トールキンの『指輪物語』は、英語で書かれた原作だけではなく、他言語への翻訳版と照らしあわせることでその真の姿(真価と言ってもいいが)が、分かることになっているらしい。「作中にある英語由来の固有名詞を翻訳する際には、各国の言語に修正するようにというトールキンの意向を反映して、瀬田貞二訳では幾つかの人名や地名が日本語に翻訳されている」(ウィキペディア「指輪物語」項“出版史・日本語版”条)例えばMiddle-earthを中つ国と訳してあるがごとき。オリジナルはこういう背景もあって言葉遣いそのものはかなり平易なので、かえってその用意を見過ごす。現に見過ごした。