東郷町議会が10月9日~11日の3日間の日程で行った宮城県仙台市と岩手県陸前高田市での研修報告の2回目です。今回は議会の対応についてです。
仙台市議会
震災が発生した3月11日は議会開会中でした。そのため、震災発生後すぐに議会としての対応が話し合われたそうです。しかし全議員と連絡を取る方法は、通信網の混乱のために、それぞれの自宅を訪ねてみるしかなく、また中には自宅が被災したため、あるいは救援活動のため、議員が避難所にいるときに連絡が取れたという事例もあったそうです。
そのような中、震災特別委員会の設置など、議会としての意思決定が迅速になされました。その背景には、普段から公式・非公式問わず、会派代表者会議などを週に1回は開いており、話し合いをする環境が醸成されていたということがあったそうです。
議員が地域で集めた情報(要望など)は個々に市の担当者に上げれば情報が混乱する恐れがあるということで、いったん議会として情報を集約するための仕組みとして災害対策連絡会議が作られました。また議会は国・県に要望するという形で、市当局による復旧作業の側面支援を行ったということです。
議員に期待されることは、自分の足で情報をかせぐこと。そして情報を一部で持ってしまわず、議会として共有し、市行政に反映させる仕組みは、東郷町でも参考にすべきだと思います。
陸前高田市議会
陸前高田市は、市街地が津波により壊滅し、また陸地の浸水によって孤立した地域も出るなど、大きな被害を受けました。市役所や消防署、病院など市の中枢が一気に壊滅的な被害を受けたこと自体、私の想像を超えることです。東郷町議会では、研修に出かける前に、各議員の質問事項を受け入れ側に伝えますが、私が用意した質問事項はどれも的外れだったと痛感しました。
被災後の市の最初の仕事は、どこに誰が逃げているかの把握です。パソコンがないから紙を、紙がないからカレンダーの裏を、ペンは…、と物が無い中での仕事。次の仕事は県からの物資を届けるルートを決めることでした。
そうした極限状態で、議会が自然閉会*し、予算が決まりませんでした。しかし3月中に臨時議会を開いて(使用禁止になっていた中学校の教室を使って!)予算だけでも決めたそうです。市長が専決で予算を決めて執行し、6月定例会で議会が承認しても法的には問題ないのですが、復旧にかける意気込みを示せたという点で良かったと、私たちに説明してくれた議会運営委員長が話していました。
復興のために、普段の10倍以上の予算が組まれたが、それを執行するだけのマンパワーがないという話は切実でした。
陸前高田市では、高台への移転などの構想を含む復興計画の策定中です。しかし津波で破壊された建物の多くが放置され、かつて商店街や住宅街だった場所はさながら原野のようです。がれきも積み残されています。それなのに復興予算が原発の輸出のための調査費に流用されています。消費税増税も被災者に襲い掛かります。
被災地を見て強く思います。こんな政治は変えなければならないと。
*議会の日程は開会日に決めます。閉会日に予定していた採決などの議事が済んでいない場合でも、閉会日を過ぎれば議会は閉会します。これを自然閉会と言います。