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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

うえやまとち 『クッキングパパ』 31

2012年07月23日 | コミック
 『美味しんぼ』の時とおなじく、これも市図書館から、開いている巻を前後お構いなく、手当たり次第に借りている。80巻台まで行ったあと30巻代のこの巻へ戻るという乱雑さである。おかげで登場人物の関係や背景が錯綜してよくわからない(シンディって誰?)。ところで、これほど続けざまに読んでいると、毎回(?)冒頭の「博多」というト書きとその風景図が、魔夜峰央『パタリロ!』の毎話劈頭の「常春の国 マリネラ」のお約束コマに被って見えてきた。

(講談社 1993年5月)

作・雁屋哲 画・花咲アキラ 『美味しんぼ』 15 「究極vs至高」

2012年07月09日 | コミック
 山岡士郎と海原雄山の両メニュー対決開始の巻。雄山が「至高のメニュー」を始めた意図がよく分かる。おのれに反撥し頻りに挑んでくる士郎に正面から応じ鍛えるためだった。しかしそれは慈父の愛というような暖かいものではなく、「倒せるものなら倒してみろ」、そうしたら一人前の男として認めてやるという厳しいものである。そういう点では103巻の、今後は「虫けら同然」から「少し対等」に扱うだけ、という雄山の科白はまっすぐに筋が通っている。後付の設定や説明は要らず、この巻から得られる情報からのみで、それは明らかだ。

(小学館 1988年7月初版第1刷 2005年9月第36刷)

作・雁屋哲 画・花咲アキラ 『美味しんぼ』 29 「美味しい暗号」

2012年06月30日 | コミック
 この巻の内容にはまったく憶えがない。正真正銘の初めてらしい。
 『週刊タイム』の団社長登場編(「究極の弱点」前・中・後編)、団一郎は、もうひとりの北大路魯山人だったのか。幼いときに養子にやられ、養父母に気に入られるために料理を練習して玄人はだしの腕になったという経歴は、養家との仲が円満だったという点を除けば、魯山人のそれに一致する。
 それで、後になるとたいぶ変化するが、最初のころの団一郎には目的達成のために手段をえらばないアクの強いところがあったのかと納得。そのまま行けば、海原雄山との三角関係のなかで、山岡士郎とはその時々の利害で付いたり離れたり、敵対と同盟をくり返す呉と蜀のような緊張した関係になったのではないかと、ちょっと想像した。
 
(小学館 1991年5月初版第1刷 1995年2月第14刷)

作・雁屋哲 画・花咲アキラ 『美味しんぼ』 38 「ラーメン戦争」

2012年06月24日 | コミック
 本巻はすべて「ラーメン戦争」、全9話。ストーリーは山あり谷あり蘊蓄ありでとてもおもしろく、それだけなら全巻(これまでのところ)屈指の面白さではないかと思えるのだが、「先祖返りを求め、自分の先祖が流されてきたその大本をたどる情熱」(第9話・188頁)という根拠もなにもないこじつけが、肝心のところで興を醒まさせる。少なくとも私はそうだった。同じ感想を第100巻「日本全県味巡り 青森編」でも抱く。
 
(小学館 1993年5月第1刷 2007年9月第22刷)

作・雁屋哲 画・花咲アキラ 『美味しんぼ』 8 「飲茶(ヤムチャ)」

2012年06月19日 | コミック
 連載時、「第3話 愛の納豆」で山岡が「関西の人はみんな納豆が嫌いだからねえ」と言う科白を聞いて、「あまりに図式的な」と興を醒ました。私の実家(兵庫県明石市)では普通に食卓に出ていたから。
 それからである、次第に読まなくなったのは。
 しかし今読み返してみると、瑕瑾というほどのものだ。この漫画が本当に面白くなる時代は、これより後に始まるのだから。

(小学館 1987年2月第1刷 2004年1月第57刷)

作・雁屋哲 画・花咲アキラ 『美味しんぼ』 3 「炭火の魔力」

2012年06月16日 | コミック
 「第7話 美声の源」。来日したギリシャ出身のオペラ歌手の不調を、故郷の食材(精製していないオリーブオイル)で治す話。たしかに、20数年前、アテネで食べたギリシャ料理は、日本で食べるものよりもクセが強かった。この話では、精製していないオリーブオイルはすごい臭いだとしてあるが、私は強いが好きな香りだと思った。明日(もう今日か)は、母親の墓参りで兵庫の奥へ行く。帰りは神戸で夕食になるだろう。神戸の某店で、ほとんど20年ぶりにギリシャ料理を食べるのもいいかもしれない。あの店、ドルマダキアあったかな? 

(小学館 1985年7月第1刷 2006年4月第75刷)

作・雁屋哲 画・花咲アキラ 『美味しんぼ』 36 「日米コメ戦争」

2012年06月08日 | コミック
 海原雄山のフォスター上院議員への一言。「たかが料理です。美味しいかまずいか、それだけのことです。」(「第5話 日米コメ戦争〈4〉」)。我が生業の翻訳もそうだなあ。上手いか下手か。ただそれだけのこと。心構えだけでもそうざっくりとありたい。

(小学館 1992年11月初版第1刷 2004年1月第16刷)