IMONカプラー現状報告2010-02①

2010-02-26 | 鉄道模型
IMONカプラーは何故必要だったのか?ケーディーへの不満!

40年前、ケーディーカプラーは凄い!素晴らしい!と思っていました。

しかしその後はどんどん不満が出てきました。
ケーディーをはじめとするマグネマチックカプラーに「良いところ」があるのは重々承知していますが、その連結器としての基本性能の低さに皆さんどうして我慢できて来られたのか不思議です。

すぐ外れてしまう。

全てのカプラーが正確な位置に装着されていれば問題有りません。
しかし、そんな事は鉄道模型ではあり得ない事じゃないですか?

「さっきまで正確な位置だったケーディーがおやっ?高サ違うね」

ということすらあります。

「ケーディーもどき」の場合はもっと遙かにひどいです。高サが合っていても列車が重いと簡単に千切れます。

運転会ともなれば、高サを気にしていない車両も混じるし、製品そのままに「ケーディーもどき」が付いている車両も登場します。



ある人に言われました、
「自動連結できるカプラーだから自動解放するのは仕方がない」
と。

洒落たことを言っているつもりかもしれませんが冗談じゃない!

私は理想に近い自動連結カプラーは絶対出来ると信じています。

以下がIMONカプラー開発に際して課せられた命題をJAM総会講演に向けて纏めた物です。






実際に使用してみると不随意解放撲滅は予想以上に成功しています。
片方がケーディーであっても片方がIMONならまず外れることはありません。
IMON同士なら高サが大きく違っても平気です。



「不随意解放追放」はIMONカプラー最大の命題です。
それはマグネマチック解放を一切考慮しないことで実現しました。
将来的には機関車側DCCによる自動解放を考えています。

しかし、まず其れ(マグ解放)が必要であるならばマグネマチックカプラーに交換するのが正しいでしょう。その為にポケット寸法を同じにする事を考えてきたのですから。


マグネマチックによる解放についてIMONカプラーを担当した当社設計者は私と同じ考えを持っていました。
(自宅にレイアウトを何度も建設しています)の意見は以下の通りです。


1.貨客車の留置ヤードと機関庫線まで有した大レイアウトがない限り、マグネット解放が必要に迫られる事はない(結局機関車を手で持ち上げ線路から外さなければならないため)
2.マグ解放は本来、安易に手を伸ばすと手前のシーナリィを壊してしまう恐れがある場合に初めて有効になるものであり、目の前で解放&DUをやってもすぐ飽きてしまう(手で外した方が早い)
3.模型の場合、貨車ですら一旦編成を組んだものを組成し直す必要は殆ど無い。
4.実際殆どの人が使わない解放機能のために外観が犠牲になっている点を打破したい。




IMONカプラー現状報告2010-02②

2010-02-25 | 鉄道模型
IMONカプラー、連結相手の多様性
(写真や表はクリックでポップアップします)



IMONカプラーは昨夏の発表以来何回も試作品を作っては金型修正を繰り返してきました。
IMONカプラー同志はもちろん、小さいもの(HOスケールのナックルカプラーやサージェント)から大きなもの(ケーディー、KATOなど)まで連結実験を繰り返しています。

IMONのC11に使われている「相手任せ自連」の場合は、もともとケーディーとの自動連結を目的にしていましたが、ケーディー#711相手では上手く行かない傾向が有り、(当初はなかった)IMONカプラーが相手なら上手く行く傾向が有ります。











IMONカプラー現状報告2010-02③

2010-02-24 | 鉄道模型
IMONカプラー今後の展開①

ケーディー#5,6,8,16,58を置換える製品IMONカプラーHO-1、HO-3が「本番かもしれない」という意識で開発してきました。

#5置換え用IMONカプラーは

① ポケットの取付に2mmビスを使うなど「はっきり区別しやすい」
② 日本では大きな1/80に使われる
③ アメリカ型は1/87であっても大柄でオーバーハングも大きい
④ 連結相手となるケーディー#5等のヘッドは「巨大」

