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一揆とはルール不在のガチ勝負ではなくてプロレスだ、と

2017-12-22 21:27:46 | 読書ノート
呉座勇一『一揆の原理:日本中世の一揆から現代のSNSまで』洋泉社, 2012.

  なぜ売れたのかがわからないベストセラー『応仁の乱』(中公新書, 2016)の著者のデビュー作。『応仁の乱』は未読だが『戦争の日本中世史』についてはすでに取り上げた。タイトルは硬いが、学術書ではなくてくだけた調子の一般向け書籍である。本書は2015年にちくま文庫となっている。

  一揆に革命のロマンを見出してきた戦後歴史学者たちの一揆観を修正しようとする試みである。著者によれば、一揆には「ゲームの規則」があって、鉄砲は使ってはいけないし、基本的に農具で武装しなくてはならなかったという。それは本物の武力闘争ではなく、体制の存続を前提とした条件闘争であり、体制の変革を求めるものではなかった。市民社会の萌芽とか笑止で、ガチ勝負ではなくプロレスなのだ、と。そして一揆の起源をさかのぼると、混乱の時代を生き抜くための、同盟関係を築く契約である、ということになる。そこはSNSとなぞらえられるのだが、個人的には蛇足に思えた。

  とはいえ読ませる。図式的なマルクス主義史観を廃することに成功しているし、当時の人たちのしたたかさもわからせてくれる。僕の一揆のイメージの源といえば『カムイ伝』だが、あんな暗い社会でやっていけないよな、と思い直した次第。
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