僕がメインで利用しているテニスコートは名古屋市営の東山公園テニスセンターです。1994年の愛知国体/わかしゃち国体のテニス会場とするために建設され1993年にオープンしました。国際規格で作られているので、国際大会から一般大会まであらゆるカテゴリーの公式競技の開催が可能で、特にジュニアやベテランの大会がよく開催されています。過去にはあのシャラポワもジュニアの頃に参加しています。
センターコート、屋内コートも含めれば全部で20面を有する大きな施設だけに利用者も多いのですが、特に年配の人が目立つ印象です。場所が便利なこと、設備が整っていて綺麗なこと、コート料金が比較すれば高いだけに若者の来場者が少ない分、高齢者には利用しやすいということもあるのかも知れません。健康寿命を延ばし、医療費抑制に役立っているということになるでしょう。
その東山公園テニスセンターが来年5月から2026年3月まで1年10カ月も閉鎖されて大改修工事を行う予定になっています。2026年に名古屋で開催されるアジア大会のために、今の砂入り人工芝コートをハードコートに変えるためです。このハードコート化には利用者が以前からアンケートで反対を表明しているのに、その声を押し切って進められることになりました。河村たかし市長が伊達公子に騙されたという声がもっぱらです。
伊達公子は日本のジュニアが世界で勝つためには日本特有の砂入り人工芝コートでは育たないからハードコートに改修するように、日本全国の自治体を回って首長を説得しています。テニスを理解している首長などほとんどいないので、あの天下の伊達公子に言われたら首を縦に振ってしまう人が多いのでしょう。すでにいくつかの公営コートがハードコートに変わりました。
ただハードコートは雨が降ったら滑るので危険ですし、足首や膝、腰などへの負荷が大きく、特に年配者には好まれません。砂入り人工芝コートは球足が遅くボールも弾まないのでアマチュアがテニスするにはやりやすいコートです。だから1980年代から90年代にかけて多くのコートがハードやクレーから砂入り人工芝に変わったのに、それをまた昔に戻すなんてユーザーメリットから見ると完全に逆行しています。
市営スポーツ施設はトップジュニアの育成のためにあるわけではありません。一般市民の健康増進のためにあるはずなのに、なぜ一部のジュニアのために高い工事費用をかけて不評なコートに変える必要があるのでしょうか。しかも、2年近くも20面ものコートが閉鎖されたら、当然利用者は他のコートに流れますから、名古屋市周辺のテニスコートは奪い合いになります。はじき出されるのは東山公園テニスセンターの利用者だけではなく、周辺コートの利用者も同じなのです。
そして2年近くも閉鎖された挙句にハードコートに変わったら、かなりの利用者はもう戻ってこないことでしょう。市民の税金を無駄に使って利用者にそっぽを向かれるような改修工事にどんなメリットがあるのか担当者にきちんと説明してもらいたいものです。関西万博の工事費が当初よりずっと上振れしていて批判を浴びていますが、東山公園テニスセンターの工事費も当然同じ状況だと思います。アジア大会は当初より予算がかなりオーバーしていて、すでに選手村の建設も断念したそうですが、テニスも百害あって一利なしの無駄なコート改修工事などやめて、有明など他の既存テニスコートで開催して欲しいと強く願います。名古屋市民としても無駄な税金の支出は避けて欲しいです。