ひろの東本西走!?

読書、音楽、映画、建築、まち歩き、ランニング、山歩き、サッカー、グルメ? など好きなことがいっぱい!

三田市探訪、九鬼邸ほか

2008-12-15 23:17:52 | 近代建築

今年最後の「関西洋風建築めぐり講座」は三田市の九鬼邸ほかでした。

****************** 川島智生先生の解説文より(抜粋引用) ******************

関西にはなぜか、現存する擬洋風建築が少ない。現実には数多く建設されていたが、殆ど残っていないことを事由とする。実際には神戸では八角形の議事堂、京都・大阪でも小学校や役所など多くの公共建築が擬洋風だったが、三都市ともに明治中期以降の急成長もあって、あっという間に建て替えられてしまい、周辺の地方の町や村にだけ残ることとなった。ここで取り上げる三田や柏原、伊賀上野など、なかば近代の時代に取り残された地域に見出せる。

九鬼邸は明治8年(1875年)に当主の九鬼隆範(りゅうはん)が自ら設計した住宅。この建築の特徴は伝統的な町家でありながらも、二階の一部が洋風の柱が並ぶベランダとなるという洋風要素が混在するもので、その組み合わせには驚かされる。漆喰という伝統的な素材・手法を使ってつくられた擬洋風建築の特質である。スタイルとしては稚拙なものだが、なんとも味わい深い建物になっている。

*********************************************************************************

この日、三田の町はお祭り(町ぐるみのイベント?)があったようで、駅前をはじめとして大勢の人で賑わっていました。我々は人の間をぬって九鬼邸をめざしたのですが、三田は新しさと古さが奇妙に同居した不思議な町です。古い建物では和風の町屋が多そうなのですが、何気なく目をやった先に小ぶりな洋風建築があったりします。

P1160629_t P1160703_t P1160709_t_2 P1160650_t P1160640_t_2

九鬼邸は解説文にもあったように何ともいえない味わいがあります。外観としては4枚目の写真のアングル(南東面)が一番見応えがありました。やはりベランダのアーチとくり形付き手すりが最大の特徴でしょうか。東面1階部分に開いている3つの小さな窓は便所部分のようですが、可愛らしいです。

壁などは塗り直されて綺麗になっていますが、手すり部分は塗装剥がれなどをそのままにされているようです。この手すりの色はオリジナルなのでしょうか、ちょっと珍しい色だと思いました。

P1160685_t_2 P1160683_t_2

内部は基本的に和風です。南面の縁側(広縁)は伸びやか。軒の出はかなり深いですね。 欄間の透かし彫りや釘隠しの金具もなかなか見事です。面白いと思ったのは、二階へ上がる階段が2つの部屋の間、通常は押入にあたる部分に設けられていることでした。この位置は家のほぼ中央になります。階段を上がりきった部分の写真が下記です。ここは板戸で床位置の開口をふさぐことができるようになっています。こういう階段の配置は誤って転落しそうにも思うのですが、怖くなかったのかな?

P1160664_t_2

二階の壁や天井には壁紙ではなく日本的な襖紙が張られていて、これも面白いと思いました。写真ではちょっと分かりにくいと思いますが、雷紋にも似たこの模様は何と呼ぶのでしょうね。

P1160662_t_2

↓これが 隆範が描いた設計図(複製)です。この立面図では建物の四隅にコーナーストーンが積まれ(そのように見せ?)、現在の表情より、もう少し洋風の気配が強かったようにも思います。

P1160691_t_2

煉瓦で作られた竈です。唐突なような、美しさを感じるような・・・。

P1160699_t_2

この後は近くの洋風住宅などを見ましたが、これは別記事にします。