Bill Evans "Some Other Time : The Lost Session from the Black Forest" Resonance Records, 2016.
ジャズ。発掘音源といえばライブ音源と相場が決まっているが、本作は正真正銘のスタジオ録音。Bill Evansが亡くなってから36年も経っているのにまだこんなものが倉庫に眠っていたとは。ドイツのレーベルMPSによる、1968年の”At the Montreux Jazz Festival”(verve)の5日後の録音だそう。たった6か月だけメンバーだったJack Dejohnetteがドラムを叩いている点、また’These Foolish Things’や’Baubles, Bangles and Beads’など珍しい演目が含まれている点においても、資料的価値が高い。当時契約していたVerveがレコード化を認めなかったそうで。
しかし、愛聴盤になりそうかと問われると、そうでもないと答えざるをえない。Evansの演奏のクオリティは高いし、期待したほどではないけれども高音質である(これは僕の耳がECMの残響ピアノに慣れてしまったせい)。しかし、弛緩しているというほどではないにせよ、演奏が微妙にリラックスしすぎている。またDejohnetteが大人しすぎて、あまり活躍していない(直後に加入したMiles Davis組ではスネアを叩きまくっているのに)。情熱のほとばしりを垣間見せる”At the Montreux Jazz Festival”の演奏と比べると、本作は聴き手の琴線に触れてこないのだ。
というわけで、Evansはやっぱりライブ盤の方が断然よくて、スタジオ録音ならばピアノソロを聴いたほうがよい、というこれまでの偏見を強くした。この時期だと、ライブ盤だとまず”At the Montreux Jazz Festival”を、ということになる。敢えてトリオ作品でスタジオ録音を聴くならば、Eliot Zigmund時代の二作"I Will Say Goodbye"(Fantasy, rec.1977)と"You Must Believe In Spring"(Warmer, rec.1977)がよいだろう。
ジャズ。発掘音源といえばライブ音源と相場が決まっているが、本作は正真正銘のスタジオ録音。Bill Evansが亡くなってから36年も経っているのにまだこんなものが倉庫に眠っていたとは。ドイツのレーベルMPSによる、1968年の”At the Montreux Jazz Festival”(verve)の5日後の録音だそう。たった6か月だけメンバーだったJack Dejohnetteがドラムを叩いている点、また’These Foolish Things’や’Baubles, Bangles and Beads’など珍しい演目が含まれている点においても、資料的価値が高い。当時契約していたVerveがレコード化を認めなかったそうで。
しかし、愛聴盤になりそうかと問われると、そうでもないと答えざるをえない。Evansの演奏のクオリティは高いし、期待したほどではないけれども高音質である(これは僕の耳がECMの残響ピアノに慣れてしまったせい)。しかし、弛緩しているというほどではないにせよ、演奏が微妙にリラックスしすぎている。またDejohnetteが大人しすぎて、あまり活躍していない(直後に加入したMiles Davis組ではスネアを叩きまくっているのに)。情熱のほとばしりを垣間見せる”At the Montreux Jazz Festival”の演奏と比べると、本作は聴き手の琴線に触れてこないのだ。
というわけで、Evansはやっぱりライブ盤の方が断然よくて、スタジオ録音ならばピアノソロを聴いたほうがよい、というこれまでの偏見を強くした。この時期だと、ライブ盤だとまず”At the Montreux Jazz Festival”を、ということになる。敢えてトリオ作品でスタジオ録音を聴くならば、Eliot Zigmund時代の二作"I Will Say Goodbye"(Fantasy, rec.1977)と"You Must Believe In Spring"(Warmer, rec.1977)がよいだろう。