清新で溌剌としていた時代・・・・鉄を使った建物に見る-2の補足

2010-03-04 11:07:50 | 鉄鋼造
[説明文言追加 15.38][一時、文章がヘンになっていました。元に戻しました 17.43][感想追加 18.15]

1889年パリ万博機械館のトラスの組立て・建て方の図版を編集中です。

その前に、“LOST MASTERPIECES”には、このトラスの原設計図が一部載っていますので、それを前回の補足として紹介させていただきます。
前回紹介の図は、この原設計図をトレースしたものと思われます。

この当時、すでに「型鋼」が製造されていたようで、図中には各部材の寸面の指示が書かれています。

字が小さいので、すべて書き直して貼り付けようか、とも考えましたが、原図の雰囲気も見ていただきたいと考え、図版を大きくして字が読めるようにしました。
もちろん、手描きで墨入れの図面。文字はペンか。

   リベットを飽きることなく、大きさも変えて描いています。今のCADなら繰り返しで描くでしょうが、
   とにかく手描きは「味」があります。
   こういう手描きの、手を抜かない、細部まで考えてある図を見ながら鉄を加工する職人の方々も、
   おそらく、描いた人の「意気」を感じて仕事をしたに違いありません。
   私の感じでは、無愛想なCADの図面で仕事をすると、仕事もきっと無愛想になるのではないか、そう思います。
   図面はコミュニケーション手段なのですが、本来それは、単に図に描かれたことのコミュニケーションではなく、
   設計図を描いた側の「人」をも伝えるものだった、そのように私は思っています。
   CADに全面依拠しておられる方々は、どうやって「人」を伝えているのでしょうか。
   それともこれは、「古い」人間の戯言なのでしょうか?    [感想追加 18.15]

いわゆるアングル:L型鋼を A・l と記しているようです。その他は、大体現在と同じではないかと思います。
なお、riv とあるのはリベット打ちの意です(図の丸点は、すべてリベットです)。
リベットも規格化されているようです(14mm、22mmなどと径が描いてあります)。

   リベットは、丸頭のついた鋲のこと。接合する2材に鋲の径よりやや大きめの孔をあけておき、
   2材を合わせ、その孔に炉で赤くなるまで熱した鋲を通し、両側から鋲をハンマーで叩きます。
   灼熱した鋲は、叩かれることで孔いっぱいに広がり、2材は密着します。
   そのとき、鋲の反対側:先端は、専用の冶具により、叩かれると丸頭になります。
   リベットは、最近、まったくと言ってよいほど使われなくなりました。
   溶接が普及する前は、鋼製の鉄道やバスの車両もリベット打ちでした。
   
   1960年代:東京タワー建設工事のころは、リベット全盛でした。
   学生のとき、工事中の東京タワー建設の現場を見学させていただきましたが、あの高所で、
   灼熱した鋲をポンと放り投げると、それを軽々と受け、すばやく所定の位置に打ち込みます。
   さすが鳶さん!と感心したことを覚えています。
   もちろん、素手で投げたり受けたりするわけではなく、専用の受け皿などを使っています。
   リベットを熱するのは、仕事の進捗とともに移動する炉によります。
   300mを越える高所にも灼熱の炉があったのです。
        一時、文章がヘンになっていました。元に戻しました[17.43]。
     
下は、前回のA部詳細にあたる箇所の設計図です。


そして、次の図はトラス脚部(E部詳細)の設計図。

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