各種調査によれば岸田内閣は低めの支持率でスタートしたようです。そもそも菅内閣と比べて低いのは仕方ないと思います。菅は長期にわたって続いた安倍支配にみんなうんざりしていたので、心機一転という思いもあったし、菅が引き継いだタイミングも安倍支配の膿が出尽くしていた時期だったので、変わることへの期待感もそれなりに高かったと思います。
岸田内閣に対する支持率の低さは、ひとつは国民人気の高い河野太郎が負けたことに対するネガティブな感情があるでしょう。「なんで河野じゃないんだ」という思いが反映されています。河野人気の裏返しです。しかも、安倍と麻生に対する気遣いっぷりが余計に反発をまねていることでしょう。「変わらない」ことに対する安心感よりも「変わらない」ことに対する不満の方が大きいのです。
象徴的なのが甘利幹事長という人事でした。よりにもよって「3A」の一角かよ、という悪い印象しか与えていません。まだ国民は甘利の「政治と金」の問題を忘れているわけではないですし、それがなくても権力闘争の勝利の象徴として甘利幹事長を見ています。もう少し清新なイメージのある人物を選んでいれば国民受けは全然違っていたことでしょう。
今回の内閣は月末の総選挙までの暫定内閣ですから、一部の主要閣僚以外は選挙後にまた入れ替えるつもりかも知れません。ただスタート直後に人事で躓くというのは菅内閣の学術会議任命問題を彷彿とさせます。政権誕生以降、株価も下がり続けて、ますますイメージが悪くなっていますし、このままでは総選挙も自民党はあまり安心していられないんじゃないかと思います。