アルトサックスを新たに購入しました。これで3本目です。最初に買ったのはサックスを習い始めた2009年7月、ヤマハのYAS475。当時のヤマハのアルトサックスとしては下から2番目の初級者向けのサックスでした。先生から「これなら3年はもちますよ」と太鼓判を押されましたが、初心者としては「20万円もするのに3年しかもたないの?」という驚きと、「3年ちゃんと続くだろうか」という不安が入り混じっていました。
そしてその3年間用のサックスを8年半も使い続けた2017年暮れ、先生から「さすがにそろそろ次のサックスを買った方が」と勧められて購入したのが、中古のヤナギサワA900。1990年頃のモデルだということでしたから当時すでに27年モノでした。約16万円。中古でもまあまあ高いなぁと思いつつ、先生にすごく状態が良いからと言われて、ヤマハを4万円くらいで下取りしてもらって買い替えました。中級者向けと言われたので、まあさすがにサックス歴9年目にもなれば中級者で良いかと納得したものでした。
それからさらに5年半。教わっている先生は変わりましたが、相変わらず技術的には中級者のまま。それでも何とかもっと良い音で吹きたいなと思い始めてかれこれ3年が経ちました。出した結論が「もっと良いサックスを買って技術を道具でドーピングする」ということです。最初は自分の予算的限界だと考えた30万円台のヤマハのサックスを買うことを先生に相談したところ、「それは中途半端」だと言われました。30万円台のサックスは決して上級者向けとは言えないから、今のヤナギサワよりも少しは良くなるかも知れないけど満足できない可能性が高いと。また次により上の機種を買いたくなるかも知れないから、だったら今回もっと良いものを買った方が良いと。
理屈としては至極もっともです。じゃあいくら出せば良いのかと聞いたら「40万円台後半なら中古のセルマーが買える」というのです。セルマーはアメリカの管楽器メーカーで、セルマーのサックスは車で言えばベンツのような王道ブランドです。ちなみにヤマハはトヨタでヤナギサワはマツダかホンダでしょうか。高いけれどもセルマーを買っておけば間違いないという高級ブランドですから、そりゃ買えるものならセルマーが良いけどなぁと思って、じゃああと10万円上乗せするから、先生にお任せしますので選んでください、ということになりました。
それから2ヵ月、先生から「セルマーの中古で良い出物がありました」と連絡があり、4本ほど候補が写真で送られてきました。安い順番に423,500円、528,000円、533,500円、539,800円でした。1本を除き全て50万超えです。ちょっと話が違うなぁと思いつつ、写真と先生の説明を聞くと、明らかに一番安いものは状態が悪そうです。またセルマーと一口に言っても機種は違うし年式も違います。新しければ良いというものでもないのがハンドメイドの楽器の難しいところで、もちろん先生によれば一番高い1本が一番お勧めで程度が良いし時代も良いということでした。
こうなればもう一番高いモノしか選択肢がありません。このくらいの価格差なら誰だってそうするでしょう。50万も払うなら変な妥協をして後悔したくはありません。と言うことで先生曰く「一生モノ」というセルマーのSA80シリーズ2を購入しました。多分1992~1993年頃ということで30年モノです。これを買ったとサックス関係者に言うと、みんな「良いモノを買いましたね」と言ってくれます。
現行のセルマーのスーパーアクション・シリーズ2 は「ジュビリーモデル」と言って吹きやすいですが音が軽いと言われています。2010年以前の「ジュビリー前モデル」はジュビリーモデルに比べ、最初は吹きにくいが中・低音域に厚みがあり、吹き込むほどに音に深みが出るということです。つまり僕の30年モノは程度よく吹き込まれていて、すでに吹きやすくなっていて音に深みもある無双状態ということで、だから高価だし良いモノだと言われるわけです。
と言うことで、これが生涯最後のサックス購入となるはずです。僕が死んだ後にはさらに価値が上がっている可能性もあるので、まあ家族に残す投資としても悪くはないでしょう。ただ多分アルトサックスは恐らくこれが最後でしょうが、テナーやソプラノが欲しくなったらわかりませんけどね。