八雲工芸C622緊急レポート

2012-07-14 | 鉄道模型
八雲工芸からHO1067のC622が発売されました。

http://www2.tbb.t-com.ne.jp/yakumo/

こちら↑のHPをご覧になれば綺麗な写真が載っていますので写真レポートの必要は余り無いのかもしれませんが、それでも「お節介」緊急レポートをしたいと思います。

実はPEMPベースということで期待していなかったのですが、想像より遥かに好く出来た力作でびっくりしたのです。


ベースであるPEMPのC62とは「箱では無関係」という感じです。


クッション材はウレタン(=鉄道模型としては普通)ですから10年程のうちにはIMONの紙箱に移したいところです。


驚きの中心は“空気作用管”です。

美しくて尚且つ砂撒管元栓まで配管されています。 IMONの蒸機はこれが出来ていません。 はっきり負けました。

この美しい空気作用管を実現するために加減弁引棒が瞬間接着剤による取付らしいですが研究しなくてはならないと感じました。


他社製品や実機とよく比較していませんが、北海道式のギター弦と内地式が混ざったC622のぐちゃぐちゃの空気作用管が表現されています。


PEMPC62の空気作用管(手前)エッチングで作っていますので少し「ぺちゃんこ」なイメージです。

C622(日立)とC6223(川車)の作用管元栓の間隔の差の表現。


保持する十文字の支えが見えるクルクルパー周辺


キャブ前の配管は立体的です。


全体としては艶が有る塗装、煙室側面は艶消しですが煙室前面は艶有りです。

実物は煙室前面艶有り、ボイラーカバー(艶有り)と比べるとはっきり艶がない煙室側面、しかし前面/側面間には境界線は無いのです。

おそらく煙室前面と煙室扉はPEMP製品のように艶が無い耐熱塗料なのでしょうけれど、ウェスで磨かれているうちにボイラーカバーに負けないほど艶々になってしまうのだと思います。

煙室前面が艶消しのPEMP蒸機には少し違和感がありました。


前カプラーはIMONカプラーHO-301を使っていただいています。


灰除けが後の糊付けなのか少し艶が強いです。


テンダー後部、カプラーHO-401を使っていただいております。


¥323,400 です。 

1989年のC622ニセコ仕様は¥248,000ですからそれよりは高いですが、1997年のC6223は¥355,000なので努力した価格であると思います。

http://www.t3.rim.or.jp/~boogie/c622.htm

http://www.morii.jp/railmodel/products/sl.html


実に長くてスマートなC62の雰囲気を伝えていると思います。

ゼロイチや前進ばかり見ていたせいか(50回以上は撮りに行った→)C62ニセコ号を牽くC62の華奢で小さい事、背の低い事は強烈な印象になっています。


この模型の最大の問題点は①動輪 ②バルブギヤです。

黒染めをしていないので余計に目立ってしまうのが実に残念な「2大欠点」です。

①動輪
本物のボックス動輪は「ボックス」(或は箱型輪芯)と言うだけあって中空になっています。
それを実現しようとしてしまったのがこのボックス動輪です。
実現は2ピースにして重ねる事によって実現しています。
結果、実物の何倍も厚い輪芯になってしまい、外から見えるディティールを表現する余裕がなくなり「平板で分厚い」動輪になってしまったのです。
*平板で凹凸が足りない事
*厚みが凄い事
   →どちらも致命的と言ってよいと思います。
(ワンピースである実物では有得ない位置にあるバリも猛烈です)

結果として動輪だけタイヤ厚を2.2㎜にしています。

16番のタイヤ厚が2.7㎜であることを考えればそれでも当初は優秀だったのです。

しかし、実物の(か細い)車輪厚はHOスケールで1.5~1.6㎜程度ですし、輪芯はもっとかけ離れた薄さ、半分以下という感じです。

時代が進み、他の部分の作りが「細く」「細かく」なって「この欠点」が目立ってしまったのです。

②バルブギヤ
かなり太いです。 加減リンクの中にラジアスロッドを通す構造に拘ったのが全体が太くなる原因になったのではないかと考えたりします。
クロスヘッド等の表情も残念です。
(当初製作した会社の力量が足りなかったと確信しています)


PEMPと今回の八雲の比較です。


ストーカーのネジ部分は流石に省略したのかもしれません。

しかしこの「つくり」では石炭取り外し式に作るのも困難で、廃車体を脱するためにはお金が掛っていそうなテンダー内部のディティールを殺す覚悟が必要です。


テンダー台車は軸バネ式ですが、外観を良くすることよりも「軸バネだぞ!」を強調する目的なのか染めていない銅色のバネが「俺は模型だ!」と宣言してしまっています。

IMONのテンダー台車に交換する手が有ります。


PEMPには無い灰箱底面を追加した八雲工芸。 

モーターもPEMP時代(最高速度60㎞/hと言われていました)と方針を180度変えて相当な高速回転です。


IMONを完全に超える「木組みまで表現したキャブインテリア塗装」に至った八雲工芸C62。



意欲的な製品を開発してきたPEMP製品の中にあって蒸機だけは駄目と感じていました。

それ故ノーマークだった八雲のC62ですが、この溢れる努力が感じられる製品を見てC62はまだ出番が遠いかなと感じ、ほっとした次第です。