魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

ミヤコヒゲ

2021年12月06日 17時52分27秒 | 魚紹介

トウジンの仲間(ソコダラ科・トウジン属)のミヤコヒゲ。全長90cm近くなり、日本産のこの属の中では最大級の種類である。数は多くはないが、決して珍しい種類、というわけでもなく、千葉県以南の太平洋岸、沖縄トラフ、九州-パラオ海嶺など広い範囲に生息している。水深300~700mほどの場所に生息しており、トウジンやキシュウヒゲ、ヘリダラなどと同じような環境に生息するようだ(同所的に獲れる)。

ミヤコヒゲの吻には鱗がない。この部分の鱗がないトウジン属の大型魚にはこのほかにオニヒゲがいるが、オニヒゲとは発光器の形状がこのミヤコヒゲと異なっているので、見分けることができるだろう。体の後方に鞍状斑があるというのがミヤコヒゲの特徴とされているが、この個体にはそれがない。超大型個体だと薄れてしまうのだろうか。この個体も全長80cmを超えている。

ミヤコヒゲなどソコダラ科は種類が多く、いろいろな料理で食べることができる。刺身はぽん酢がよく似合う。これは美味しい。また肝はかなり濃厚であり、この仲間を食するのであれば決して捨ててはいけない。これを刺身の上にのせて、ぽん酢でいただくのだ。

 

長崎産のミヤコヒゲ(2017)

ミヤコヒゲはこのぶろぐでは過去2回紹介している。まずは2014年なのだが、このときは「謎のトウジン属」として扱っていた。2017年にも長崎県産のミヤコヒゲを購入した。鰓膜が黒いのだが、この鰓膜が黒いソコダラはかつてズナガソコダラと呼ばれた。しかし現在ズナガソコダラはミヤコヒゲと同種として扱われている。2014年の個体も、ミヤコヒゲとして問題ないだろう。標準和名の「ミヤコ」は、「宮古」ではなく「都」であろう。本種のタイプ産地は東京であるが、おそらくその近辺から市場に持ち込まれたものをタイプ標本にしたものと思われる。

今回のミヤコヒゲは熊野の魚商、長野 淳さんより。長崎産のミヤコヒゲは印束商店の石田拓治さんより。みなさん、いつもありがとうございます。

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マルヒウチダイ

2021年12月02日 23時07分33秒 | 魚紹介

もう12月です。早いものです。

この魚はマルヒウチダイという種である。キンメダイ目・ヒウチダイ科・ヒウチダイ属の深海魚である。

マルヒウチダイは全長26cmに達する。ヒウチダイも25cmくらいと、ほぼ同じくらいに育つ。特徴は尾鰭の色彩で、マルヒウチダイは尾鰭の先端が黒くならない。ヒウチダイは尾鰭の先端が黒くなる。

分布域は紀伊水道、土佐湾、東シナ海、奄美大島西方、九州-パラオ海嶺。~台湾、天皇海山。長崎ではヒウチダイ属の魚はこのマルヒウチダイはあがるのだが、ヒウチダイは見られない。一方駿河湾戸田ではヒウチダイばかりで、本種は見られない。最近は鹿児島沖でのエビ漁でも本種の小型個体はよく水揚げされていて、干したり焼いたりして美味しい種類である。なお、長崎ではもう1種ハシキンメも見られるが、長崎のハシキンメは全長50cmにもなる大型のものがあがるものの、ほかの地域にはそれほど大きいのはいない。別種とされるかもしれない。

ヒウチダイ科の魚は食用魚とされるものが多い。刺身でもいけそうだが、塩焼きもかなり美味しい。脂がよく乗っていてあまりぱさぱさしないのもよいところだろうか。

今回のマルヒウチダイは長崎 印束商店の石田拓治さんより。いつもありがとうございます。

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