「『石原知事に逆襲』芥川賞の田中氏ノーカット会見(12/01/18」
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http://www.youtube.com/watch?v=E6cSNDAqJvA〉
演技もあると思うが、この人は、自分でも言うように、本当に礼儀知らずなのだろうと思った。
しかしそれだからといって、有田芳生氏のように、「シャイで正直」と褒めるのはおかしくはないだろうか。「シャイで正直」なら「無礼」でもいいというのは、違うだろう。
もっとも、田中氏が礼儀知らずだからいけないという気は私にはない。芸術家が、世間のルールを弁えていなければならない義理はない。社会性はあったほうが何かと実生活において都合はよいが、なくても別に構わないくらいのものではないか。作品(結果)が全てだから。基本的にプロはそうだろうが、創造性至上の芸術家はとりわけそうでは。プロとは、「それで生活している人間」という定義があるが(たとえば柳沢きみお氏。『大市民』シリーズにおける)、では、勤め人を、プロのサラリーマンというか。アルバイトでとにかく暮らせている飲食店店員を、接客業のプロというか。簡単にいえば、マニュアルに従って仕事をする、考える、生きる人間を、「プロ」と呼んで良いのかと言う問題である。特に芸術家においては、かえって常識なく性格的にも破綻している人間のほうが、傑作を生み出せるかも知れない。
そんな人間と、世間の側は厭なら会わなければいいし、芸術家のほうは迫害されたくなければ表に出なければいい。お互いに不幸な目に遇うだけだろうから。もっともこの勝負、芸術家のほうが分が悪いだろう。”末路哀れは承知の上”の道であるが故に。