建物づくりの原点を観る-9(了)

2010-05-31 22:10:34 | 居住環境
“ALTE BAUERNHAUSER IN DEN DOLOMITEN”紹介の最後は、同書が選んだ10の建物の架構タイプの中から、異なるタイプを五つ選んで転載します。
編集し直して紹介しようかと、いろいろ算段したのですが、結局は同書の紹介頁を、そのまま転載することにします。ドイツ語の解説もそのままです。
なるべく分りやすくしようと考え、図版を大きくしましたので、かなり長くなります。ご容赦のほど・・・・。
なお、T1・・・はタイプ1・・・という意味です。

最初は、全部石積みの建物。



解説図にあるように、石積みの壁は、外側を垂直にする方法と、内壁を垂直にする方法があるようです。
煉瓦造で木造床の場合には、外を基準にして、内壁を階ごとに薄くしてゆき、そこにできる段違い部を使って床梁を架ける方法があります。喜多方の煉瓦組積造もその方法を採っていました。


次は、木造組積造、二階建て。





次は四階建てで、半分が石積み、半分が木造という建物。
木造部分は納屋、家畜小屋のようです。





次は、軸組工法ですが、組積造的な梁・桁のつくりかたに特色がありそうです。





最後は、石積みと木造の混合、今でいうハイブリッド。しかし、今のものに比べると数等上手、なかなかのつくりです。




この建物など、わざとらしさがなくて、気持ちいい。これが ARCHITECTURE WITHOUT ARCHITECTS のいいところなのだ、と私は思います。柳宗悦氏が、民のつくるものに、本当の美がある、と言ったことと多分同じなのです。

最後に、この書の表カバーを紹介、A4を少し上回った大きさなので、合成して紹介します。それでも部分です。




さて、6月からは、いろいろ事例を観察してみると、昔から地震は多発していたにもかかわらず、「日本の建物では(もちろん木造です)、壁は架構の主役ではなかった」ということが分る、という話を書きたいと思ってます。
つまり、「(耐力)壁がないと、地震で壊れる、建物は自立しない」というのは「(何かの)為につくられた神話・伝説の類い」だ、ということです。

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