今日のフィリピン魚はメギス科のセダカニセスズメPseudochromis fuscus Müller and Troschelです。
メギス科の魚はダイバーやアクアリストの間では「ニセスズメ」と俗に言われているグループです。属の学名も偽のスズメダイというような意味です。小さくてかわいい種類が多いというのはスズメダイ同様ですが、気が強く大きくなると持て余すようなものもいて、そういうところもスズメダイとそっくりです。この仲間もハゼのように未記載の種がまだまだいるようで楽しいグループといえます。
この写真の個体は鮮やかな黄色が特徴です、しかし本種すべてがこのような黄色の色彩ではなく、淡色型と暗色型の2タイプがあります。淡色型はこのような色、あるいは白っぽかったり、うすい灰色をしていますが暗色型は一様に灰褐色、黒っぽい色をしています。この個体は鮮やかな黄色がきれいですが「コガネニセスズメ」という別種もいて、混同しないように注意します。
▲セダカニセスズメの暗色型と思われる。上顎にあるのは海藻の切れ端。尾鰭の上下がやや伸びているが変異の範疇だろうか?沖縄県にて釣り
ニセスズメ属の魚は西部太平洋からインド洋、紅海、南アフリカまで広域に分布し、70種類が知られています。日本産は6種類です。鮮やかな紫色が美しいクレナイニセスズメは以前、この属のメンバーとされていましたが現在は別属に入れられています。
セダカニセスズメの特徴はこの歯です。著しく長い犬歯が3対あります。これで少なくとも日本産のニセスズメ属の他の種とは区別できますが、フィリピンには同じように長い犬歯を持つ種類がおります。
本種、とくに暗色型は従来、メギス属のメギスと誤同定されていたこともあり、注意が必要です。メギスは鱗の数が多く、背鰭棘数は2、一方本種では鱗の数はメギスよりも少なく、背鰭棘数が3であることにより区別されます。
▲メギス属メギスLabracinus cyclophthalma (Müller and Troschel)。雄は赤い派手な体色。写真の個体は幼魚、もしくは雌であろうか。確かに色彩など、セダカニセスズメの暗色型に似ている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます