NHKの『どうする家康』が史実を思いっきり捻じ曲げて展開していることは、もうとやかく言うつもりはありません。そもそもドラマなのですから、ある程度の脚色はありだと思っていますし、それで面白ければ良いのですが、これがまた史実から離れれば離れるほど面白くありません。もっとも面白いとか面白くないというのは主観なので、これが面白い人もいるでしょうし、それもとやかう言うことではないのでしょう。とにかくNHKは何とかして新しい風味の大河ドラマを作って、従来の大河ファンを切り捨ててでも若い視聴者に受けようとしているということだけはわかります。
ただ近年懸命に若者ぶっている紅白歌合戦もそうですが、そもそも若い世代はテレビを見ませんし、とりわけ大河だとか紅白だとかは年寄り向けのコンテンツだと思っていますから最初から見向きもされません。なのに人口的に一番多い年配層を切り捨てて、ボリュームが少なくニーズもない若年層を振り向かせようなんて、コスパが悪い上に電波の無駄遣いです。NHKが若者に見てもらいたいなら、もっと別のアイデアでやった方が良いでしょう。
それはともかくとして『どうする家康』で気になるのは岡田信長と松本家康のBL風味の演出です。戦国時代は男色も普通のことですから、それを描くこと自体を否定する気は毛頭ありませんが、信長と家康がそういう関係だったとは思えないし、設定だけではなく演出もかなり無理があります。また20年前ならともかく、今や中年になった岡田と松本では絵としてもきつくなってきています。
さらに言えばジャニーズの性加害問題がこれだけ取り上げられている最中に、ジャニーズ事務所を代表するクラスの俳優2人にこうした演技をさせること自体、どういうメッセージを送りたいのかと気になります。NHKはジャニーズの性加害問題なんて全く気にしていないから、応援のために敢えてこういう演出をしているんだと表明しているのでしょうか?そんなこと何も考えずに、単純に岡田と松本でBLをやったら腐女子に受けそうだからやってるだけだとしたら、ちょっと志が低くて下衆過ぎます。渦中のジャニーズの俳優たちを守るためにも、もう少し慎重に表現を選んだ方が良かったのではないでしょうか。