魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

クラゲウオ

2024年07月06日 14時54分59秒 | 魚紹介

今日も忙しいのでパパパッと行きます。クラゲウオも2021年以来、久々に入手できた。スズキ目・イボダイ亜目・エボシダイ科・スジハナビラウオ属の魚である。その名の通り、主に幼魚期にクラゲにつく習性があるが、成魚は海底で見られるという。

クラゲウオの頭部

同じ属のハナビラウオと比べると鱗が大きく数が少ない(というよりはハナビラウオの鱗の数の多さはこの属としては異端であろう)。クラゲウオは側線鱗数が45前後と少ないが、ハナビラウオだと120前後である。シマハナビラウオは側線鱗数が67~70と多く、クラゲウオと見分けられる。また、吻はクラゲウオは短く、シマハナビラウオのほうはやや長いので見分けられる。クラゲウオやシマハナビラウオでは頭部背面の鱗域の両側に無鱗域があるが、日本産のもう1種スジハナビラウオではその無鱗域はないので見分けられる。

日本産のスジハナビラウオ属は4種からなるが、残念ながらシマハナビラウオだけは入手出来ておらず、魚のぶろぐでも掲載はできていない。クラゲウオの分布域は千葉県から鹿児島県の太平洋岸、能登半島、九州北岸、五島列島~台湾、三大洋の暖海域、シマハナビラウオは千島列島から九州、兵庫県浜坂などで得られているが、幼魚が多く成魚は極めてまれなようである。

クラゲウオは外洋性のようで決して普通種、とはいいがたいが、それでも何回かは見ている。前回2021年も長崎沖の旋網で獲れたもので、その時は刺身にして食べた。今回はやや鮮度が落ちてしまっていたので揚げ物にして食べたが、味はあまりない。刺身は美味しかったので期待していただけに残念である。なお、この個体もキンメダマシやらムロアジやらマルアジやらと一緒に入って来たものであるが、残念ながらこれがメインの魚ではない。もっと、もーっとすごいのが来たのだ。クラゲウオが好きです、でも〇〇〇〇はもーっとすきです!

今回のクラゲウオも長崎県マルホウ水産 「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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キンメダマシ

2024年07月05日 00時35分59秒 | 魚紹介

この間ムロアジやマルアジと一緒に我が家にやってきたのがこの魚。キンメダイ目・キンメダイ科・キンメダマシ属のキンメダマシ。

キンメダマシはほかのキンメダイ科魚類同様深海性で水深100~300mほどの場所を遊泳しているというが、まれにダイバーにより、より浅い場所でも撮影されている。「魚類写真資料データベース」でキンメダマシの水中写真が八丈島のナズマドで撮られている。しかし浅いとはいっても水深60mというから、やはりダイバーにはなかなか手が届かないのかもしれない。深く潜るのは様々な危険も伴うものだし。結局、釣りなどの漁業によって漁獲されたものを魚市場であるとか、魚屋さんであるとか、あるいは食卓で眺めるのが一番安心安全といえるだろう。食卓で眺めるなら減圧のことを考える必要もない。しかし食卓だとその魚の生態などはわからない。

キンメダマシの背鰭

キンメダマシの特徴は背鰭棘にある。キンメダイやナンヨウキンメ、フウセンキンメといった種は背鰭棘数が4であるのに対し、このキンメダマシは5~7とキンメダイ属よりも多い。背鰭最初の棘がうまくたてられていないのは申し訳ないところ。またキンメダイ属では涙骨に強い棘があるのに対し、キンメダマシでは涙骨の強い棘を欠く。体色は先述のナズマドで撮影されたものは濃い赤色であったが、今回のキンメダマシは赤というよりは黄金色に近く、キラキラと光り輝いていたのだった。

