2008年の夏に石垣島で釣れたベラの仲間。カンムリベラ亜科・タレクチベラ属のタレクチベラ。
タレクチベラはそこらへんの磯で釣れるオハグロベラや、ササノハベラの類とは違う。引きが極めて強い。小物穴釣り用の竿で釣りあげるのは快感といえる。しかも針は小物用の「さより針」。いつ切られるかひやひやさせられる。
体は前半分が白っぽく、後ろ半分が緑色から青っぽい色彩。これは例のベラ図鑑によれば、雌相、または若魚の特徴らしい。シンプルだがわかりやすいきれいな色彩。それに青白い斑点が体側に現れるのだから、ぱっと見でもとても美しいベラだ。
体側の斑紋も特徴的だが、臀鰭の模様もとても美しい。臀鰭は黒く、縁に赤と青の線があり、そして黒い地色に青い斑点が散らばっている。一方尾鰭は黄色っぽく青白い斑点がある。
成魚は全長80cmになる大型種。成魚の雄は体が全身緑色で、特徴的な模様が体側に出てくるためブダイ類と思った人もいるようだ。ブダイの仲間のうち、サンゴ礁域で多く見られるアオブダイの仲間とは唇が分厚くなり。「たれくち」といって歯板を形成しないことが異なる。幼魚は緑色の体に細い横帯が数本入る。基本的にはサンゴ礁域に生息する種類であるが、幼魚は相模湾、三重県、高知県などでも見られる。ただしほとんどが幼魚であり、成魚は主に琉球列島以南に分布。海外では紅海をふくむインド—太平洋域のサンゴ礁でふつうに見られる。
シマタレクチベラ
タレクチベラ属は3種が有効とされ、日本には2種が分布している。タレクチベラ属のもう1種、シマタレクチベラは本種よりもカラフルなベラで、琉球列島のサンゴ礁域では多く見られる種である。シマタレクチベラは和歌山県以南、インドー太平洋のサンゴ礁域に分布している。写真は冷凍していてあまり色がでていないのだが、生鮮時はもっと緑色が強い。タレクチベラと似ているが違いは体側の斑紋。成魚でも体側に複数の黒い帯が出ているのだ。
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