映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

乳房よ永遠なれ(1955年)

2022-01-14 | 【ち】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv24413/


以下、早稲田松竹のHPよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 下城茂との不幸な結婚生活に終止符を打つため、ふみ子は子供二人を抱えて実家に戻った。実家に戻ってからのふみ子は、母親たつ子と弟・義夫の許で幸福だった。ひと月ほど経った頃、仲人の杉本夫人がやって来て、離婚手続きが済んだが昇とあい子の二人を引き取ることは駄目だったと伝えた。断腸の想いで昇を下城の許に去らせてからというもの、ふみ子は母性の苦汁をなめさせられる日が多かった。

 下城家から昇をこっそり連れ戻し、親子水入らずて東京に職を見つけようと決意したふみ子は、この頃から自分の乳房が疼き始めるのを知った。その痛みはやがて激痛へと変わり、彼女はその痛みが乳癌からであることを知った…。

 31歳で夭逝した女流歌人・中城ふみ子の過酷な人生を綴った評伝を映画化。女心の機微に触れる女性監督ならではの演出が光り、哀しきヒロイン役・月丘夢路の熱演が胸に響く。

=====ここまで。


 どうでもよいが、上記リンクmoviewalkerのあらすじの最後の部分「支忽湖のほとりに昇やあい子と立った大月は、ふみ子のノートを(中略)湖面に投げるのだった」ってあるけど、支笏湖じゃなくて、洞爺湖だと思うよ??


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 邦画の古い作品はほとんど見ていなくて、小津作品とかもTVでオンエアしているのをながら見したことがあるくらいで、まともに見た作品は1本もないと思う。……と思って、みんシネの小津リストを見たら、『大人の見る絵本 生れてはみたけれど』(1932)は見たなぁ、、、大分前だけど。でもそれだけだった!

 なので、田中絹代というお名前を聞いても、もちろん知ってはいるが、どんな女優さんなのかは知らなかった。で、少し前に『雨月物語』(1953)を見たときに、すごく印象に残ったのですよね。その後も、古い邦画はあまり見ていないけれど、田中絹代の印象はずっと残っており、この特集を早稲田が企画したと聞いたので、1本はぜひ見たいと思い、中でも評価が高いらしい本作をたまたま元日に上映していたので見てみた次第。

 本作の舞台は、戦後10年くらいの北海道。主人公のふみ子は、実在の歌人中城ふみ子がモデルとのことだが、中城ふみ子というお名前、本作で初めて知った次第。検索すると、wikiにはずいぶん詳しい記述があった。wikiを読む限りでは、割と実際のふみ子さんの人生をなぞって描かれていたみたい。

 まあ、戦後とはいえ昭和前半のオハナシなんで、女性にとってはなかなか厳しい時代。あんな使えないくせに横暴な夫でも、一応、夫である以上は妻としてかしずいているふみ子が痛々しい。でも、さすがに浮気の現場(こともあろうに自宅で)を目撃してしまったら、キレていたふみ子。そらそーでしょう。

 短歌の会の男性に恋したり、東京から来た若い新聞記者・大月に恋したり、恋多きふみ子。実際の中城ふみ子さんも、恋多き女性だったらしい。

 乳がんを患い、死期を悟って、もっと生きたい、、、というふみ子の苦悩、葛藤がよく描けていて、終盤はなんともやるせない。でも、決してふみ子を可哀そうな人として描いてはおらず、そのあたりに監督・田中絹代の意思を感じる。生前「女流監督と言われるのは嫌」「監督に女性も男性もない」と語っていたらしいが、本作を撮るときは「女性として感じることを女性として表現したい」とも言っていたそうで、なるほどなぁ、と思う。

 けれども、私はあんましふみ子に感情移入はできなかったのよね。一生懸命生きた女性だと思うし、子供がいても恋したって全然イイと思うし、あんましネガティブ要素はないのだけど、演じた月丘夢路の演技が私にはちょっとヘヴィでした。どうも芝居がかっていて、嘆き方、苦しみ方etc、、、が大げさに感じてしまい、大月に「抱いて……!」とか言う病院でのシーンは、ちょっとなぁ、、、という感じだった。私が大月だったら逃げたくなるな、、、というか。本作がお好きな方、すみません。

 シナリオ的には良いと思うので、このイメージは多分に月丘夢路に負うところ大ですね。

 余談だけど、wikiで読む限りでは、中城ふみ子さん、映画で描かれていたあのだめんず夫と親に見合いさせられて仕方なく結婚していたみたいで、まあ、ホントにお気の毒としか言いようがない。しかもその前には歯医者さんと婚約破棄しているらしいし。映画のふみ子もなかなか奔放だったが、中城ふみ子さんは相当の奔放ぶりだったようだから、そんな女性を、親の価値観で結婚させようとしたって、そりゃムリでしょう。それくらいの情熱がないと、あの抑圧された時代に、表現者として生きるのは難しかっただろうから。
 
 森雅之、大坂志郎、織本順吉とか、ものすごく若くて、特に大坂さんと織本さんは、ゼンゼン分からなかった。ふみ子が思いを寄せる堀卓(森雅之)の妻を演じたのが杉葉子さんというお方で、私は月丘夢路より、杉さんが素敵だな~と思った。当時としてはかなりの長身と思われるスラリとして涼やかな美しさが印象的。

 もう早稲田でのこの特集は終わってしまっているが、監督・田中絹代は今、再評価されているようなので、これからこういう特集は企画される機会が増えるかも。そうしたら、ほかの作品も見に行こうと思う。


 

 

 

 

 


田中絹代は日本の2人目の女性監督だそうです。

 

 

 

 

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