魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

テングハギ

2017年05月01日 23時52分19秒 | 魚紹介

2013年の11月に採集して以来、冷凍庫で眠っていた魚。スズキ目・ニザダイ亜目・ニザダイ科のテングハギ。

テングハギといえば、成魚は頭部にある大きな「角」が特徴的な魚である。しかしある程度大きくならないと「角」は生えてこない。それのない若魚は独特の体形であるため、同定は困難ではないが、写真のような稚魚の同定は写真からだけでは難しい。

日本産テングハギ属は15種がいるが、その中でも背鰭棘数は重要な同定のポイントになる。多くは5~6棘であるが、ボウズハギのように4棘のものがいたり、ミヤコテングハギのように7棘のものがいたりする。さらに背鰭棘の長さも同定のポイントになるようだ。本種の場合、背鰭の第1棘の長さが同定のポイントになるという。この子の同定には再び加藤昌一さんにおせわになった。ありがとうございました。背鰭第1棘が明らかに長いとお話すると、テングハギという答えが返ってきた。魚類検索図鑑の画像を見ているとテングハギの背鰭はそれほど長くなく、むしろヒメテングハギの背鰭が長いが、幼魚だと異なるのかもしれな。いずれにせよ、水中写真だけでなく標本も見ないと、このユニコーンの子供たちは同定が難しいのかもしれない。

今回の個体は三重県で採集された。ただし前回のボウズハギと異なり、今回は三重県尾鷲の漁港に水揚げされたものである。水揚げされたものが氷水で冷やされ、プラスチック水槽のなかに様々な魚が入れられている中から頑張って探したのであった。

このテングハギと思われる幼魚、別の個体を飼育していたことがあった。今から10年ほど前に高知県で採集した幼魚。大きさとしては今回の子と同じくらいの大きさだ。最初は尾柄の帯の様子からヒメテングハギではないかと思われたが、これもテングハギということであった。テングハギも尾柄にこのような帯が出ることがあるのだという。

背鰭の鰭条も若干長くのびている。この仲間は独特な仔魚期を経て成長するが、これもその名残であろうか。残念ながらこの個体は秋には死んでしまった。小さいうちは臆病なのかもしれない。水槽内にはシマハギやサザナミヤッコのほか、ソラスズメダイやミツボシキュウセンなどを飼育していたがその影響かもしれない。

成魚は全長70cmにもなる。尾鰭上下が糸状に伸び格好いいが、飼育には巨大な水槽が必要になる。家庭の水槽で飼育するのにはあまり向いていないかもしれない。この仲間で家庭での飼育に向いている、といえるのはミヤコテングハギなど少数であるがそれでも150cmくらいの大型水槽が欲しいところである。

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