沖縄内差別に目を向けよ






 和美さんは、まだ日本に返還されていなかった沖縄で、名前も顔も知らないフィリピン人の父親と日本人の母親の間に55年に生まれる。仕事をする母のため、ずっと祖母に育てられ、その母も15歳の時に再婚して渡米して別れる。彼女自身も母親に捨てられたと感じ、また国籍がないため高校進学もできなかった。息詰った彼女が福祉事務所の門を叩くと、白人は100ドル、黒人は50ドル、フィリピン人は30ドルの補助がでると伝えられる。「フィリピン人は30ドル」この時の衝撃が永山への共感につながるが、彼女が”拳銃の引き金をひかなかった”のは、それをおしとどめてくれたのは育ててくれたおばあちゃんの存在があったからだと述懐している。



 和美さんは永山則夫と獄中結婚をした女性である。復帰前の沖縄は、白人は100ドル、黒人は50ドル、フィリピン人は30ドルの補助であり、歴然たる人種差別を沖縄はやっていた。和美さんは沖縄に絶望してアメリカに渡ったという。

 「沖縄人権協会」などで問題にするのは沖縄がアメリカに差別されている問題であり、沖縄内の差別は対象外にしている。アメリカは外国である。沖縄と外国との人権問題と沖縄内の人権問題では沖縄内の人権問題が重要である。

 アメリカとの人権問題はそのほとんどがアメリカ兵による事件・事故の裁判問題である。事件・事故はマスコミで話題になり、人々の関心が集まりやすいが、事件・事故は非日常の問題である。沖縄内の人権問題は事件・事故ではないからマスコミでは話題にはならないが事件・事故とは違い日常問題であり事件・事故より深刻な問題である。人権問題はアメリカとの問題だけに目を向けるのではなく、沖縄の内側に目を向けるべきである。
 たとえば、普天間第二小学校は普天間基地の騒音被害を毎日受けている。子供の人権を守るのなら普天間第二小学校を一日も早く移転させ運動をするべきだ。普天間第二小学校を問題にしない沖縄人権協会は人権協会と言えるのであろうか。
アメリカ兵の犯罪だけを問題にする人権協会なんて本当の人権教会ではない。「沖縄人権協会」の名称をおろして「反米人権協会」にしたほうがいい。

 福地理事長は、「沖縄の現状は復帰前とほとんど変わっていない」と述べているが、沖縄市で起こった中学生暴行事件は中学生が起訴するのをやめたので不起訴になったが、アメリカ軍は起訴して裁判をやった。また、アメリカ人が子供を虐待死させた事件も沖縄では不起訴になったが、アメリカは起訴して裁判を起こしている。アメリカの態度も変わっている。評価するべきところは評価するべきである。

 スペイン国際人権法協会のカルロス・デュラン会長の発言には呆れる。イラク戦争は終結してほとんどのアメリカ軍は引き上げている。アフガン戦争はまだ続いているが、沖縄がイラク戦争やアフガン戦争に巻き込まれる危険は全然ない。「国際人権法協会」というのは「戦争被害妄想協会」なのだろうか。
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