今日も定置網で漁獲された魚をご紹介します。マンジュウダイ科・ツバメウオ属のツバメウオという魚。ツバメウオは従来は独自のツバメウオ科とされたり、スダレダイ科の中に含められてきたが、近年はマンジュウダイ科に含められていることが多い。この科は分類学的にはニザダイ亜目に含められており、ニザダイやアイゴなどに近いようである。なおスダレダイ科の魚は現在はスズキ亜目に含められており、分類学的な位置はかなり離れている魚である。だいぶ昔はチョウチョウウオなどと同様にチョウチョウウオ亜目のメンバーとされてきたこともあった。
ツバメウオは日本においては北海道以南の各地沿岸に生息している。この個体もそうで、定置網などで多く漁獲されている魚である。しかしながら漁獲されるのはある程度成長した個体ばかりで、小型個体はなかなかお目に罹れない。
本州で幼魚がよく採集されるのはナンヨウツバメウオという魚である。この種は枯れ葉に擬態していることで有名な魚である。しかしながらこちらはツバメウオとは真逆で、幼魚は頻繁にみられるものの、成長した個体は四国でもめったにお目に罹れない種である。この違いはなぜなのかわからない。
ツバメウオ属はこのほかにもミカヅキツバメウオ、アカククリ、そしてバタビアツバメウオの計5種が知られているが、すべて日本に分布している。アカククリの幼魚は黒い体で縁辺が鮮やかなオレンジ色になるのが特徴で、観賞魚として人気があるが成魚では銀色の体に変貌する。バタビアツバメウオは日本産の個体ではなく、南シナ海産の個体をもとに和名がつけられているもので、成魚は日本では確認されていないが、幼魚は石垣島で確認されている。
マンジュウダイ科魚類は世界で8属15種が知られているが、日本産のものは上記の種のほかマンジュウダイ属のマンジュウダイが知られているのみ。英語名はバットフィッシュとか、スペードフィッシュと呼ばれている。日本ではあまり食用にされていないが、海外、特に東南アジアではよく食されている。
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