goo blog サービス終了のお知らせ 

書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

作・雁屋哲 画・花咲アキラ 『美味しんぼ』 30 「鮭勝負!!」

2012年06月05日 | コミック
 『京味』の西健一郎氏、この巻で初登場(第1話 大食い自慢」)。思ったより早かった。
 「第5話 鮭勝負!!〈後編〉」で、前に読んだときは北大路魯山人の死因を「タニシからジストマが染った」としてあったと思うのだが(それを聞いた大原社主が「タニシ食べて命落としては合わんわい」と言ったと記憶)、ところが「川魚の刺身」になっている。タニシからは直接感染しないというのが通説らしいから、これも私の記憶違いか。わからない。初版時に読んだきりなので、本当に忘れてしまっている。

(小学館 1991年7月初版第1刷 2004年1月第24刷)

作・雁屋哲 画・花咲アキラ 『美味しんぼ』 27 「究極の披露宴」

2012年06月05日 | コミック
 紙塩には和紙を使うのだそうだ(「第7話 日本料理の理」)。料理する魚に紙の臭いが移らないらしい。私はいま、煮干しでダシを取るときにクッキングペーパーで漉してして、そのたびごとに立ち上るものすごい紙くささに困っていたのだが、和紙にすればいいのかと一つ勉強。

(小学館 1990年11月初版第1刷 2001年2月第24刷)

作・雁屋哲 画・花咲アキラ 『美味しんぼ』 16 「五十年目の味覚」

2012年05月30日 | コミック
 これも相当初期のものだが、予想に反して(なにせ長寿漫画だから憶えていない)、基本的にはいまと変わらない。山岡のコミカルな面(食べ物以外役に立たない、グータラ社員、上司や“お局さま”たちにこづき回される)、単なるグルメ漫画ではなく、その背景にある社会政治、とくに環境問題にかなりの比重がかかっている点など。海原雄山も、すでに初期の「傲慢無礼で人間としては最低だが芸術家としては超一流」から、「気難しいが筋の通った人格者」(『ウィキペディア』)への変貌を了えている(「対決!! 野菜編」)。要するに、物語としては意外に変化していないという感想。画は、個人的にはいまのほうが好きだ。一番好きなのは40-80巻くらい。

(小学館 1988年9月初版 2006年12月第36版)

作・雁屋哲 画・花咲アキラ 『美味しんぼ』 101 「食の安全」

2012年05月29日 | コミック
 内容に批判がある巻の一つだが、とりあえずは措く。それより初期や中期と比べての画風の変化に関心がいった。山岡の顔が丸くなったから始まって、画が雑になった、果ては下手になったと嘆く声まであるらしいが、私には、中期以降(70-80巻以後?)の登場人物の表情が、みな「半音階」になっていると思える。表情が、定型(漫画的なきまりきったお約束のパターンと言い換えてもいい)から、微妙にずれている。動きもまるで意図してかのようにどんどんなくなってきている。これは主人公をはじめ昔からのキャラクターにおいてとくに著しい。なぜそうなっているのかはわからない。

(小学館 2008年3月)

山上たつひこ 『中春こまわり君』

2012年04月24日 | コミック
 再読(何回も読んでるが)。それにしてもジュンが離婚した二度目の夫とずるずる一緒に暮らしているのが兵庫県明石市というのはどういうわけだろう。明石はこんなとこちゃうぞ。かろうじてそれっぽいのは、冒頭魚の棚商店街の絵だけやないかい。

(小学館 2009年2月初版第1刷 2009年8月第3刷)

田村由美 『7SEEDS』 19

2012年04月18日 | コミック
 格好いいことなんか何もない 無様だ (安居)
 
 どうして逃げなかったんですか? (青田嵐)

 いつも前を向いている著者は、たぶんこのような言い方を好まないかも知れないが、この作品の安居と嵐は、明と暗に人格が二つに分かれた『BASARA』の朱理のように見える。あたかも『スタートレック』でのカークのそれが『ネクストジェネレーション』でピカードとライカーに分離したように。
 この人のすごいところは、絶えず進化していることだ。この作品が出る前は、定期的に『BASARA』を読み返していたが、いまは読み返すのはこの『7SEEDS』の最初から。

(小学館 2011年2月)