ひろの東本西走!?

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多木浜洋館(あかがね御殿)

2009-03-24 23:58:50 | 近代建築

全国的に晴れて絶好の探訪日和となった土曜日、久々にやや遠出をして兵庫県西部の播磨地区:加古川(別府)・高砂方面を探訪しました。今回の最大の目的は「多木浜洋館」、通称「あかがね御殿」を見ることです。

この建物、以前から名前は知っていたものの、やや不便な場所に立地していることもあって、以前に加古川市内を探訪したときにもここには足を運びませんでした。しかし先日、sunshine-worksさんのブログ”近代建築Watch”で「あかがね御殿」の大判で素晴らしい写真の数々を拝見し、これはぜひとも行かねば!と感じ、天気の良い休日を待ちかねておりました。

◎mini-mini32さんのブログ”カフェ・ロッジ パルチザン”でもアップされています。
  細部の写真もいっぱいです。 (2011.1.22追加) 
  mayumamaさんも探訪され、”m's diary” にアップされています。
                            (2011.3.3追加)    

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「あかがね御殿」は多木化学の創業者である多木久米次郎が加古川市内に建てた木造(?)三階建て(一部、四階建て)の洋館です。既にsunshine-worksさんのブログで素晴らしい写真を見ていたので驚愕といった感じはありませんでしたが、実物を目の前にすると、偉容であり、まさに奇想の建物です。登録文化財ではあるものの、通常は内部公開されていないようですし門扉も閉ざされていたので、撮影スポットを探して外周を何度もウロウロしました。デザイン的には何と言えばよいのでしょうか?外観は意外と凹凸が少なくおとなし目のように見えて、屋根の重なり具合は複雑ですし、数多くの窓と庇が生み出す陰影がリズム感と適度な変化を与えています。「あかがね御殿」の名のごとく、今は緑青をふいている外壁の銅が”あかがね色”に輝いていた頃の眺めはさぞかし凄かったことと思われます。秋のつるべおとしの夕日がよく似合ったかもしれませんね。また、この建物は見る方向によってスラッと見えたりずんぐり見えたり、随分と表情というか印象が変わるのも興味深かったです。

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北面では門扉が素晴らしく、建物の煉瓦造の土台や同じく煉瓦造の塀なども趣あり。この門扉は和・洋・中の折衷のようで不思議な佇まいです。多木化学の社章である2本の鍬の柄のマークがこの建物の至る所に見られたのも興味深かったです。実はこのマークは別府の町のあちここちでも見かけることになるのですが。

現在、隣接地にスポーツセンターなどはありますが、四周からこの建物を眺めることができるのは素晴らしいことだと思います。曇りであれば、時間帯(太陽光線の向き)を気にせずに写真を撮れるのですが、この日はやや霞がかってはいたものの快晴で、結局、午前9時20頃から、別府(AM)→高砂→別府(PM)と移動し、あかがね御殿は午前と午後の2回に分けて写真を撮りました。

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実は私、別府を「べふ」と読むことすら知りませんでした。帰宅後、改めて多木化学や多木氏のことをネットで調べて、歴史的な背景を確認したのですが、多木化学の製品を運ぶために鉄道会社を設立するなど、地元ではすごい名家のようです。町のあちこちで、多木の名前や先ほど書いたような社章のマークを見ましたし。

「あかがね御殿」は偉容であり、奇想の建物とも書きましたが、地域のランドマークであると共に優れた建築物・文化遺産であることは間違いありません。これからもこの景観が維持され、誇り高く素晴らしい姿をずっと見せてもらいたいものです。

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