読売社説は河村政治を全然分かっていない

トリプル投票 危うさ伴う愛知の劇場型政治(2月7日付・読売社説)

 知事選・市長選・住民投票を連動させる名古屋市の河村たかし前市長の戦略が奏功した。河村氏には、今回の結果におごることなく、独善的な行政運営を慎むよう求めたい。

 河村氏は、自らの辞職に伴う出直し市長選で再選を果たした。愛知県知事選では、河村氏と二人三脚を組んで住民税減税や「中京都」構想を訴えた大村秀章・前衆院議員が初当選した。

 前市長と対立してきた名古屋市議会の解散の是非を問う住民投票でも、賛成が過半数を占め、市議会の解散が決まった。河村氏が主導した議会解散請求(リコール)運動が実ったものだ。

 河村氏の“3連勝”は、「市民税減税の恒久化」を掲げる一方で、これに反対する市議会を「悪役」に見立てる選挙戦術が的中した結果と言える。背景には、高すぎる市議報酬に対する市民の強い反発もあったようだ。

 しかし、住民に受けの良い政策だけを前面に押し立て、議会との対立を際立たせることを通じて支持を集めるという「劇場型」の政治には、危うさが伴う。

 河村氏は、減税の財源は行政改革による歳出削減で捻出している、と主張している。

 だが、地方交付税を受け取り、市債残高を増やす一方で、減税を恒久化することは、将来世代へのつけ回しにならないか。冷静な論議が求められる。行革の効果に関する検証も欠かせない。高すぎる市議報酬に対する市民の強い反発もあったようだ。



 「中京都」構想も、具体像が見えていない。その功罪に関して、地に足のついた議論が必要だ。

 名古屋市議会の出直し選挙は来月行われる。河村氏は、自らが代表を務める地域政党から多数の候補を擁立し、定数75の過半数を占めることを目指すという。

 市議会には本来、市長と一定の緊張関係を保ちつつ、建設的な議論を通じて、市政の一翼を担う責任がある。各候補はその自覚を持って選挙に臨むとともに、有権者も、候補の資質と政策を慎重に見極めてもらいたい。

 民主党は、愛知の15衆院小選挙区を独占しながら、知事選と県都市長選で推薦候補が無所属の河村氏らに敗れた。深刻な結果だ。

 民主党は昨年の参院選以降、衆院補選や茨城県議選で敗北を重ねている。菅政権の失政や首相の指導力の欠如で、国民が政権交代に幻滅していることの表れだ。

 菅政権は、小手先の政権浮揚策に走らず、過去の過ちを認めて政権公約を見直すべきだ。それが態勢立て直しの一歩となろう。

(2011年2月7日01時07分 読売新聞)

河村氏の政策が成功するかどうかはこれからの問題だ。構想通りにうまくいくほど現実はあまくない。
10%減税を無理やり実現することによって、市民が望んでいるものまで切り捨ててしまう結果になれば10%減税をやる価値はない。市民も10%減税がスムーズに行くと考えては居ないだろう。もし、自民党や民主党自民党が10%減税を掲げれば河村氏と互角に闘えたのか。いやいや、それでも河村氏の圧勝は間違いなかったはずだ。つまり読売のいうように「市民税減税の恒久化」が大勝利の原因ではないということだ。

河村氏が大勝利したのは市議会委員の給料を半減し、職業議員をなくして、市民参加の政治を目指しているからだ。河村氏の政策に反対する議員を悪役に仕立てたとか「劇場型」というのはマスコミが勝手に作ったシナリオ、造語であり、このようなマミコミ型解釈は全然的外れの評価だ。
「高すぎる市議報酬に対する市民の強い反発もあったようだ。」と議員報酬を半減するとした河村氏の主張を市民がそれほど評価していなかったかのような理解しかできない読売は河村氏の目指す政治を全然理解していないし市民の心も理解していない。この議会改革の主張がなければ河村氏の大勝はなかったのだ。

「市議会には本来、市長と一定の緊張関係を保ちつつ、建設的な議論を通じて、市政の一翼を担う責任がある。」は形式論であ。今の政治は組長と議会は馴れ合いもたれあいであり、責任うんぬんしても効果はない。

河村氏の当選は民主党政権失態とは関係がない。政治制度の変革を目指しているのだから、現政治制度を支持するかそれとも河村流の政治制度を支持するかの問題なのだ。このような大きな政治変革を河村氏は市民に提起し、市民は賛同したのだ。民主党政権がそこそこに政権を運営していたとしても河村氏の勝利は不動のものであった。

マスコミは鈍感だ。

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