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マイナーだがシューゲイズ空白の時代を埋めたありがたい作品

2013-10-07 11:57:43 | 音盤ノート
Astrobrite "Crush" Clairecords, 2001.

  ロック。シカゴのシューゲイズ系独りユニットで、最初のEPが1994年だからけっこう活動歴が長い。このジャンルは、アルバムを3枚ほど出して活動停止するという根性無しのバンドだらけである。その中でこのAstrobriteは8枚もあり、それだけで偉いと言える。ただし、僕は"Whitenoise Superstar"(Vnyl Junkie, 2007)までしか聴いていないのだけれども。

  その音は王道をゆくマイブラフォロワーで、単純な打ち込みドラムに、リヴァーヴ+ディストーション+オーヴァーダブを施されたギターを取り合わせて、そこにKevin Shieldsに似せたボーカルがのるというもの。オリジナリティなどまったく気にしていない、そのマイブラへの心酔ぶりは凄いものがある。けれども、作曲センスは本家以上で、甘めのメロディを、聖歌のように荘厳に盛り上げてゆくコードワークはかなり巧いと思う。

  ただ、意図的にデモテープのような悪い音で録っている点は評価が分かれるところかもしれない。狭い室内でプライベートな録音を聴いているような面白さはあるのだが、その分ギターの音がかなり不明瞭で遠くなってしまっている。次作以降でそのバランスは改善されるのだけれど、かわりにディストーションギターが突き刺さるような痛い音になってしまい、快楽感が薄くなった。音響エンジニアリングの難しさを感じる。

  本作は発売当初はCDで購入できたが、現在はダウンロード販売のみの模様。本家マイブラの活動再開までの長い空白期間、そのファンたちが「飢え」をしのぐために聴きこんだ重要な作品だろう。
コメント
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