映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

戦慄の絆(1988年)

2014-09-19 | 【せ】



 一卵性双生児・・・。この遺伝子的には「まったく同じ」2人の人間という不思議な存在は、いつの世も、創造心を刺激する。全く同じ外見で、全く同じ遺伝子を持つ2人でも、人格は別々なのだから「心」までは同じではないはず。

 ・・・本当に?

 聞いたことない? 双子の間でテレパシーみたいなのを感じ合う話。あれって、ただの兄弟姉妹とは違って、心も同じってことじゃない・・・? 

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 ビジョルドが好きなので、あと、まあジェレミー・アイアンズが双子役ってんで、ずーーーっと前にDVDをゲットしておりましたが、このほど、ようやく見た次第。

 クローネンバーグについては、私はいわゆる「食わず嫌い」でして・・・。どうも「グロ過ぎ」というイメージが強くて。なので、彼の作品は『エム・バタフライ』に次いで2本目です、これが。

 でまあ、お約束の通り、ジェレミー・アイアンズは「堕ちてゆく」役を演じておられました。この人、もう、こういうのばっか。てゆーか、私の見ているこの人の出ている作品が、こういうのばっか。で、私はそういう彼が、まあ、割と好きなのであります。ダメンズとは違う、どーしよーもなく情けない男を演じるジェレミー・アイアンズがね。ちなみに、『エム・バタフライ』にも、まんまの役で出ていました。

 ただ、本作では、外見はそっくりだけど、キャラの違う双子――社交的な兄と、研究者肌の弟――、つまり一人二役を演じていたんですが、まあまあ上手く演じ分けていたのではないでしょうか。序盤、ビジョルド演じるクレアを双子兄弟で共有するところとかどっちがどっちかちょっと分からないですけれど。

 子どもの頃、知り合いに可愛らしい男の一卵性双生児がいて、何年かぶりに高校生になった彼らを見たら、イケメンツインズになっていて、それはそれは驚きました。校内でも評判の美男子双子で、頭も良いし、女子たちの噂の的でキャーキャー言われてましたねぇ。ま、私は、短パン履いていた頃の彼らを知っていたので、キャーキャー言う気にはなりませんでしたが・・・。彼らは、今、どうしているのだろうか、そーいえば。

 自分と同じ外見の人間がもう一人、身近にいるという感覚・・・。分からないですが、想像するとちょっと怖いかなぁ。つーか、こんなのがもう一人この世にいるかと思うと、たとえ中身はゼンゼン違ったにしても、それだけでホラーな気がします。自分一人で十分というか・・・。

 確か、ちょっと前にテレビで、マナカナさんたちのどちらかが「片方が思っていることが、もう片方に通じていることがある」らしく、「そういうとき、双子やなーと思う」みたいなことを言っていましたっけ。

 そうはいっても、やはり別人格ですからね。現実は、一人と一人なはずです。

 でも本作は、一心同体の一卵性双生児。DVDのケースには「完全なる精神的均衡」とあります。そう、彼らは、そもそも一人じゃ生きていけない存在となってしまっていたのでした。これは、大変な悲劇です。

 2人のジェレミー・アイアンズ(いやエリオットとベヴァリー)が互いに堕ちてゆく終盤、特に、弟が兄を文字通り「分離する」シーンは、ゾッとします。そこで使われる弟の開発した医療器具の造詣がまたおぞましくも美しい。その医療器具を使用して患者を手術するシーンの印象的な赤といい、この辺は、クローネンバーグの美的センス全開、といったところなのでしょうか。とにかく、おぞましいけれども目を背けられない美しさです。

 惜しむらくは、ビジョルドが、一応キーパーソンなのにもかかわらず、実質的にはキーパーソンですらない、通りすがり的存在に描かれてしまっていることですかねぇ。しかし、この作品でのビジョルドはやつれが気になります。同時期の『モダーンズ』では感じなかったのに・・・。

 まあ、映画として面白いとは思うけれども、見終わった後何かが残る作品ではなかったので、★は少なめです。


お前ナシじゃ生きられない・・・それは悲劇でしかない



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