書籍之海 漂流記

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「ロシア『日本は仮想敵国!』 極東で大規模演習 北方領土めぐり日本牽制」 から

2010年07月04日 | 抜き書き
▲「まとめたニュース」2010年07月02日。(部分)
 〈http://blog.livedoor.jp/booq/archives/1265058.html

 7月1日21時56分配信 産経新聞/【モスクワ=遠藤良介】ロシア軍が今月8日までの日程で、極東とシベリアを舞台とした今年最大規模の軍事演習を行っている。遠隔地での部隊展開など機動力を増強するのが最大の狙いで、ロシアが進めてきた軍改革の成果を検証する意味合いもある。ロシアにとって事実上、唯一の領土問題として残る北方領土をにらみ、日本を“仮想敵国”とみなす姿勢も鮮明だ。/この演習は6月29日から始まった「ボストーク(東)2010」。陸海空軍などから最大約2万人の兵員と地上兵器2万5000点、航空機70機、船舶30隻が投入されている。国営イタル・タス通信によると、マカロフ参謀総長は演習の狙いについて、「極東の国境での安全を保障し、仮想敵から国家利益を守ること」などと説明している。

 イタル・タスのウェブサイト(ロシア語)で、「Восток-2010」(ボストーク(東)2010)で記事を引いてみたが、検索してでた3本の記事のどれにも、仮想敵は日本であるという明言はない。また、その内の一本には、この「ボストーク(東)2010」は、昨年の「オーシニ(秋)2009」の続きであり、ロシア及びベラルーシの南部・北部・北東部の軍事演習であった「オーシニ(秋)2009」に対して、今年は極東・太平洋部の演習であるという、記事でも名の出たロシア連邦軍参謀総長、ニコライ・マカーロフ将軍の発言が引用されている。
 もっともよしんば今回の演習が日本を仮想敵とし、北方領土をにらんだものであったとしても、もし急転直下明日、国益の計算に基づいて北方領土を返還する決定がなされたとしても、この演習をおこなった事実は何の支障にもならないだろう。ロシアの外交には、例えば中国・韓国とくらべて、あるいは日本もここに含めても良いのかも知れないが、自国の面子にこだわる要素が少ない。ロシア外交は、かけひきはかけひき、実際の交渉の場での物言いとは別と、完全に切り離しているところがある。米国外交でも面子にこだわって国益を損なうところが案外あると見えるのだが。