魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

プレ学会その2

2023年09月07日 17時59分58秒 | 魚市場

9月1日は朝3時起き。まずは長崎魚市場へ、せりの見学へ。ここでいつも魚をおくっていただいている石田拓治さんと久しぶりの対面。2018年以来だから5年ぶり。出会いも5年ぶりであり、長崎自体も5年ぶり。

セリ場は狭く見えるが、いくつかの棟に分けられていて其々かなり広くなっている。この日は台風が接近しているということで底曳網船の入港があったほか、五島列島からの定置網も入ってきており魚の種類は台風前と思えぬくらい。

五島便で一番多いのがメイチダイ。沖合があれるとよく入るのだそう。数100匹が網に入っていたほか、同じフエフキダイ科のフエフキダイやハマフエフキの姿も見られた。ほかはカゴカキダイ、イスズミ、カンパチの幼魚、カワハギ、クロホシフエダイなど。

近海を曳く小型底曳網ではイボダイやシログチ、イカなどが水揚げされている。釣り物も同じ場所で扱われ、アヤメカサゴやアオハタ、オオモンハタなど美味しそうなものが水揚げされていた。なお長崎では「のどぐろ」と箱に書いてあっても、それは多くの地域で近年「のどぐろ」の名称が浸透しつつあるアカムツのこととは限らないので注意が必要。この場合、のどぐろ、とはユメカサゴのことを指す・・・のだが、東シナ海の個体群はどうも模様が違う。ちなみにアカムツは長崎でも「のどぐろ」ということがあるそうだが、標準和名の方もよくつかわれている。

高級魚「クエ」。これは買えない。

こちらは以西底曳網船。八幡浜の沖底と同様2そう曳きらしい。残念ながら1社のみなのも同様らしい。底曳網も魚種は豊富、アカムツは大量でほかウマヅラハギ、カレイ、コケビラメ、ワキヤハタ、ホウボウ、マダイ、チカメキントキ、マハタなど色々なものが入っていた。以西底曳網は近海モノとはやや離れたところにあってセリの時間も別である。今回は大きなマアナゴを見つけたので沖底専門の仲買の方にマアナゴを競り落としてもらった。

その後は長崎市街地のコンビニエンスストアへ移動し、一緒に淡水魚を採集するお約束をしたHN「プラナリア」さんと一緒に長崎自動車道を一路東へ。しかし天気はあまり宜しくなく、小雨混じりの淡水魚採集となった。まずはヤマトシマドジョウY86のいる河川へ。無事ヤマトシマドジョウY86を採集させてもらったものの、残念ながら生かして帰ることができなかった。その後は彼にアリアケスジシマドジョウを採集させてあげようとポイントへ。雌であり「すじ」は出ていなかったものの無事に彼のタモの中に入ったので、ホッ。

その後は彼のリクエストもあったので、カジカの型不明(写真、2005年にその場所で採集した個体)やアカザなどを過去に採集した場所へと向かったのであるが、残念ながら河川の様子も、ポイント周辺の人家の様子も大きく変わってしまい、残念ながらカジカもアカザも出会えず。しかし楽しい採集となった。その後は食事をし、午後10時過ぎに長崎市内のホテルにチェックイン。明日の学会に備える。石田拓治さん&プラナリアさん、ありがとうございました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プレ学会

2023年09月05日 19時12分11秒 | 魚介類採集(淡水・汽水)

2013年の宮崎大会以来、日本魚類学会の年会に参加してきました。

8月30日、昼前に福岡に到着。博多駅でレンタカーを借りて、一路県南へ。福岡や佐賀、熊本といった地域は、日本産淡水魚の聖地としてよく知られている。豪雨被害による「国土強靭化」の計画による河川改修などもあったが、それでも筑後川に代表される河川流域の湿地は淡水魚の宝庫といえるのだ。

しかし今や河川の魚たちは数を減らしている。理由は上記の河川改修を種とし、オオクチバスやコイなどの外来生物によるものや、いわゆる「トリコ」による乱獲である。そのため今回の採集場所も残念ながら公表できない。悪しからず。あまり天気はよくないものの、太陽が顔をのぞかせており、非常にアツいものの、まあ、採集日和であった。

