テンダー台車の構造について

2009-08-31 | 鉄道模型
私は色々なキットを「組み屋さん」に依頼して組んで貰っています。

正直言って「自分で組んだらこうはいかない」良い組み上がりです。

でも、仕上げになると私の出番です。
当社の「ゴッドハンド」達に頼めば別ですが、仕上げは自分でやるしかありません。

一応塗装されて納められた蒸機をどう仕上げするかについて説明いたします。


①分解します  (私は最低限の分解です)

②塗装時に付いた埃等をカッターの先で削り落とします

③磨き出された作用管と安全弁を常温黒染め液で黒染めします(黒くしすぎないよう)

④エナメル塗料(XF-1にフラットベース少量追加)で煙室部分を筆塗りします

⑤はみ出したエナメル塗料を乾燥後削り落とします

⑥ナンバープレート、窓、ライトをマスキング

⑦火の粉止めの網(黒染め無塗装)にプライマーを塗る


プライマーは ばっと塗ってハリケーンブロアーで吹くと網の目が全部綺麗に抜けます

⑧車体より少し艶消しの黒を吹き②、④、⑥を上手くカバーして塗装仕上がり状態に

⑨錆を表現する筆による汚しなどの色差し

⑩エアブラシによるウェザリング

⑪ローソクを使ってウェザリング

⑫リターダシンナーで溶いたラッカーで車輪を筆塗り

⑬組み立て

⑬最後の色差し

となるわけです。
この工程はものすごく時間を節約したもので、本来は全部ばらばらにしてウェザリングを掛けるのが正しいと思います。

さて、組み立ての途中、IMON蒸機の構造の面白さをちょっと紹介いたします。



台車が二重構造になっていますね。

左には挽物のドローバーピンと長い1.4mmビスがあります。 
挽物はドローバーを受けるピンで、1.4mmビスによりテンダーに取り付けます。
テンダーを傷つける心配なく、10倍しっかり、100倍簡単に取り付けられます。
しかも挽物には下方向の抜け止めが有り、テンダーの不随意解放がありません。


台車は、まず台車外枠をテンダーのボルスターに取り付けます。

ボルスター ~ マクラバリ ~ スプリング ~ 挽物ジャケット ~ プラスネジ

という構造になっています。

挽物ジャケットは黒ニッケルメッキで集電性能は保証付です。
(従来からあるマイナスの段付ネジは表面仕上げが色々で時に集電が悪く、コストも高く、作業者もいちいちマイナスドライバーに持ち換える必要がありました)

台車外枠に台車内枠(車輪付)を1.4mmビス二つで取り付けます。

1983年HO1067の規格が発表された時、車輪プロファイルと軸の長さ(長軸、短軸)が決められました。
その長さを今もIMONは守っています。
本来実物は長軸であることを利用して、短軸を使って追従性抜群の構造を選んでいるわけです。



ドローバーピンとテンダー台車の構造がわかります。

このテンダー台車の構造は乗工社が長年使っていた構造です。


IMONが2002年C55を発売した時この構造をとっていませんでした。
理由はC51を当時発注していた下請け先;乗工社と平行に韓国でC55を作るに当り、わざと任せて彼ら流のやり方にさせてみたからです。


IMONの蒸機は新アイデアをどんどん取り入れ、脱線しない、集電の心配の無い、牽引力の優れた機関車になりつつあります。
D51はまだ特定番号機の発売が続いて行きますが、次のテンダー機C57の時には伸縮ドローバーを蒸機で取り入れるなど更に新しい試みがなされていく予定です。




民主党大勝利

2009-08-31 | 政治・経済

今朝の新聞です

深夜、テレビで鳩山由紀夫代表のインタビューを聞きました。
私としては印象は良かったです。
この人が高速道路無料化を推進し、鉄道はじめ公共交通機関を窮地に落し、日本を時代錯誤の「車依存の社会」へ持って行こうとするのは不思議でした。

その時、家内の一言
「鳩山さんってブリヂストンでしょ?」

「ブリヂストンは石橋さんでしょ?」

「お母さんは石橋家から来てて、兄弟で物凄く株持っているってテレビで言っていたわよ」

恥ずかしい限りです。
そうだったんですね。
知らなかった!!!(昔聞いたかも知れませんが全然興味なくすぐ記憶から廃棄したのかもしれません)

鳩山由紀夫も鳩山邦夫も400万株近く(おそらく60億超)を所有しているらしいです。


バランス感覚が取れていそうな鳩山さんが本来民主党の目指すべき姿と全く逆の自動車社会に日本を持って行こうとする政策を打ち出す理由が非常によく判ります。

自分の利益という考えもあるかも知れませんが、自分の祖父が創業したブリヂストンに良かれとする心情の方が大きいんじゃないでしょうか。

鳩山由紀夫代表に
「高速道路無料化は公共交通機関壊滅という日本にとって取り返しのつかない痛恨事になるから止めてください」
という手紙を書いた私の馬鹿さ加減が際だちます。

考えてみれば、鳩山邦夫さんの居る自民党も酷く自動車優遇の政策を恥ずかしげも無くやっています。

自動車=ECOの正反対

新車への乗り換え=ECOの正反対  なのにECO減税とはこれまたびっくり。


私は、高速道路無料化は「人気が欲しくてうっかり口にした」と思っていましたが、そうではなく国民の大多数が気がつかないうちに公共交通の息の根を止めに来る可能性が有ります。
少し覚悟しなくてはいけないかも知れません。

民主と連立する社民党が高速道路無料化に反対と聞きますので社民党に期待しましょう。



IMONカプラーHO

2009-08-28 | 鉄道模型

IMONカプラーHO-101試作品

IMONカプラーHO-101のカプラーポケットの連結側出口の形状で特徴的なのは、左右が空いていて上下にポケットが伸びて来て居る事です。 上下にポケットが来て居る目的は上下方向にずれる事による「不随意解放」が起こりにくいようにすることです。
左右が空いているのはケーディー#711の寸法の範囲に収まるように作られているカプラーポケットを利用してもう少し大きな首振りを実現しているからです。



外観は、取り付けた車両のグレード感を極力アップできるように工夫しています




JAMの新企画「新製品発表会」を盛り上げようと、そのタイミングで開発をはじめたIMONカプラーHOです。

積年の構想だったのですが、今年は必要になる年でした。
1/87のプラ貨車の開発が本格化します。
連結器が「ダミーまがい」だったり(→セキ3000の時がそうでした)ケーディーを大量に買って取り付けたりしたくなかったからです。

ケーディーと違いマグネマチックカプラーではなく
*ぶつければ連結される
*解放は片方の車両を持ち上げて行う
タイプの自連です。


開発時の優先項目


(1)ケーディーのように不随意に解放する事がないようにしたい

ケーディーは正確な高さにきちんと揃っていれば相当に荒れた路盤でも「不随意解放」しない事にはなっていますが、実際には誰もが苦しめられる大欠点です。

日本一大きくて有名なシーナリー付きレイアウトに車両を乗り入れた経験が有りますが、其処はケーディー使用禁止でした。 当然だと思います。

ケーディーが「不随意解放」と常に隣り合わせである理由は以下の通りだと考えす。

①車両のカプラー取付座の高さにばらつきがある(同一製品でもばらつく)
②モデラーの不注意
③線路側の大きすぎる段差
④鉄道車両の意外なほど大きなオーバーハング
⑤ケーディーのポケットがガタが大きい為に上下に大きく動ける余地があること
⑥成型時のパーティングラインが真ん中にあり、僅かながら好ましくない方向に勾配があること
⑦ナックル先端の爪の形状がまだ少し甘い

この中から
⑤、⑥、⑦を排除しました。
更にナックル部分の上下幅を拡大することによって①~④の原因があってもかなりカバー出来る製品になっていると考えています。

ここではケーディーを対象に「不随意解放」について論じていますが、「ケーディーもどき」のマグネマチックカプラーの方がケーディーの10倍も「不随意解放」することは皆様ご存じですね。



