昨日はお休みをいただきまして、連続「板鰓類」シリーズの続き。ガンギエイ目・ガンギエイ科・ガンギエイ属のガンギエイ。
ガンギエイ目も、昔の魚類検索ではエイ目(エイ亜目・ガンギエイ上科とされた)の中に入れられていたが、現在は独自の目に昇格している。この目の中に含まれるのは3科ほどあるが、日本で一般的に用いられている分類体系では3科ともガンギエイ科の中に含まれていることが多い。
さて、ガンギエイ。ガンギエイの仲間の尾は太目でムチのようにはなっていない。そして尾部背面に小棘がならび、大きな毒棘を有さない。この小棘の列数は雌雄で異なるといわれている。また尾部には背鰭があり、さらに小さな尾鰭があるが、写真からは尾鰭はわかりにくい。
体盤は茶色っぽく、不明瞭な大きめの斑点があるのも特徴的。大きくても全長70cmほど。日本産のガンギエイ属は4種が知られているが、本種はやや小型種で、吻が短めであることでキツネカスベやテングカスベと、腹鰭前葉が短いことでゾウカスベと見分けられる。ゾウカスベはこの仲間では特に大きくなる種類で全長2m近くになる。なおエイの仲間はほとんどの種が胎生で仔エイを産むが、このガンギエイの仲間だけは卵生である。
本種は北海道~九州、東シナ海と日本の広い範囲に分布するエイで、数が多い普通種のようである。以前参画していた「WEB魚図鑑」への登録数がすくないのは、おそらく本種の生息環境によるのだろう。水深30~150mの海域で網をひく底曳網漁業ではよく獲れるというが、それより浅い場所・深い場所ではほとんど漁獲されないのである。
ガンギエイ科のエイは全世界の海洋に分布し、南極の冷たい海に生息するような種もいる。ソコガンギエイ属のエイなどは深海底に生息し、そのなかのチヒロカスベは2906mの海底でも採集されているようだが、これはエイの仲間では最も深いところで採集されたもののよう。その一方、コモンカスベ属のエイは浅い砂底に生息し、陸からの投げ釣りで釣れる種もある。
漁業としては底曳網や刺し網などで漁獲される。食用用途としてはエイ鰭、もしくは練製品原料に使用されることが多い。本州から九州の沿岸で見られるコモンカスベ属の種は定置網などで漁獲されているが、リリースされるか、投棄されることが多い。
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