魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

マルバラシマガツオ

2016年10月01日 12時36分15秒 | 魚紹介

昨日はすごい魚が長崎から届いた。ヒメシマガツオかと思ったのだが、マルバラシマガツオ?という意見を頂き、検索図鑑で再度調べたところ、マルバラシマガツオであった。

マルバラシマガツオは、ヒメシマガツオという魚に似ているのだが、胸の部分がやや膨らんでいるのが特徴。そして腹鰭と胸鰭の位置関係。胸鰭基部下端と腹鰭起部の間隔がヒメシマガツオよりも大きいのだ。ヒメシマガツオはまだ手にしたことがなく、Fishbaseにあるカボベルデ産の画像等を参考にしているが、確かにヒメシマガツオの胸鰭と腹鰭の位置はマルバラシマガツオよりも近いように見える。

以前このブログではシマガツオを紹介している。シマガツオと今回のマルバラシマガツオは同じスズキ目・シマガツオ科・シマガツオ属の魚であるが、体の鱗の数が違う。マルバラシマガツオの縦列鱗数は48~55で、シマガツオと比べて数が少ない(シマガツオは65~75)。尾鰭の上葉がやや長く、オナガシマガツオというものにも似ているが、これはヒメシマガツオと同種ということである(日本でオナガシマガツオとされた種に充てられた学名Brama myersiがヒメシマガツオと同種ということではない)。ただFishbaseに掲載されているマルバラシマガツオの写真も尾鰭上葉が長めだ。ヒメシマガツオ同様に小ぶりの個体は尾鰭上葉が長めなのだろうか。ただしこのマルバラシマガツオはこれで成魚である可能性が高い。ヒメシマガツオも雌は20cm弱で成熟するらしい。なおこの写真の個体の性別は不明だ。マルバラシマガツオの分布域は小笠原諸島、相模湾、八重山諸島とされているが、さらに他の地域でも見つかるのではないかと思っている。海外ではインド‐太平洋域に分布。

日本にはこれらの種の他にオオバンシマガツオというのがいるが、これは体がまさしく「大判」のような形をしている。これはつい最近日本からも知られるようになったもので、勿論私は手にしていない。海外ではオーストラリア近海やインド洋、中央太平洋に産するようだ。他の種よりもさらに小型で、臀鰭数がやや少なく、背鰭の前方鱗数もほかのシマガツオの仲間と比べて少ないようである。


今回のマルバラシマガツオは五島列島沖で漁獲された。初めて見る種であり、国内でもこの魚はあまり紹介されていなかったが、今回はこの種が数トンも獲れたのだそうだ。この個体は幸運にも我が家に届いたもので、他に販売されたりしたものもあるのだがあとは残念ながら養殖魚の餌になったかもしれないという。印束商店 石田拓治さんからのいただきもの。ありがとうございました。

シマガツオと同じように、マルバラシマガツオももちろん食用にできる。今回の個体は全長が30cmをちょっと超えるくらいのサイズ。一般的なシマガツオと比べてやや小形ではあるが、肉に甘味があってかなり美味しい。今回はお刺身でいただいたのだが、シマガツオ同様にほかの料理にも使えると思う。実際に焼き物でも美味しいらしい。何匹か頂いたので、今回は他の料理にしてみたいとも思うのだが、刺身が極めて美味しかったのでまた刺身にするかもしれない。意外と歯が鋭く、料理のときは注意が必要だ。シマガツオの分類についてはまだ再検討の余地があるということで、今回は1個体標本として残しておこうと思っている。


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