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書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

松森正作画 ひじかた憂峰原作 『湯けむりスナイパー PART Ⅲ』 3 (完結巻)

2013年10月06日 | コミック
 あからさまには書かれないが、東北地方太平洋沖地震と福島第一原子力発電所事故が、モチーフと背景になっている。ウィキペディアの記載によれば掲載誌の廃刊で終了となったらしいが、作品世界も、これまでの伏線をほぼ全て回収して、完結している。始まってすぐに生まれた君江の娘の杏子が、中学2年(14歳)になっているのを見て、作品世界も現実と同じ年数を重ねていたのだと知る。

(実業之日本社 2013年9月)

成田美名子 『花よりも花の如く』 12

2013年10月04日 | コミック
 1年に1冊のペース、ようやく2001年9月11日に。前作『NATURAL』を知らないので、この作品世界の時代と時間設定が前作からの必然であるのか、あるいは意図したものなのかが判らないのだが、これを期に、ストーリー展開が一転起伏と速度を増すのは確実のようである。事件を目の辺りにした、また直接間接に何らかの影響が及んだ作中の人々の心が揺れて。

(白泉社 2013年9月)

島本和彦 『アオイホノオ』 1

2013年08月23日 | コミック
 1980年代初頭という作品世界に合わせてか、絵柄も登場人物の性格も(とくに主人公)、古くてクドいが、これはもちろん計算だろう。実名で登場する庵野秀明氏が、目の辺りだけ局地的にいまの庵野監督に檄似なのも、計算だろう。

(小学館 2008年2月)

成田美名子 『花よりも花の如く』 11

2013年01月09日 | コミック
 キャラクターの出し入れがこまめになってきたのと、これまで先へ先へ、新しく新しくと進んでいたストーリー展開と登場人物の範囲が、過去のそれをも組み込んでさらに重層化してきたので、とても複雑になってきて、一層面白い。
 もっとも筋立ては複雑になっても、へんな劇的展開にはならないところが私は好きだ。主人公が内省的の性格で、ものにおぼれたりひたったりするところがないその目を通して描かれる世界だからかもしれない。

(白泉社 2013年1月)

井上雄彦 『リアル』 12

2012年12月30日 | コミック
 『バガボンド』もそうだが、私はこの人のファンだから、基本「面白かった」以外の感想が持てない。進行やストーリーの組み立てでところどころ「?」と思う箇所がないではないが(「俺ならそうしない」と)、「何か考えるところがあるのだろう」と思ってしまう。

(集英社 2012年11月)

田村由美 『7SEEDS』  23

2012年11月11日 | コミック
ストーリーの各パートが一気に同じ方向に向けて動き出した。これまではられていた伏線もどんどん曝されている。吹雪と美鶴を殺してしまった。大団円が近いということかと読者として思う。あるいはこれまで以上に長く続くきざしかと作り手のはしくれとしして思ったりもする。

(小学館 2012年11月)

高橋ツトム 『ヒトヒトリフタリ』 2・3

2012年09月06日 | コミック
 オビで釈由美子さんが、「逆スカイハイですね」と言っていた(「逆イズコ」だったか?買ってすぐオビは棄ててしまったので不確か)。どちらにしても、なるほどそうだという感想。
 『デーヴ』が最初部のヒントになっていることは明らかだが、進路はまったく違う。

(集英社 2012年5・8月)