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高松宮妃のおひなさま展

(高松宮妃の段飾り-絵葉書から)

ひょんなことから谷稲葉虚空蔵さんにお参りした。その後、靜岡のグランシップで開催されている「高松宮妃のおひなさま展」を女房に付き合って見に行った。グランシップ6階会場には和服の女性もちらほら見える。和服だと400円の入場料が無料になるという。粋なはからいだ。

15代将軍、徳川慶喜公の孫である高松宮妃喜久子さまがお輿入れのとき、持参したといわれる雛の段飾りが展示の中心である。子供のなかった高松宮妃が亡くなられて、宮家が絶えた折りに静岡県に寄贈され、以後、財団法人靜岡県文化財団で維持保存がされ、毎年この時期に一般公開されている。

段飾りは一般家庭で見るよりも幅がずいぶん広い。三人官女が五人官女になっている。稚児小姓2体、随身2体、楽人5体、仕丁3体が並び、何よりもお道具類のミニチュアがたくさん並んでいる。ミニチュアといえども一切、手を抜かず、その精密さはすばらしい。道具類にはすべてに葵の紋が付いている。菊の紋ではないんだ。このお雛様の伝統はどこかで現代のフィギアに引き継がれ、ミニチュアの技術は、レベルは違うが、現代の食玩に示す執拗さに繋がっていると思う。

高松宮妃が持参された雛飾りを、お子様もないのに毎年毎年出して飾り、維持管理されていたからこそ、我々はいま昔の職人の技術を眼にすることが出来る。皇室が文化を守っていくという重要な役割の一面を見せられたような気がした。

高松宮家で飾られていた段飾りの古い写真が展示してあって、良く見ると、段飾り以外に様々な人形も同時にたくさん飾られていて、たいへん微笑ましく思った。頂き物であろう、西洋人形やチマチョゴリの人形もあった。


(グランシップ)

外へ出て駐車場に向かいながら、グランシップの変わった建物を振り返って見た。グランシップの建物は船をイメージして建築されたという。その規模がよく判らないが、たぶん全長165メートルというイージス艦に匹敵するのではないかと思った。

グランシップの建物が波を蹴立てて突き進んでくると思うと、イージス艦を目の前にした漁船員の実感が理解できるような気がした。圧倒される大きさである。テレビではイメージが湧かなかったが、接近してくる迫力がわかる。公海上のルールがどうあろうが、漁船はイージス艦に気付けば雲の子を散らすように必死で回避するだろう。公海上の船舶の運航ルールはさておき、イージス艦の乗組員が漁船の方で避けてくれると思ったという言葉は実感を語っている。事故にあった漁船はイージス艦に気が付くのが遅れたのだろうか。
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