もっとも数が多い魚は、コイ科のオイカワである。ハス属とされたり、独自のオイカワ属Zaccoとされたりすることもある。いずれにせよ遊泳性の強い「ハヤ」である。大きい個体から小さい個体まで見られたが、この河川では大きめのカワムツも見られたので、おそらく小さな個体のなかにはカワムツも混ざっているのだと思われる。

野性的なシュッっとした見た目、銀色の体と青白い線、そして婚姻色など、とても美しい魚で観賞魚としての価値も高いのだが、残念ながらどこにでもいるので価値が低いとみなされやすい。また、非常に遊泳性が強く、スレなどに弱いなどの特徴もあり運搬が難しいというところもある。そのため今回はお持ち帰りしない。でも好きな魚ではある(重要)。その後は何か所かのポイントをまわり採集を行った。

採集後は福岡県の筑後川周辺の主要都市柳川市を訪問。柳川市はまあ、有名ですよね。5年ぶりである。暑さで滅びたのか、セミなどもほとんど姿を見せまず。これは川下りの船で、5年前にはできなかった川下りを楽しむ…というのではなく、ただ見るだけ。まあ柳川についたのは夕方であった。

その後は国道35号、国道202号、西彼杵道を経由し、一路長崎へ。下道のみを走ったためガソリン代以外はかかっていないのだが、国道206号のカーブは強烈であった。また針尾島という島も走ることになった。しかし採集した魚はみな無事。魚についてはまた後日詳しくご紹介したい。日付が変わってすぐに長崎市内某所に到着となった。夕食は途中のトライアルで購入した鶏の刺身。

続く。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブチススキベラ

2023年09月01日 16時38分16秒 | 魚紹介

今日から9月です。ということで(どういうことかは不明だが)、鹿児島からやって来た青が美しいベラの仲間をご紹介。ベラ科・カンムリベラ亜科・ススキベラ属のブチススキベラ。

ブチススキベラ頭部

ブチススキベラはススキベラ属の種類では最大種で、全長40cm近くになる。写真は鮮やかな青い色をしていて、ブダイの仲間に見える。しかしブダイの仲間とは歯の形状が大きく異なるので容易に見分けることができる。本種は雄と雌、そして稚魚で大きく色彩が異なることが知られており、この写真の個体は雄の成魚である。雌は灰色の体で、体側には青白い斑点が多数入るという特徴がある。ただし雌の写真はない。ごめん。

ブチススキベラ稚魚

一方稚魚は茶褐色で、ゆらゆら泳ぎながら海藻に擬態することで知られている。ふだんはゆらゆら泳いでいるのだが、網を差し出すと動きが素早くなり、瞬時に砂に潜ることもある。しかしながらうまくいけば簡単に採集できる。ススキベラ属は磯採集家により採集されることがあるが、そのほとんどは本種であろうと思われる。なお、稚魚の写真は私が高知県で採集したものである。

ブチススキベラはインドー太平洋の広い範囲にすむ。西はアリワルショールから、東はイースター島にまで至る。ハワイには分布していないが、近縁種のパールラスAnampses cuvierというのがいる。ただしブチススキベラとされている種も生息地により若干色彩が異なるようであり、それらの個体は今後種として復活するかもしれない。なお、ススキベラ属のベラは観賞魚として飼育されることもある。ホクトベラやフェミニンラスなどは観賞魚として日本にもよく輸入されるが、後者は南太平洋のサンゴ礁域に生息するものでかなり高価な魚である。一方ホクトベラなどは安価ではあるがかなり神経質で、なかなか餌をたべてくれないことがある。そのため初心者には向かない魚といえるだろう。飼育していても幼魚はなかなか配合餌を食べないことがある。世界で14種が知られているが、そのうちいくつかの種にはまだ学名がない。

ベラ科の魚といえば、我が家では大体「煮つけ」であるのだが、ブダイのように大きなサイズであったため、今回は刺身にしていただいた。身は白身であるが、結構赤みをおびているのに驚いた。味はよかったが食感はもちっとしていたので、唐揚げや煮つけの方が向いていたかもしれない。なお今回のブチススキベラも、昨日のギンカガミ同様に鹿児島県の田中水産 田中積さんより。いつもありがとうございます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする