魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ウケクチコオリカジカ

2016年12月17日 10時48分00秒 | 魚紹介

昨日はいろいろあってサボりました。すみません。今日も北海道の魚を。

スズキ目・カジカ科・コオリカジカ属のウケクチコオリカジカ。

コオリカジカの仲間は日本に11種、日本からの記録は文献に基づく記録のみとされるヒメコオリカジカを含めて12種が知られているが、深海性で北方性のため、あまり写真を見る機会がない種。カジカの仲間に限らず、ほかのカジカ亜目、あるいはタウエガジ科やゲンゲ科など、そんな種が多いように思う。この魚を送っていただいた坂口太一さんは、この個体をクロコオリカジカではないか、としていた。

しかし、前鰓蓋の棘の先端が分岐していないことや、下顎が少し長めであることからウケクチコオリカジカではないかと思われる。写真はこの個体の前鰓蓋骨棘最上骨棘。

検索図鑑で示されているもう一つの特徴「胸鰭後端よりも後方の体側に櫛鱗が散らばる」ということについては、画像から見る限り、さらに触った限りではそのような櫛鱗はなかったものの列状の櫛鱗はあるので、これもクロコオリカジカとは違った特徴である。また検索図鑑では後頭部に棘がある様子が書かれていたが、「日本の海水魚」の本の中で記されているウケクチコオリカジカの写真ではそのような突起はないように見えた。この形質と櫛鱗の分布には変異があるのか、あるいは雌雄の違いなのか、あるいは別のまだ日本から報告されていない種もしくは未記載種なのか。はっきりしない。もっとたくさんの個体を見てみたいところである。

ウケクチコオリカジカも、コオリカジカ属の魚である。代表的な種であるコオリカジカについては以前にもご紹介している。

コオリカジカ

コオリカジカの鱗列

コオリカジカとウケクチコオリカジカの区別は簡単である。コオリカジカは背側に単尖頭棘をもつ鱗列がある。これはかなり強い棘である。その一方ウケクチコオリカジカは強い棘になっていない。そのため、調理の時にわずらわしい、なんてことはない。

ウケクチコオリカジカの腹面

フサコオリカジカも似ているが、フサコオリカジカは腹部に櫛鱗が散らばっているということだが、この個体は散らばっていないように見える。また、フサコオリカジカは眼と鰓蓋骨の間に棘がないのが異なる。

調理はこのように塩焼き。写真の右がウケクチコオリカジカ。左はイヌゴチ。以前ご紹介したイヌゴチのほうが目立っているあ、希少性という意味ではこちらのウケクチコオリカジカのほうが上回る。

ウケクチコオリカジカは現在のところ、北海道のオホーツク海からのみ報告されている。魚類検索に掲載されている生息場所は「水深905m付近の大陸斜面」ということである。しかし、実際にはもっと浅い水深で漁獲されることもあるのではないかと思われる。クロコオリカジカはふつう250~900m、フサコオリカジカは175~900mだということで、これらの種類と混ざっていても気が付かないだけかもしれない。カジカ科はまだまだ研究途上。これから様々な種が発見されたり、属が移されたり、あるいは種としては消滅することもあるだろう。

坂口太一さん、ありがとうございました。

 

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