キンメダマシを食するのは実は今回が初めてではない。2012年に一度、やはり長崎県で漁獲されたキンメダマシを食している。ただしキンメダマシを食したのはこの2回だけである。見たり標本にしたものを含めばほかにも宮崎県産の個体を標本にしたりしたことはある。しかしそれくらいであり、キンメダマシはキンメダイと比べると珍しい魚といえるだろう。分布域は八丈島、小笠原諸島、琉球列島のほか、神奈川県三崎、三重県和具、土佐湾でも得られている。今回は長崎魚市場から来たが、九州南方で漁獲されたものかもしれない。

前回は寿司にして食べたのだが、今回は身は皮目をあぶって刺身にする。そうすると最高に美味しい。ほか塩焼きや煮つけなどのように、キンメダイと同じ食べ方で美味しいだろう。長崎 マルホウ水産 石田拓治さん、いつもありがとうございます。しかしながら今回このキンメダマシも実は主役ではない。あくまでも名脇役といったところかもしれない。つまり、それほどすさまじい魚が長崎から我が家にやってきたということになる。それについてはまた近いうちにご紹介。Chu 美味しくてごめん、 じらしまくっててごめん。

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マルアジ

2024年07月02日 16時40分36秒 | 魚紹介

今日はいまから仕事で忙しいので軽ーくいきます。スズキ目・アジ科・マルアジ属のマルアジ。

マルアジは2022年にも紹介しているが、今回のマルアジもそのときと同じ長崎県近海産である。前回この「魚のぶろぐ」で登場したマルアジはスレンダーな体つきであったが、今回のマルアジはマアジかと思うくらい肥えている。もっとも、今回のマルアジは前回のものと比べて小さいのであるが。大きい個体は細長くなる傾向が強いのだろう。背鰭や臀鰭の後方に小離鰭(しょうりき)があるため、マアジとは容易に識別できる。もちろん、稜鱗の分布もマアジとは異なっている。アカアジにもよく似ているが、尾鰭は薄い黄色で赤くないことから区別可能。

前回マルアジを食したときはお刺身でいただいた。味はよかったのだが、刺身よりもたたきで食べたいと書いたように思う。そしてようやくその願いがかなったのであった。脂の乗りがやはりすごく味も素晴らしいものであった。このマルアジは前回のムロアジと同様で、とある別の魚を購入したときに、おまけに入れて頂いたもの。その「別の魚」についてはまた近いうちにこの「魚のぶろぐ」でご紹介したい。今回のマルアジもマルホウ水産「魚喰民族」石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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ムロアジ

2024年06月26日 23時46分19秒 | 魚紹介

今日はアジ科の魚をご紹介。スズキ目・アジ科・ムロアジ属のムロアジ。

ムロアジを入手したのは当然ながら初めてではない。この「魚のぶろぐ」でも過去に何度か紹介している・・・と思いきや丸魚を2009年に1回、料理を2008年に1回紹介しているだけであった。2018年以降は何度かムロアジを食しているのであるが、紹介できていなかったのだ。全長50cm近くになり、マアジタイプのアジでもとくに大型になる種、といってもよいであろう。

今回の個体は鮮やかな緑黄色、というか緑金色に光り輝いていて美しいものであった。グリーンの背中と、体側を走る黄色の縦線。これがムロアジの特徴といえる。同じような色彩をサバ科マグロ属のキハダもまとっているような気がするが、このような色だと、なにかメリットがあるのかもしれない。

ムロアジ属がマアジ属と大きく異なるのはこの特徴である。背鰭と臀鰭の後方に小離鰭があるが、これはマアジにはないのである。尾鰭が上葉と下葉で色彩が異なっているというのはほかのムロアジ属魚類と見分けるのに役に立つであろう。上葉は鮮やかな黄色で、下葉は赤褐色をしている。今回の個体は水揚げされてからある程度時間がたっていたためなのか、背鰭と臀鰭の軟条の多くの鰭膜が失われてしまっていた。

