の正体を追う城戸は、衝撃の真実を知る。

=====ここまで。


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 先日、3泊4日で台湾へ行ってまいりました。めっちゃ過密スケジュールで体力使いましたが、楽しかったです。……で、行き帰りの飛行機の中で、この映画を見ました。機内であんまし集中力を要する映画は見られないタチだし、本作は、原作者の平野啓一郎氏のTwitterで存在を知っていたので、まぁ見てみるか、、、という感じで選んだ次第。

 原作未読ですが、これ、日本アカデミー賞(賞価値の是非はともかく)で何部門も賞を獲っているらしく(平野氏もTwitterでお喜びだった)、その時点で邦画界のレベルの低さを如実に物語っていると頭が痛くなりそうです。

 ……というわけで、本作をお好きな方は、この後お読みにならない方が良いです(読まれる場合は自己責任でお願いします)。悪意はありませんが、かなり悪口になっていますので。


◆小説と映画は別物と考えられない監督なのか。

 見終わってから知ったのだが、本作の監督は、あの『蜜蜂と遠雷』の石川慶で、その名前を見てちょっと納得したというか、あぁ、、、と思った。というのは、本作の監督は、原作モノを映像化するのがかなり下手くそだという印象で、『蜜蜂と遠雷』も同じだったからである。

 私が一番??と思ったのは、ヘイトスピーチの映像が何か所か挟まれていたところ。これ、多分、原作はきちんと意味のある話になっているのだと思うが、本作では完全に浮いていて、まったく意味のないシーンとなっている。城戸が在日三世であることに絡めて、、、だろうが、だから何だ?である。というか、在日三世として被差別者である、という城戸のアイデンティティは、本作全般に全く活かされていない。

 なので、それに絡む柄本明の怪演も、全然生きておらず、ただただゲームのラスボス的な印象ばかりが目立ってしまっている。

 さらに、ヘンと言えば、城戸のような人権派弁護士が、ああいう女性を妻にするだろうか?ということにメチャクチャ違和感があった。ああいう女性というのは、簡単にいうと、チャラい外見まんまのちょっと頭悪い、、、というか、想像力の乏しい女である(演じているのは真木よう子でハマっているのだが、妻夫木と夫婦役ってのも、単純に違和感がある)。この妻・香織は、成金の娘のようで、苦労知らずっぽいが、あまりにも城戸とは人間としての素地が違い過ぎる。こういうキャラ設定、原作でもそうだとしたら、、、ちょっと平野氏、いろんな意味でヤバいと思う。

 というわけで、意味深なラストシーンも、城戸のアイデンティティがゼンゼン効いていない、ただの妻の浮気問題に矮小化されてしまい、オチになっておらず、シナリオとしては非常に稚拙であると感じた次第。平野氏はこんなシナリオでホントに納得しているのかね?……まあ、原作者の本音など知る由もないことだが。

 結局、人間のアイデンティティって何なんだ、、、ってのが本作のテーマなんだろうが、残念ながらそれはほとんど見る者に伝わってこないよね。見る側も、これはミステリー? 社会派ドラマ? 何映画?? という感じの戸惑いはずーーーっと感じながら見ることになったんじゃないかしらん。

 原作モノを映像化する場合、やはり、思い切って削ぎ落とすところを決めて、縦糸をきちんと決めないと、こういうヘンテコで薄っぺらい作品になりますよ、、、という典型的な映画になっている。


◆その他もろもろ

 日本人は、戸籍で人となりが定義付けられているわけだが、戸籍が別人と入れ替わったら、その人は別人になっちゃうのか、、、?と言えば、ならないわけで、人間って何なんでしょうね?……ということなんだろうけど、結局、人間は一人一人ラベリングせざるを得ないわけで、名前だってその一つ。

 親が犯罪者で、その消しがたい汚点を消すためならば戸籍さえ誰かと交換したいと思うのも、、、まぁ、ありなのかね。むしろ、仲野太賀が演じていた本物の大祐みたいに、借金取りから逃げるため、、、とかの方が分かる気がするなぁ、私は。戸籍で親の存在を消したところで、自身の中にその血が流れているのは変えられない。それが身体全体を搔きむしりたくなるほど嫌だと言っていた窪田正孝演ずる偽大祐の行動として、どうもね、、、。

 役者さんたちは皆さん熱演で頑張っておられたが、妻夫木くんは、こういう反骨・知的職業の役には向いていないような。演技力の問題ではなく、顔に険しさやピリッとした感じがないもんね。もうちょっとソフトな路線の方が合っていると思うなー。童顔だし、大人の男の役はかなりハードルが高いと見た(妻夫木くんのファンの皆様すみません)。

 あと、どうでもよいことだけど、小籔千豊の役って必要? 尺に制限のある映像作品においては、いなくて良いキャラはいない方が良い。原作でどういう役目を与えられていたのか分からないけど、少なくとも本作内では何ら存在意義のない、いなくてよい役だった。

 

 

 

 

 

 


もっとシナリオをブラッシュアップすべき。

 

 

 

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2 コメント

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ある女 (松たけ子)
2023-05-28 20:58:02
すねこすりさん、こんばんは!
え!台湾に行かれたんですね!いいなあ~。私も行きたいよ~。おいしいもの食べたい~。旅行記、首キリンで待ってます(^^♪
ある男、そんなに傑作なの?と戸惑うほどの絶賛ぶりでしたが…なぜか観る気にあまりならないのはなぜ?日本アカデミー賞とかまったく権威も信頼性もないので参考になりませんが、ブッキー好きなので迷ったんですよね~。結局スルーしてしまいました。
おっしゃる通り、ブッキーに知的な役は似合いません。すごい演技派だとご本人もファンも勘違いしてるようだけど、ブッキーが輝けるのは可愛くて色っぽい役だけ!なのに滅多にそういう仕事してくれないのが残念です。
小藪って何で映画とかドラマによく出るんだろ。吉本枠?
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吉本枠なんていらない! (すねこすり)
2023-05-29 23:23:58
たけ子さん、こんばんは!
初台湾、なかなかハードでしたが楽しかったです。
旅行記、、、いつになるやらですが、ちまちま書いていきたいです。
絶賛される理由は分からないけど、何となく、メンツで、、、って感じじゃないかと勘繰ってしまいますね。
中身は、私的にはかなり残念でした。
あんましお金払って見る映画じゃないと思いました。機内上映で十分。
ぶっきー、コメディとか、ラブストーリーとかの方が向いている気がします。
小藪、苦手なんですが、この映画見て、ますます苦手になりました。
吉本自体が好きじゃないので、ホント、何でこの人、、、?って感じでした。
たけ子さんはどこか行かれる予定ございませんの?
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