(2)発車時に連結器が鳴るようにダイキャスト製のナックルとする

安易なサウンドがもてはやされる時代ですが、HO以上の模型を「やる」意義の一つはその大きな質量ゆえ、自然に「音が出る」ことにあると思います。

連結器遊間が半分縮んだ状態の列車を機関車が引出すと連結器から音が出ることが非常に重要なことだと考えます。
HO1067の場合、ケーディーは#711を使います。 そのポリ製のナックルが大きな音を出してくれない事もこのスケールをやるに際してのマイナス要素でした。

HO用自連を制作するにあたってまず#711相当品から手掛ける理由の一つは音が出ないポリ製カプラーじゃ遊んでいてつまらないからです。



(3)ケーディー及びその同類の自連と相互に連結するのに全く問題がないこと

ケーディー#711と連結状態のHO-101

HO-101の最初の試作品でも自動連結については全く問題ありません。

●ケーディー#711
●ケーディー#5等
●IMONカプラーHO-101
●IMONカプラーHO-1

の4種類のナックル相互の連結についても問題はないと思います。
HO-101とISb、HO-1とISbカプラーの連結についてはできてこないと判らない状況です。
優先するほどではありませんが、計画としてはその連結も意識した設計がなされています。



(4)マグネマチックカプラーが必要な場合はケーディーに置換可能な寸法

ケーディー#711と同寸で並べた比較図
カプラーポケットの厚みも3mmに揃えています。
HO1067の場合連結面間が狭くなるように考えられている場合が多いので、連結面間が変わらない寸法を選択しています。
ヘッドが小さくなった事によって胴受のスペースが生まれたようにも思います。


(5)外観を格好良く

開放ピン、ナックルピン、肉抜きなど上手に表現しているつもりです。

ケーディー#58と比較しても大きく違うのは、ケーディーの場合マグネマチックの機能のために犠牲にしている外観、すなわち
① 構造的に 打ち込んだ解放用ヒゲがずれないようにする強度が必要
② 機能的に 解放ランプで確実に解放するスペースが連結器内に必要
があります。
IMONカプラーが遙かに勝る外観となっている原因です。

特にケーディー#711を対象と考えると外観向上は顕著です。

そうなると縮尺が気になります。
基本的には「自連」の上下寸法を目立たないように工夫しつつめいっぱい拡大し、親指に相当する左側部分がホンモノより左方に離れることによって左右が大きくなった大きさです。
と言うことは、上下、左右共にファインスケールよりは大きいと言えます。
上下左右とも大きいのですが、縮尺は1/87を意識して彫刻しています。

次回のブログでHO用定番ケーディー、#5、#6、#7、#8、#16、#30番代など用の置き換えを狙ったIMONカプラーHO-1,2,3を紹介しますが、16番や13mm蒸機の前側自連はもしかするとこのHO-101を使った方が宜しいかも知れません。 HO-1とHO-101のナックルの大きさは僅か4%程度の違いです。



(6)可能なら僅かでも伸縮させたい

この点についても僅かとはいえ実現しています。
この僅かな差が決定的な場合もあります。



本日写真で紹介しているものが第一次試作品です。
第二次試作品を待っている現状です。

二次試作品を待つことになったのはナックルの「引っかかり」の形状を更に改良してもっと勝手解放し難い形状にできるという欲を出してのものです。

第二次試作品は少し数を揃え、色々なタイプが揃ったモデルワムの貨車に装着して、原宿店の勾配線で色々な実験を行うことになっております。



C11にHO-101を取り付けた状態です。
発売中のC11にはロスト製でKDと自動連結可能なナックルカプラーが付いていますが、IMONカプラー完成後に発売するものはこのカプラーに変わります。



C11とプラスチックのPEMP製ワム50000に取り付けて連結してみました
KD#711を使用した場合と連結面間は殆ど変化しません。
KD#711は「連結面間」に関しては程良く詰まった姿になる良いカプラーです。



IMONカプラーHO 続編

2009-08-27 | 鉄道模型

続行して開発中のケーディー#5、#8に相当するHO-1
特許出願番号2009-188371
特許に値するコンパクトなカプラーポケット構造のおかげでケーディー30番台の置換えも可能です。

#711の場合と違って、ナックルの大きさそのものが大きく変わってくるので連結面間が詰まって実感的になります。
その時、僅かとはいえ伸縮する構造が活きてくると思います。



ケーディー#7に相当するHO-2
ケーディー#7は上方シャンクとして最も一般的なケーディーですが、何故か#6や#8等の普通のカプラーと長さは全く無関係、極端に短いカプラーです。
何か事情があってこの長さにしたのでしょうが、現在の私たちにとってはカプラーシステムとして使いやすいとは言い難いと思います。

IMONカプラーに於いては、HO-1とHO-2は同じ長さです。
「普通」と「上方シャンク」だけが違います。
取付穴からナックル背面までの長さは#5に合わせ、連結面間は#7に合う寸法を選択している格好です。



ケーディー#16に相当するHO-3
HO-1同様にナックル背面までの寸法で#16を意識していますが、#6がケーディーの主流であった時代は連結面間は鷹揚であったことを踏まえて零コンマ何ミリか短くしています。

もっと具体的に言えば、ケーディー#6といえばアダチや天賞堂蒸機が思い起こされます。
これらの連結器が少し出過ぎていると感じています。
胴受けが表現されたこれらの蒸機を引き立てる連結器になると考えています。




HO-101類とHO-1類の大きな違いは、取付ビスが1.4mmか2mmの違いです。
HO-1類のポケットは30番台ケーディー置換えを意識してより小さく作られています。
設計の面での苦労は取付ビス穴を2.2mmとしているのが大きかったのです。
これはアメリカ市場を意識したものです。

発売時期は、先行するHO-101、HO-102が今年秋、HO-1、HO-2、HO-3は来春早々と考えています。

そして、気になる値段は  200~300円/1両分を想定しています。
私の希望は 210円/1両分 です。


JAMコンベンションで走っていた車両について

2009-08-25 | 鉄道模型

165系9連セット快走中。 行き先表示盤の急行表記が蛍光灯色に光っています。

モデルスIMONはまだまだ採算ぎりぎりのところを歯を食いしばって走っている現状です。 それを象徴するのが、JAMでの走行展示車両の多くが実は私の私物なのです。 恥ずかしいことに買っています。 展示走行用の車両を販売用と別に用意する余裕はまだ無いのです。 もちろん「クハ1両、モハはユニットで」と言う具合に見本は取ってありますが、編成を組んで走らせる様にはなっていません。
私の私物は「どうせ」ガンガン走らせるモノですから会場でも惜しげ無く走らせることができます。

165系は「素」のままですが、80系はちょっといじったモノです。
ISカプラーに取り替えて居ますし、パンタ回りに165系並みに軽いウェザリングをしています。
販売した80系の屋根には、製品段階で軽いウェザリングをしてあります。
でも165系と違い、パンタ回りを重点的にウェザリングはしていません。
やりたくなってウェザリングしてみてしまいました。

ところが、パンタ側の隣の車両の屋根の色と差が出てしまいました。
165系では隣の車両(クモハ165)の屋根にも吹いています。
「しょうがない、いつか隣の車両のパンタ車サイドも汚そう」と考えていたらJAMに持って来て欲しいという店側からの要求が来ました。
そこで、急いで「ちょっとだけウェザリング」をする羽目になったわけです。
搬入日の前日の夜中です。




どうせ吹くならベンチレーターに墨入れしちゃえ! というわけで私の定番この組み合わせ


こういう汚らしい色ができます。 これの「薄め」を筆で入れます。


使用前   良くできたベンチレーターだと思います。このままでも良いですよね。


使用後   これは乾く前です。乾くと艶消なのでもっと「軽く」なります。

万一こぼれてもエナメル溶剤を染みさせたティッシュで拭けば大体綺麗になります。



吹くのは最後です。



たいして吹いていませんが少しは馴染むでしょう。

165系はパンタを汚しましたが、墨入れはまだしていません。
墨入れはなかなか製品作りには抵抗がありそうです。

こういう電車の細工を今後どうしていくのかこれからどんどん研究致します。