ネルソンではなくニールセン
(ニールソン)なのだそうです・・・・
Neilson; 機関車メーカー
Nelson; トラファルガーの海戦でナポレオンの海軍を撃破した英海軍ネルソン提督
ということです。
いきなり脇道に逸れてしまいましたが、古い機関車に手を出してみました。
古いって・・・・
① 元のホンモノの機関車も古い
② 乗工社が製造した時期も古い
③ IMONで仕入れしたのも古い
「古い」の「三重連」ですね。
10年以上前から店に陳列されていた機関車を買ってしまいました。
これまた理由を列挙すれば
① 買う人が居ないのでIMONブランドで再生産は不可能だと思われます → 手に入れる最後のチャンスです。
② 古典機は小さいのでファインスケールでなくては恰好になりません → 以前から16番では持っていません。
③ 新年度が始まったばかりですがNゲージからOJまでさっぱり「製品発売」が無いので「売り上げ」が「ぺちゃんこ」です。これひとつでは「雀の涙」ですが売上協力!
車輪は白車輪
(真鍮+ニッケルメッキ)です。
昔式、と言うかトイ
(Toy;玩具)の雰囲気を残したスタイルです。
乗工社の蒸機は1983年の2100は白車輪ですが、1996年の2120は黒車輪、90年代前半のD51、C59が黒車輪です。
白車輪を見て発売はてっきり80年代かと思ったら、森井義博さんのページで調べてみると1994年発売と意外に新しいです。
原価を落とすために白車輪にしたのでしょうか?
白車輪
(ニッケルメッキ)は真鍮でOKですが、黒車輪
(黒ニッケルメッキ)は洋白を使う必要があります。挽物屋さんに払うコストが全然違ってきます。
洋白の方が遙かに硬く削りにくいのですが、材料も入手しづらく
(棒材の直径の)種類が少なくて沢山削る羽目になる事もあるのではないでしょうか。
一時「真鍮に黒ニッケルメッキを掛けた」製品
(少し走らせると集電しなくなる)を作るメーカーがあって物議を醸しましたが現在ではそんな製品はありません。
白車輪を使った理由がコストの問題なのか他の事情かは置いておいて、黒染をしなくてはなりません。
車輪の中でも必ず動輪から染めるのが私の「流儀」です。しかし分解しないで染めるなら動輪の前にバルブギヤを染めるのは「鉄則」です。
バルブギヤ
(と言ってもロッドだけですが)を研き用のキサゲ刷毛で磨きます。
研き用キサゲ刷毛;マッハ製品「0.08mm」をこんな具合に切り揃えてあります。
「これ」を買った時は0.08が一番細かかったのです。
メインロッドを磨いたところです。コネクチングロッドはまだです。写真では判りませんね・・・
隅っこや関節の所を優しくしつこく丁寧に研く必要があります。
ロッドを黒染しました。
研きだした鉄の色に近くなりましたが、ホンモノの蒸機のロッドは飴色をした機械油をきっちり塗ってあるのでもう少し黄色いのが最高です。
案外黒ニッケルメッキが一番その雰囲気を出しやすいのです。
(ホンモノは油に煤が付いて真っ黒なのが多いですが・・・・)
モーターに通電させて動輪を回し、筆に浸した黒染液で動輪タイヤを黒染します。
右手で筆を持つなら機関士側は時計回り
(後退する回り方)助士側も時計回り
(今度は前進する回り方)に回します。
動輪も染まった状態です。
実は「このまま」洗面所で機関車下回りを水洗いしました。残った水分をティッシュで拭き取って部屋の高いところに置いて
(出来れば数日間)乾かします。
他の車輪も黒染します。
希釈した黒染液を入れたビンに投入して5~10秒優しく振り回します。
取り出すとかなり黒く染まっていますが、其れを強く擦ってもう一回白くしてしまいます。白くなった車輪に筆で原液を塗りつけ指で強く擦り続けて染めます。
指の指紋で染めるわけです。
左手はこうなります。
右手はこうなります。指に付いた色はどんなに洗っても半日落ちません。
私の指には車輪と「黒染」で長年戦い続けた
(2年や3年じゃ全然消えない)タコが出来ていますが、最近「IMON製品で事足りるよう」に頑張ってきたので「地獄の黒染」と徐々に縁が切れつつあります。
タコが随分目立たなくなってきました。
黒染液を塗りつける筆は、すぐに黒染液を拭き取りますが、100回ほど使うと冒されて駄目になってきます。
何の毛を使った筆であるか?によって結果はこのように違ってきます。
黒い方は丸くカールしてきました。
白い方は腰が無くなり、毛が細くなってどんどん抜けていきます。
これらはどちらもTAMIYAの筆です。
黒染を綺麗にやり遂げるには「不毛」な作業を「恐るべき長さ」でやり続ける根気が必要です。
上手く行かないと言う人が多いのですが成功させるためには自分の体を張って「どんなに成果が目に見えなくとも」やり続け続け続け続けなくてはいけないのです。
先輪とテンダー車輪が染まりました。
動輪より黒く染まった様に見えますが、黒さは同程度です。
歯ブラシと石鹸でよく洗いました。
黒染した車輪を水に浸けておいたら、折角染めた車輪の色が抜けて水が黄色っぽく濁った経験が有ります。
故に、徹底して丁寧に洗いますが「洗う時間は短く」と決めています。
テンダーの中身です。
支点はテンダー車体の中にある・・・高過ぎですよね・・・のですが、前の2軸4輪が2点、後1軸2輪が中央1点の完全な三点支持になっています。
IMONで9600を作るときはこんなに高い位置に支点が来ないように考えなくてはいけません。
(モーターは当然第3動輪に吊り掛けです)
動輪をゆっくり回しながらマッハのシールプライマーを塗っています。
当然車輪タイヤの側面を塗るためです。
ホンモノの写真にはタイヤ側面塗装が為されていない車両の写真も結構有りますが、それは「工場出場***台記念」とか「お召し」
(それと例えばやまぐち号も時に無塗装で走ります)であって、普通にはタイヤ側面を塗装していないモノは皆無です。
鉄はあっという間に
(日本では半日で)錆びますので普通は絶対にあり得ないのです。
ロッドには油を塗ってウェスで研きますが、車輪に油を塗ったら走行不能になってしまいます。
(私のビデオを持っている方はニュルンベルクで動輪に油が回ってするするするする空転する蒸機の映像を思い出すはずです)
長い話に付き合って頂いてありがとうございます。動輪側面を「いつもの茶色より少し黒い色」に塗った6250型6260が仕上がったようです。
前の自連もIMONカプラーに取り替えました。
乗工社オリジナルの汚しを残そうと思って吹付けは一切していません。
この細さ!ファインスケールじゃないと模型化は困難な形式ですよね。
石炭が石炭に見えないうらみはありますが仕方がないです。
意外によく走ります。
とっても可愛いです。