といった理由から3~7%大きく設計する考えで進行していました。


今回その方針を大転換しました。


理由①;主にHO1067で使う想定だったHO-1ですが巨大なHO用ケーディーと問題なく連結できる。
理由②;HO-101とHO-1の連結を想定した三次元CAD上でのシミュレーションで「こねくり回す」と不随意解放の可能性がある事が判明。

IMONカプラーは「不随意解放を許さない」という事は絶対条件です。

故にヘッドは一種類にするのが無難な選択です。

さて、1種類にするためには
ケーディー#711相当(1.4mmビス使用、主にHO1067に使用)
ケーディー#5、8相当(2mmビス使用、主に日本型16番に使用)
では車両の縮尺が違うわけですから其処が「大丈夫か?」というところが心配のポイントだったのです。

↓以下が1/87、1/80の実物図面と並べたIMONカプラーHO-101の図面です。





機能が重要な「鉄道模型」ですから、100倍近く大きさが異なる実物と同じ形態にするのは不合理ですので形が違ってきてしまいます。故にどちらが「相当」するのか微妙で判定しがたいと感じます。

(むしろ純粋に1/87だけを考えてきた現在のヘッドですが「1/80の方にやや近いか」と感じます)

(同じ形態にする不合理の例;サージェントエンジニアリングのカプラーなど良くできていますが本物同様の連結、解放機能を持たせたため連結器本体後半部はぼってりと大きくなってしまい、違う視点から見ると形態上は駄目な物になってしまう。それでも凄い製品ですが)


というわけで当初予定を変更し
HO-1 (#5、#8相当)
HO-2 (#7相当)
HO-3 (#6、#16相当)
は、HO-101、HO-102と共通のヘッドを使う事に致しました。


HO-101のポケット(1.4mmビス使用)は2種類のシャンクを得る事を意味します。
同時に
HO-1のシャンクは、1.4mmビス使用と2mmビス使用の2種類のポケットを得ます。


なぜそんな事が出来るのか・・・・
特許を申請した基本構造の根幹とも言うべき復元バネの仕組みの発明が其処にあります。


(まだ動きが引っかかるかな?と言うところがIMONカプラーの悩み→其れを色々ヤスって見ています。最大速度で改良も続けて居ます)
もうご覧になっているかと思いますが、軟質プラスチックのケースに復元バネが一体成形されています。
この復元バネの凄いところは

① シャンクではなくポケットと一体;硬い事が要求されるべきシャンクではなくポケットと同材質なのでよりバネに適した成形材が使える
② シャンクの位置決めがV字形伸縮機構で決まるのでシャンク基部の設計いかんによって1.4mm2mmビスポケットの両方で其れを受け止められてしまう
③ シャンクを中央に戻し終わると復元バネにドラッグが掛からない状態になるので保管中は休んでおり、バネの能力が長続きしそう

であると感じています。




IMONカプラー現状報告2010-02④

2010-02-23 | 鉄道模型
IMONカプラー今後の展開(下)

通常のIMONカプラーはビスの位置に支点が有り、首を左右に振ればポケットのV字の溝に従って伸縮します。

前方から
「カプラーヘッド」「復元バネの作用ポイント」「支点」という順番に並んでいます。

これから紹介する「蒸機前用」「蒸機後用」は
前方から
「カプラーヘッド」「支点」「復元バネの作用ポイント」という順番に並んでいます。
スペースの制約を受ける場所で使うカプラーですので極めてコンパクトに出来ていますが伸縮機能はありません。



これらのカプラーは本体はダイキャスト、カプラーポケットはデルリンですのでカプラーは機関車本体とは絶縁されて居ます。
(私はケーディー#711連結器本体も塗装が乗ると思っているので「塗装可能」と謳ってしまいましたがやはり塗装は乗りにくいようです)


これは、現在のHO-101などに組み合わせるだけで外観をそれらしくする蒸機テンダー後ろ用ロストパーツです。
写真、単体ロストパーツは上下逆に置いた状態です。


未塗装で装着した姿です。


塗装された状態です。
外観は新設計のテンダー用が優れていますが、こちらは多少ですが伸縮するところが良いところです。




順次開発して参りますが、開発順序などはまだ詳細に決まっては居ません。
まずは販売しながらHO-101の細かい改良を続けて参ります。