書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

雍正帝 「御製朋党論」

2013年07月17日 | 東洋史
 原文・宮崎市定訳注解説版(注1)・石橋崇雄満文和訳版(注2)で読み比べる。

 注1。宮崎市定『中国文明選』 11 「政治論集」(朝日新聞社 1971年2月第1刷、1977年1月第2刷)、228-254頁。
 注2。石橋崇雄「満文『han i araha gucu hoki i leolen』(御製朋党論)」(『国士舘史学』4、1996年3月)、九六(1)-六五(32)頁。

 まだ思索途中なので、ざっと結論だけ言う。
 雍正帝の用語においては君主の「公」は公平の公、臣下の「公」は公正の公の意味である。時代の大状況が「家天下」、或いは「公=皇帝の私」であるから、今で言う「公共」の意味はここにはない。
 ではこの「公正」とは何かが、今度は問題となってくる。