フィジーに8年前に旅行したのがきっかけで、その自然の魅力にとりつかれ、順風満帆だった自動車部品工場の経営者の地位をなげうって、フィジーに家族が移り住むようになったという図越さん一家は、手始めに和食レストランをはじめました。
レストランは繁盛したのですが、同業者の嫉妬を買い、1年半後には店からも自宅からも退去させられることになり、地元の人よりも貧しい生活を送る中、奥さんがうつ病になってしまいました。
環境を変えるために別の国への移住を考えたのですが、友人に、ここで成功しないようなら、どこへ行ってもダメだとの言葉で、腹を決めました。
半年ほどで奥さんが回復し始めたころ、レストランで人気だったチョコレートアイスクリームを思い出し、チョコ作りを始めました。 作り方の知識はゼロであったのですが、バナナの葉を使ったカカオの発酵など、地元素材を使った製法を考案しました。
チョコの味はカカオが決め手で、フィジー内で良質なカカオを求めて、歩き回りました。 場合によると追い払われたりしたそうですが、ある日、手付かずの大量のカカオに出会いました。
その時、カカオの所有者は「貴方達が来るのを26年間、待っていた」と言ったそうです。 なんと素敵な出会い、言葉でしょうか。
チョコレートの商品名は「Adi(アンディ)」フィジー語で王女を意味する。 「カカオの木の育成を支える地元女性を大切にすることは国を大切にすること。チョコを通じて女性を支援するとの思いを込めた」と奥さんの治美さんは語ります。
ご主人の智仁さんも「ここに500年後、1000年後も工場を残すため、後継者を育てたい」と意気込んでいます。
先日の新聞記事から、思わず心打たれたもので、記載しました。 奥さんの顔も輝いて見えました。