魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

喜界島の船の魚たち

2011年05月13日 21時49分02秒 | 魚介類採集(海水)

前回、喜界島の船釣りにおいてモンガラカワハギ科の魚が入れ食いになったことをお伝えしましたが、今回は、それ以外の魚種についてもいろいろと紹介させていただきます。

写真は「第三海幸丸」。この船は私でも操縦できるサイズの小型船。

普段は私は船釣りをやっていないので、手探り状態でのスタート。

まずは小型のハタでありますニジハタCephalopholis urodeta (Forster)が幸先よくヒット。

ニジハタはユカタハタ属の普通種で、主にサンゴ礁海域にすむ肉食の小さなハンターです。アカハタによく似ていますが、尾鰭の模様や背鰭棘数で区別することができます。

ユカタハタ属の背鰭棘条数は9本。2007年以降ハタ科魚類は分類がすすんでおりましてユカタハタ属の中に、従来は別属とされていたクロハタ属やタテスジハタ属をユカタハタ属に含める考えもあります。実際ユカタハタ属に含められているミナミハタは、以前、タテスジハタ属の一員でした。

アカハタや、カンモンハタなどの含まれる、サンゴ礁域のハタのもう一大勢力がエピネフェルス属です。エピネフェルス属の魚は、背鰭棘が11棘と、ユカタハタ属よりも多いのが特徴です。両属ともインド・太平洋域、東部太平洋、大西洋の熱帯から亜熱帯域に広く分布しています。日本からはユカタハタ属13種、エピネフェルス属41種ほどが報告されております。

私にはニジハタのアタリが立て続けにあり、5個体も釣ることができました。ニジハタは宿に戻った後、煮付けにして美味しく頂きました。

続いてヒメジ科のオジサンParupeneus multifasciatus (Quoy and Gaimard)です。

オジサンという名はれっきとした標準和名です。おそらく下顎の髭がその名の由来なのでしょう。体側の後方に数本の鞍状斑があり、オジサンとわかります。私はオジサンを釣るのはこれで2回目です。地元の方によると、オジサンは生餌として優秀なのだそうですが、使用する機会はありませんでした。

琉球列島ではたくさんのヒメジの仲間が見られます。このオジサンのほか、アカヒメジ、ホウライヒメジ、オオスジヒメジ、コバンヒメジ、マルクチヒメジなどもいるようです。

最後はキツネアマダイ科のヤセアマダイMalacanthus brevirostris Guichenotです。

キツネアマダイ科の魚は、食用魚としてのなじみはあまりないのですが、アクアリストにはおなじみのグループ。タイルフィッシュとか、サンゴアマダイの名前で呼ばれてるのはこの仲間です。白っぽいからだと尾鰭の黒色帯が上品で美しい魚ではありますが、結構獰猛でイカに食いついてきました。

キツネアマダイ科の魚は近年、分類学の世界ではにぎわいを見せているグループです。この仲間は現在カサゴ目とされるセミホウボウの仲間と近縁であるという説が有力視されています(それどころかカサゴ目の単系統説自体が疑問視されています)。そして、小型のサンゴアマダイ属の仲間はまだまだ新種が見つかる可能性が高いグループといえます。

第三海幸丸の皆様、釣りをさせていただいたがほー部長さま、他にいいものを釣っておられたsfcさま、あららさま、ありがとうございました。

コメント (2)
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喜界島のモンガラたち

2011年05月13日 01時10分58秒 | 魚介類採集(海水)

天気は恵まれなかった喜界島。津波により、港ではサンゴの群落も破壊され魚も少なくなっていました。

しかし沖合の魚たちは私たちの相手をしてくれました。今回は昨年はできなかった船釣りを堪能しました。

今回私が船で釣れた魚は5種類、うち3種はモンガラカワハギ科でした。いずれも初魚種で、大変に嬉しい釣り果でした。

写真は漁港でみかけたタスキモンガラRhinecanthus rectangulus (Bloch and Schneider)です。この魚は釣ってはいません。

 

まずこれがメガネハギSufflamen fraenatum (Latreille)。同行の「あらら」さんにはこの魚が大量に釣れていました。この種はモンガラカワハギ科の魚でも結構広い範囲にすんでいるようです。日本海側の生息は不明ですが、太平洋側では結構広い範囲にすむようで、高知や宮崎、愛媛などでも釣りや刺網、定置網などの各種漁法で漁獲されています。メガネハギには性的二型があり、雄には淡色の帯が下顎にありますが雌にはありません。この個体は雌だと思われます。メガネハギ属の魚は日本に3種、世界では5種が知られています。

モンガラカワハギ科の魚は食用としては大切にされるものではないのですが、肉は白身でやや臭みがあるものの煮つけは美味しく食べることができました。

アカモンガラOdonus niger (Rüppell)。学名の種小名は「黒い」を意味します。なぜ「赤」なのかといいますと、歯の色が赤色なのに由来します。古い図鑑では「アカハモンガラ」としているものがありますし、英名のRed-tooth triggerfishもこの特徴にちなむものです。さて同定ポイントはこの歯の色だけでなく、紺色の体色と、その変わった尾鰭です。すばらしく綺麗なかたちです。この種は潮通しのよい場所でプランクトンを主に食うようです。アカモンガラ属の魚は本種のみで、1属1種です。

クマドリBalistapus undulatus (Park)です。クマドリ属も世界で1属1種のみですが、太平洋とインド洋のものでは色彩が若干異なっています。このような魚は他にもキンチャクダイ科のニシキヤッコなどが知られています。太平洋産の個体は、写真のように尾柄部全体が黒っぽいですが、インド洋産のものは数本の縦帯になります。

この黒っぽい部分には・・・

このように大きな強い棘があるので気をつけないといけません。この棘は非常に鋭く、手を怪我する恐れさえあります。クマドリの棘は前をむき2列であることでムラサメモンガラ属と区別できます。また歯も鋭く、他の魚をつつくほか、人間にも噛みつき、怪我をすることもあるので気をつけるべきです。

私には釣れなかったのですが、船の他の方はクロモンガラを釣っておられる方もいました。残念ながらこれは写真には残しませんでした。私の目標はおなかに白い斑が多数あるモンガラカワハギを釣ることでしたが、残念ながらその目標は来年にお預け!次回は、喜界島の船釣りで釣れた他の魚を少し紹介したいと思います。

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