日本産ムロアジ属魚類は本種のほかにもモロ、クサヤモロ、インドマルアジ、マルアジ、アカアジ、キツネアカアジ、サクラアジ、オアカムロが知られている。このうちキツネアカアジとサクラアジは入手出来ていない。インドマルアジは入手自体しているものの、まだこのぶろぐでは紹介できていない。ムロアジはこれらの種類の中でもクサヤモロによく似ているが、体側に青いラインが入らないことや、尾鰭の色彩などによって容易に見分けることができるだろう。

モロの頭部背面

ムロアジの頭部背面

モロとムロアジは頭部背面を見るとわかりやすい。モロは頭部背面の鱗域が狭く、左右の眼を結ぶ線に鱗域は達しないが、このムロアジでは達するので見分けることができる。この特徴はムロアジのほかクサヤモロなどでも有している。

ムロアジ属=干物というのはもはや単なる固定された概念でしかない。このムロアジは刺身で美味しい魚なのだ。このほかたたきも美味しく食べられる。いずれにせよ脂がのったムロアジ属の魚はとてもうまい。今回のムロアジはマルホウ水産 石田拓治さんより。別の魚を購入したところ、おまけでこのムロアジも入れて頂いたのであった。ありがとうございました。

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マルアジ

2022年10月11日 17時47分41秒 | 魚紹介

今回は「超」久しぶりにぶろぐに登場する、しかし写真がまだアップされていなかったアジ科の魚をご紹介。アジ科・ムロアジ属のマルアジ。

マアジ

マルアジはマアジに非常によく似ている。属としてはマルアジはムロアジ属、マアジはマアジ属とそれぞれ別属であるが、初めて本種を釣った人がこの2種を見分けるのはちょっと難しいかもしれない。ということで、まず、マアジとマルアジの見分け方をご紹介。

マルアジの尾柄。小離鰭がある

マアジの尾柄。小離鰭がない

マルアジとマアジ、この2種を見分けるのに大きなポイントとなるのはまず小離鰭の有無である。この小離鰭はマルアジをふくむムロアジ属で見られるが、マアジ属では見られない。

マルアジの側線曲走部。稜鱗がない

マアジの側線曲走部、マアジは側線全体に稜鱗が発達する

もう一つ重要なポイントは側線の稜鱗、つまりぜんご、ぜいごである。この稜鱗はマアジでは側線全体にあるのに対し、マルアジでは側線直走部にのみあることにより見分けられる。現物がない場合、つまり見分けたいが写真しかないというときにはこちらのポイントで見分けるのがよいだろう。ムロアジやモロなどとは側線直走部の全域に稜鱗があることにより見分けられ、同様の特徴をもつアカアジやオアカムロとは尾鰭が赤みをおびないことにより見分けられる。

マルアジの分布は正確にはわからないが、少なくとも青森県以南の日本各地沿岸、朝鮮半島沿岸、台湾、および中国にはいると思われる。東南アジアでマルアジとされているものの中には、おそらくインドマルアジなどの別種も混ざっているように思われる。琉球列島の「マルアジ」とされる個体もあわせて再度よく見てみるべきだと思われる。ただしこの2種は見分けるのはやや難しいようで、背鰭前方鱗域が眼中央に達するのがマルアジ、達しないのがインドマルアジとされるが、この特徴では体側から撮影しただけの写真では見分けることはできない。マルアジのタイプ標本は日本から得られている。学名Decapterus maruadsiもおそらく「マルアジ」を意味するのだろう。

マルアジはかなり美味しい魚である。マアジよりも大きくなるように思い、そのような個体は大味かもしれない。大阪では活魚で入荷し、マアジより高価とされていたようである。本種を食べた話をするのは2009年以来なので、13年ぶりである。そのときはリュウグウノツカイやヒレジロマンザイウオなどと一緒に獲れたものを食べた。今回は刺身で食したが、脂がのり美味であった。しかし個人的には刺身よりもタタキのほうが美味のように思うので次はタタキで食べたい。一方大きくなる同属のムロアジなどは刺身のほうが好きである。今回のマルアジは長崎 印束商店の石田拓治さんより。いつも、ありがとうございます。

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